Barcerona vs Sevilla
04.09.11.sabado
日時:第二節 2004年9月11日(土)
対戦:バルセロナ vs セビージャ
結果:2−0
得点:1−0 35分 ジュリー
2−0 76分 ラーション
審判:ベラスコ・カルバージョ(マドリード)
退場:−
警告:デコ(バルセロナ)
レドンド、ヘスース・ナバス、フェルナンド・サレス、ハビ・ナバロ、パブロ(セビージャ)

バレンシアがハンドで点を入れ、デポルはホームでオサスナに完敗、レアル・マドリードはホームのベルナベウでブーイングを浴びた今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。

今日はそのどれとも関係ないバルセロナ対セビージャ戦をお送りしようかと。

今シーズンの両者の様子をざっと眺めておきますと、バルサは今シーズンオフ、世界中の選手を買い集める勢いで補強を繰り返し、気が付いてみればレギュラーの半数以上が入れ替わっている。ちなみに去年の後半17連勝を飾った主力メンバーからコク、ダビッツ、ライチハー、ルイス・ガルシア、サビオラが抜けている。

セビージャも前線に積極的な補強を施しており、目ぼしいところでは、ビジャレアルから去年アルバセーテで活躍したフォワードのアランダ、二部に落ちたバジャドリードから中盤のサイドを務めるフェルナンド・サレスとフォワードのマククラといった選手を獲得した。

去年の前半、鬼のようにゴールを決めつづけその市場価値を大いに上げたマククラだったが、その後膝を負傷、後半戦を棒に振った。今シーズンは一年を通しての活躍を期待されたが、練習中にまたも膝を負傷し、正確な復帰の目処は立っていない。インタビューからは相当に落ち込んでいる気配が伝わって来る。

それはさておき、この試合のバルセロナはロナウジーニョが大事をとり欠場、ライカールトお気に入りのエジミウソンはフランスで受けた出場停止処分が残っているためこれまた欠場。
対するセビージャはその激しい(えげつない)ファールで有名なパブロ・アルファロが去年の処分を引きずり、ダビードとマククラは怪我で出場できず。

バルサのシステムは今シーズンも1−4−3−3。ではあるが、去年とは微妙に役割が異なっている。
特に変わったのは中盤三人の役割分担で、去年はコクが一番後ろで下支え、その横をダビッツが運動量を活かしてフォローすることでシャビを高い位置に保っていたが、この試合では最後尾にモタ、その前にデコとシャビを配置していた。
ダビッツに比べて守備に弱い二人を中盤に並べて、果たして相手の攻撃を受け止めることができるのか、これが第一の注目点だったが、キーパーのビクトル・バルデスは90分を通して一度もシュートをブロックする必要がなかった。
相手のシュートが全部決まってブロック数がゼロになることもあるが、この試合は無失点。これはディフェンスが非常に機能していたからに他ならない。

バルセロナは様々な守備上の仕掛けを施していたが、その一つである相手のキーパーパントに対する守備は興味深い。
キーパーが短く出すボールには三人のフォーワード、ジュリー、エトーで素早くプレッシャーをかけて中盤で回収。
長く蹴られたボールにはマルケス、ジェラールがヘディングで跳ね返し、ラインの裏に抜けたボールに対してはシウビーニョ、プジョル、ガブリとビクトル・バルデスの飛び出しでカバーする。

試合を録画しておられる方は、セビージャのキーパー、エステバンがボールを持った後のシーンだけに注目して試合を眺められるとよろしいのですが、とにかくバルセロナのボール回収が早く、エステバンがボールを離した3秒後にはポゼッションが移っている。

この戦術を遂行するためには、

1 加速に優れるフォワード
2 高さに強くクリアボールを確実に味方へつなぐボランチ、センターバック
3 浮き球を正確にコントロールする中盤
4 スピードに優れるサイドバック、センターバック
5 前に強いゴールキーパー

