Espana vs Escocia
04.09.03.viernes
日時:親善試合 2004年9月3日(金)
対戦:スペイン vs スコットランド
結果:1−1(59分、雨により試合中断)
得点:0−1 35分 バラハ(P.P)
1−1 56分 ラウール(PK)
審判:ステファン・ブレ(フランス)
退場:−
警告:−(スペイン)
ナイスミス、クロフォード、ケーシー、ウェブスタ(スコットランド)

強風の中、波乱含みでスタートしたこの試合。後半、最高に盛り上がってきたところで、いきなりスタジアムの照明が消えた、と思ったら突然の大雨。そのままなし崩し的に中止決定。
見所は大量にありましたが、まずはスターティングメンバー。

前回のベネズエラ戦で先発したはプジョルとバラハのみ。9人が入れ替わった。
ポルテリア(ゴール)を守るのはイケル・カシージャス、おまけにキャプテン。これまでの慣習からするとバラハがキャプテンマークを巻くはずなのだが、この日はカシージャス。精神面におけるアラゴネスの配慮が感じられるのではないかと。
ラテラル(サイドバック)は右にロペス・レカルテ(レアル・ソシエダー)、左にデル・オルノ(アスレチック・ビルバオ)。共に代表デビュー戦であり、さらにいうならば、共に守れと言われても素直に守ることの出来ない性格。
特にロペス・レカルテは、サイドバックと呼ばれるポジションをこなしながらも性格的には天才系のトップ下。
己の技に自信を持ちすぎており、とんでも無い場所で危険を顧みず果敢なプレーを行なう。
この日も、低い位置での組み立てで、ボールをふわりと浮かせて相手の頭を越しつつ味方のセンターバック、サイドバックにパスを送っていたが、大風が吹く状況で選択すべきプレーではない。
理由は簡単で、浮かせたボールは風にあおられる、風にあおられたボールはコントロールしにくい、ディフェンスラインでミスが出ればそのままやられる、からなのですが、アイトール・ロペス・レカルテにとっては強風もなんのその。
デル・オルノはゴールに近付けば近付く程その良さが活きると思われるのですが、この日の前半は監督の指示により上がりを押さえ、ゴール近くで致命的なクリアミスなどを見せていた。

この試合の前半問題になったのは主に前線でのボールレシーブと球回し。特に左サイドでボールが詰まる場面が多かった。
原因は簡単で、やや左サイドでボールを受けるのを得意とするフェルナンド・トーレスとレジェス、バラハの生息地域がかぶってしまい、自分達でスペースを潰したことによる。
前半のレジェス、フェルナンド・トーレス、バラハの間の距離と、14分しかない後半のビセンテ、レジェス、バレロンとの距離を見比べていただくとボールサーキュレーション(球回し)における互助的なスペースのつくり合い、これがいかに大切なのかわかるのではなかろうかと。
基本的な動きは 前半図 後半図 のように変わっています。
ちなみにスコットランド選手達の動きはこのような描いてもあまり面白くない図になります。特徴と言えば守備ラインの前にいるマクナマラがサイドにあまり絞らずクロスに対してはセンターバックの間に位置を取ることぐらいでしょうか。

ちょっと話が変わるのですが、この日のスコットランドは1−4−1−4−1。
スペインにとっては、長年手を焼いてきた魔のシステムともいうべきものでありますが、ルイス・アラゴネスはこれを打破するため、ただひたすらにボールサーキュレーションに重点を置いて交代を行なった。
ボランチにバレロンとシャビ・アロンソを並べ、さらに右のホアキンを内に入れてサイドバックのレカルテを上げていく。
常識的に考えて守備が持たない変更だと思われますが、これで確かにスペインは良くなった。
果たしてこのような交代を公式戦、というか勝負がかかった試合で行なうのか、注目ではなかろうかと、後半30分過ぎてがったり落ちる可能性があると思われます。

継いで、この交代の良い場面が凝縮された得点シーン。
まずこの図のように、右サイドでボールを回収したところから話が始まって、それがデル・オルノに渡る。下がったレジェスが敵8番のマクナマラを引き付け、ダイレクトで左のビセンテにパス。その瞬間にラウールは2人のセンターバックの間を突きラインを押し下げボランチの後ろにスペースを作り出す。
次の図ではラウールのつくったスペースにレジェスが走りこみ、ビセンテからのリターンを受ける。
この時ラウールはマカーイの外へロールアウト、マカーイはサイドバックにそのマークを任せかけたが、サイドバックは中に入るホアキンにつられて裏にスペースを残す。
ラインの裏へ左足アウトで絶妙のパスを落としたレジェスはラウールがエリア内でボールキープする間に突撃、PKを奪う。

なんとも美しい攻撃が決まった。

ラウールは周りを活かす、とよく言われるが、ホアキンの動き出しも絶妙だった。
フェルナンド・トーレスが自分がよい状況で受けるだけでなく、他人が良くなるように動いてその裏で上手くボールを受けられるようになれば無敵だと思われます。

流しがちな審判のお陰でキックにパンチ、さらには肘撃ちまでが飛び交い、おまけにスコットランドが得意とする強風吹き荒ぶ中で引き分けたのは成果としては悪くないのではないかと。

未だに実験段階だと思われますが、攻めの骨格は見えつつあるので、後はどのバランスで守備との整合性をとるのか、注目されるのではないでしょうか。

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