Espana vs China
05.03.26.sabado
日時:親善試合 2005年3月26日(土)
対戦:スペイン vs 中国
結果:3−0
得点:1−0 2分 トーレス(PK)
2−0 31分 シャビ
3−0 53分 ホアキン
審判:カルドーソ・コルテス(ポルトガル)
警告:レジェス(スペイン)
ウェイ・ジン、チャン・ユンガイ(中国)

ここ最近のスペイン代表といえば、判で押したように1−4−2−3−1か1−4−4−1−1のバリエーションであったが、遂に1−4−3−3というか、1−4−1−4−1のようなシステムが採用された。

まず、キーパーはイケル・カシージャスであり、この試合では彼がキャプテンを務めた。
カニサレスが良いかイケルが良いか、スペイン国内でも意見が分かれるポジションではあるが、アラゴネスは、ラウールの欠場を受けて、イケルをキャプテンに任命した。
ということは、普通に考えて、アラゴネスの心はイケル先発、カニサレス控え、ということで決定しているはずである。

次に、右サイドバックにはこれまでセンターバックを勤めていたプジョルが久しぶりに戻って来た。

そしてセンターバックは、身体能力だけならばスペイン最高のディフェンスであるパブロと、空中戦とカバーリングに優れるフアニートのコンビが採用され、左サイドバックはデル・オルノが起用された。

これは、ミチェル・サルガドとマルチェナの欠場を受けての措置であり、この二人が帰ってきた場合は、変更も予想される。

この四人のバックを眺めてみると、デル・オルノを除いてはリーガでも有数の守備屋がそろっており、彼らのラインを突破するのは容易ではない。

しかしながら、スペインの大好きなボール回し、及び、ゲームメイクという観点からすると非常に不安の残る構成になっている。

ディフェンスラインの前を見てみると、アルベルダが一人、守備的な中盤として残り、その前方にシャビとデ・ラ・ペーニャが配置されている。

ペーニャとシャビを比べると、ペーニャがトップ下に近い位置にいて、シャビがボランチに近い位置にいるのが普通のように思われるが、この場合は、ペーニャがアルベルダの脇にいる時間が長く、シャビがトーレスの近くにいる時間が長い。

これは、この二人の役割が、デ・ラ・ペーニャが下がって攻撃の組み立て、すなわち、ディフェンスラインの裏に抜けるトーレスにパスを送ったり、サイドのホアキン、ルケにロングやミドルのパスを送る役割を負っており、シャビは彼にスペースを与えた後に中央で浮いてボールを受ける役割を負っている。

この日のスペイン代表のトリガー(攻撃のきっかけ)となっているのは、デ・ラ・ペーニャからの大きな展開であり、それを可能にしているのは、周囲にスペースを作り出すシャビとペーニャの中央でのボールキープである。

三人で構成された中盤から前線に目を移してみると、右にホアキン、左にルケ、中央にトーレスが配置されている。

左右の二人、ホアキンとルケをウィングと呼ぶのか前目の中盤と呼ぶのか、これは、かなり微妙な話ではあるが、ルケはサイドから中央に入ってフォワードのように振舞うことが多く、ホアキンは、攻撃においては大きく右に開きつつ、守備においては中盤に近い動きを見せる。
この二人の役割については、試合開始時、ルケがトーレスと一緒にキックオフを行ったことからも、その一端をうかがい知ることができる。

「シャビ、デ・ラ・ペーニャが中央でボールをキープすることで相手守備陣をひきつけ、ディフェンスラインの裏、サイドラインにスペースを生み出す。そのスペースへデ・ラ・ペーニャのミドル、ロングのパスでボールを運ぶことで一対一を多く作り出し、ゴールチャンスを生み出す。」

というのが、この日のスペイン代表の攻撃における筋書きであり、これは非常に上手くいっていた。

ボランチよりも前、トップ下よりもやや下がった位置で威力を発揮するシャビとデ・ラ・ペーニャの才能を引き出すという意味でも上手くいっていたし、サイドのホアキン、ルケをいかすという意味でも上手くいっていた。

ここで、この試合の意味を思い出してみると、この親善試合は、次の水曜日に行われるドイツワールドカップ予選、セルビア・モンテネグロ戦の予行演習だった。

そして、その試合に備えて、ラウールは欠場していた。

と、なると、この日先発しなかったらラウールが回復した場合、このシステムのどの位置に入るのかが問題になる。

もし、配置を変えないとするならば、ラウールが入る場所としては、トップのトーレスの位置か、デ・ラ・ペーニャ、シャビの位置になる。

普通に考えれば、トーレスに代えてワントップだが、前線のスピードを重視した場合は、デ・ラ・ペーニャを中盤右、ラウールを中盤左に置くパターンも考えられる。

よって、セルビア・モンテネグロ戦を見る最初の興味としては、ルイス・アラゴネスがこのシステムを維持するか否か、そして、システムを変えずにラウールが先発した場合にどの位置に入るのか、これらが焦点となる。

また、このシステムに対する相手の方策としては、

・スペインの守備ラインにプレッシャーをかける

・中盤の人数を増やしてデ・ラ・ペーニャ、シャビへのパスを防ぐ

・前線に四人を置き、中盤を飛ばして攻める

というものが考えられる。

まず、最初の「スペインの守備ラインにプレッシャーをかける」というのは、パブロ、フアニートのセンターバックコンビが組み立てに参加すると間違える弱点を突いたものであり、ディフェンスラインに直接プレッシャーをかけることでスペインの中盤、前線にボールがたどりつく前にパスを不安定化させる方針である。

次の「中盤の人数を増やしてデ・ラ・ペーニャ、シャビへのパスを防ぐ」というのは、上から一歩引いて、トリガーとなる中盤の二人を直接的に潰す方針である。
これには、1−4−1−4−1か1−4−3−2−1が適しており、例えば、前半は守りを固めてカウンターを狙い、後半に勝負をかける場合などに適している。

そして最後の「前線に四人を置き、中盤を飛ばして攻める」というのは、薄くなりがちなスペインサイドバック前方のスペースを直接的に攻める方針で、同点のまま後半を迎え、無理に前にでようとするスペインの裏を取って攻める場合などに有効だと考えられる。

来る水曜日、ルイス・アラゴネスがどう出るのか、そして、セルビア・モンテネグロはそれにどう対処するのか、それとも無視して自分達のやりたいようにやるのか、興味深いところではないかと。

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