以上が必要になるが、バルサには

1 ラーション、エトー、ジュリー
2 ジェラール、マルケス
3 シャビ、デコ(イニエスタ)
4 シウビーニョ、プジョル、ガブリ
5 ビクトル・バルデス

と見事に人材が揃っている。

この中で最も得難いのはどれか、と言われると、2番の「高さに強くクリアボールを確実に味方へつなぐボランチ、センターバック」。
特に、「クリアボールを確実に味方へつなぐ」人材の確保が難しい。

何気なくクリアしたように見えるボールが、サイドに走りこむフォワードがキープしやすい角度に飛んでいたり、ギリギリで跳ね返したボールがスペースに飛び、なおかつ味方が身体を入れてキープしやすい場所に落ちる選手をクリアの上手い選手と言うが、このようなボランチ、センターバックはほとんどいない。

日本サッカーのレベルを上げるため要素は色々あるが、中でもこのクリアボールを確実につなぐディフェンダーの育成というのは早急に行われるべきであろう。

日本代表とイタリア、スペインといったチームの試合を比べる度にその差を痛感する。

その昔、サンティアゴ・ベルナベウにおいて日本代表対レアル・マドリード1軍半の試合が行われたましたが、その日は雨だった、と言うより嵐だった。
激しく雨が降りそそぎ、風が舞い踊る劣悪なコンディションにおいて異彩を放っていたのはルベン。
クリアボールをつなぐのは勿論のこと、クリアと見せかけての胸トラップからボールキープ、味方ゴールに向かって走りながらのボールスクリーン、どれを取っても日本代表のディフェンス陣を凌駕していた。
そんなルベンのその後の活躍と変遷はご存知のように、ベルナベウで致命的なクリアミス、ブーイングを一身に浴びてドイツへ避難、も、つかの間、怪我で帰国、今シーズンはアルバセーテへ出張している。

ルベンに見劣りしないセンターバックはやはり必要であろうかと。

最後に、セビージャとバルセロナについてまとめておくと、セビージャのシステムは、数遊び的には1−4−4−1−1。
この試合で見せた弱点はサイド。
サイドバックのレドンド、セルヒオ・ラモスは一対一で敗れ続け、プレッシャーを受けた状態ではパスをつなげず。サイドミッドフィールダーのアルベス、フェルナンド・サレスは完封され、後半、ヘスーリを左に入れて状況の打開をはかったが、成果は見られず。
今後、フェルナンド・サレスを右に持っていくとして、左サイドの選択が難しい。
左サイドバックはダビード(もしくはダビー、ダビッド)が復帰すれば改善されるが、右の見通しは暗い。

バルセロナは前半、デコを右、シャビを左に置いてスタートしたが、後半のようにシャビを右、デコを左に置くことにより、それぞれの特徴がより良く発揮される。この試合、散々シュートを外したエトーだったが、守備での貢献は大きい。特にセンターバックに対するプレッシャーとチェイスは特筆もの。一方で左サイドのウィングのような位置を務めたラーションは上手く機能していた。極めてマジメな性格で、自陣、シウビーニョの横まで戻ってボールを奪い、それを捌いたかと思うと回り込むようにハーフラインを超え、ペナルティーエリア中央やや右側から斜めに走りこみボレーシュートを放つ運動量と仕事熱心さはただごとではない。ついでに味方のミスパスの度に、OK、OKといった感じで手を挙げて合図を送る性格の良さもチームを組むにあたっては見逃せない。

以上、華やかな攻撃が印象に残るバルセロナですが、今シーズンは、文中でも述べましたように、それを支える守備に非常な見所があります。上で挙げたキーパーパントに対する守備の他にも、バックパスを強要してからの詰め、囲い込み、インターセプトと続く中盤でのボール回収等、様々な工夫がこらされております。
これらについては追々書いていければと思います。

それにしても、この日のバルサは理論的にもピッチ上でも問題が見当たらない。
となるとロナウジーニョをどこにはめ込むのか、左サイド、ラーションの位置に置いてサイドバックの横まで戻らせるのか。
去年はその方式で失敗しているのですが、どうなりますやら。

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