Bosnia-Herzegovina vs Espana
04.09.08.miercores
日時:ワールドカップ予選 2004年9月8日(水)
対戦:ボスニア・ヘルツェゴビナ vs スペイン
結果:1−1
得点:0−1 66分 ビセンテ
1−1 73分 ボリッチ
審判:デ・サンティス(イタリア)
退場:−
警告:アルベルダ、モリエンテス、ロメロ(スペイン)
グルジッチ、バジッチ、サリハミチッチ(ボスニア)

スペインの最終兵器、ルイス・アラゴネスの代表公式戦デビューとなったこの試合、トップにレジェス、右サイドにビクトル、ボランチにはバラハとアルベルダを並べた。

それぞれの役割は、ディフェンス四人のうち攻撃を助けるために大きく上がるのはミチェル・サルガド、エルゲラはアルベルダを助け低い位置から攻撃を組み立て、キケ・ロメロとプジョルはほぼ守備に専念する。
ボランチではアルベルダがほぼ常にセンターバックの前をカバーし、バラハがトップ下の位置まで上がりレジェス、ラウールをサポートする。
トップの二人は一応ラウールが後ろ、レジェスが前だが、二人とも下がってボールを触り組み立てに参加する。
左のビセンテはライン際に位置し、右のビクトルは縦に抜けるよりもペナルティーエリア方向に向かいサルガドの上がるスペースを確保する。

以上の文章を図であらわしたのがこちら。

一方のボスニア・ヘルツェゴビナは、右サイドバックのサリハミチッチはあまり上がらず低い位置からのロングパスで攻撃を助け、左サイドバックのムシッチがセンターラインを超えて中盤を助ける。
9番のバルバレスが中盤をカバーし、場合に応じてセンターバックのバジッチの左右に入る。
6番のミシノビッチと2番のブルジッチは敵のボランチ、バラハとアルベルダへのプレッシャーを担当し、右のベスリージャがライン際を縦に走り、左のバリッチは中央に絞りながら前に出るボリッチと共にシュートを狙う。
とまぁこのような分担になっており、それを図にあらわしたのがこちら。

ボスニア・ヘルツェゴビナの布陣の特徴は、まずビセンテを押さえるためにサリハミチッチの上がりを控えたのが一つ。一見1−4−2−3−1に見える布陣だが、役割分担は1−4−1−4−1に近く、ボランチのゲームメイクの阻害に力点を置いている点がもう一つ。

対するスペイン代表はまんまとその術中にはまってしまい、前半はまともにシュートすら撃てなかった。
問題点としては、サイドからの早いタイミングでのクロスに対しビクトルしか上がっていない場面が象徴するように、レジェス、ラウールが同時に下がってしまい、サイドをえぐっても中の人数が足りないこと、ビセンテを押さえられ、ビクトルも縦に抜けられなかったため、サルガドの上がり以外でコーナーフラッグ付近のスペースを活用できなかったこと、が挙げられる。

試合開始後のスペインとボスニア・ヘルツェゴビナのシステムを見比べると、初期配置はほとんど同じだが、それぞれの役割が異なっているため、試合中はまるで別のシステムであるかのような印象を残した。

どうにもならない前半を受けて後半のアラゴネスの交代がポイントだったが、これがまた鬼のように「攻撃的」。

まずは50分にこの日10番を背負ったビクトルに代えてモリエンテスを投入、レジェスを右に回した。
この日さっぱりだったレジェスは慣れないポジションでさらに能率が落ちる。

ならばとばかりにその8分後の58分、バラハを下げて同じ位置にバレロン。ビセンテを右にレジェスを左に。
バレンシアでホルヘ・ロペス、ルフェテが潰れた時、右の中盤としてそこそこの活躍を見せたビセンテだけに代表でも同じような活躍を見せる。

そのさらに8分後の66分、ペナルティーエリア右側でボールを受けたビセンテは縦フェイクから左のアウトサイドで内に切れ込み左足一閃、ボールは逆サイドネットに突き刺さって0−1、スペインリード。

ここで普通の人間は守ることを考えるはずだが、71分、アルベルダに代えてシャビ・アロンソ登場。

こうなると最早意味がわからない。
敵地で一点リードして残り20分、そこで最後の交代枠を使い、守備の苦手なバレロンとシャビ・アロンソをボランチに並べる。
男前なアラゴネスでなければ無理な交代かと。

チームに気合が足りなければ横っ面を張り飛ばしてでもそれを入れる。これを普通の人間がバランスとか守備とかそういった理屈をこねてもしょうがないとは思うのですが、それを受けて入ったシャビ・アロンソが致命的な横パスミスを犯して同点に追いつかれたのでは洒落にならない。

常識的には馬鹿みたいに危険な位置でボールを失い続けるレジェスを代えるべきなのだが、そんな常識派ではビセンテを右に回して勝ち越しゴールを奪うこともない。

今後もアラゴネスの先発、選手交代は興味深いものになることでしょう。


最後にこの試合で気になったことをいくつか。

レジェスはどうも体調がよろしくなかったらしく、時間が経つほどにボロボロになってしまった。
その症状としては、ボールプロテクションが甘くなり、簡単にボールをつつかれる。相手の逆を取ってもいないのに切り返してボールをなくす。徐々に自信がなくなり受けたボールをすぐに味方に預ける。パスにも自信がなくなり、パススピードが落ちた挙げ句に横パスをカットされる。
といったものが見られますので、よろしければ確認していただければと。
ちなみに、モリエンテスに素早くボールを捌いたシーンは見事だったがが、常にそのタイミングで動かせるわけではない。

この試合コーナーキックを務めていたビセンテだったが、左手を胸にあてるとニアにボールを送っていた。果たしてこのような単純なサインでええものか、悩み所ではある。

ボスニア・ヘルツェゴビナで目立っていたのは9番のバルバレス、3番のムシッチ、6番のミシノビッチ。
バルバレスは特に守備での読みがよく、インターセプトとカバーリングが非常に光っていた。ボールを持っても正確に捌き攻撃を組み立てることができる。
検索するとやたらと音楽関係の記事が出るムシッチ(Music)はとにかく動いてもへこたれることがなく、両足共に正確。サイドで二人に囲まれても慌てることなくボールをキープし、確実に味方につなぐことができる。
ミシノビッチは6番の背番号にも関わらずトップ下から最後はトップまでこなし、その守備における献身を見るに監督の信頼の厚さを感じさせた。

おまけに言えば一番気になったのはキーパーのハサジッチ。
あの頭の上にハケを載せたがごとき不思議な髪形は如何なる理由をもって採用されているのか、理解するのは難しい。

ハビエル・クレメンテ以来、監督デビュー戦に白星を挙げられなかったスペイン代表。次のベルギー戦ではボランチとサイドの守備、そして交代が焦点になると思われます。

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