本日は、見るには難しい試合であったデルビ・マドリレーニョことマドリー・ダービーを例に取り、最近のシステムの流れを眺めると共に、アトレチの布陣を変える実験をしてみようかと。
まず、昨年からの流れとして、3人ボランチに近いシステムを採用するチームが増えている。
これは、スペインリーグだけでなく、ヨーロッパ戦線を見渡してもそのような傾向が見られる。
まず、リーガでは、現在の上位3チーム、バルサ、マドリー、ビジャレアルが、中身は異なるものの、同じような配置を採用している。
この試合のマドリーで言えば、図1のように1−4−3−1−2に近い形でプレーしている。
ベッカムがグラベセンの横に頻繁に戻るため、二人のボランチがいるようにも見えるが、基本的にジダン、グラベセン、ベッカムのラインで中盤の後ろを押さえる。
マドリーは、この形からラウール、オーウェン、ロナウドを中心としたカウンターを狙う。
三人の前線をいかして、相手のディフェンスラインにプレッシャーをかけてみる場面もあるが、基本的に守備向きの人が少ないため、簡単に相手に抜けられてしまうことが多い。
これまでの戦い方から察するに、ジダンはラウールよりも下がってグラベセンの横を埋め、カウンターの起点となるパスを出す役目を負っていると考えられるが、この日はラウールがグラベセンを助ける場面が多かった。
これが監督の指示によるものだとは思われないが、ラウールが下がりすぎたことでマドリーはカウンターに威力を欠いた。
バルサは図2のように、基本的に1−4−3−3なのだが、ここ最近は中央に入り過ぎるロナウジーニョのために1−4−3−1−2のような形になることも多い。
このチームでは、右サイドをひたすら上がるベレッティと中盤の底で守備を担当しながら、フォワードに近い位置まで上がるマルケスの動きが特徴的である。
ビジャレアルの各選手は図3のような形で動く。
右サイドバックは、アルマンド・サ、ハビ・ベンタと二つのオプションがあり、右サイドの攻撃を重視する場合はサが使われることが多い。
数年前まで、スペインといえば1−4−2−3−1(デポル、マドリー、ベティスその他)が主流だったが、今年の上位3チームいずれもが1−4−3−X系のシステムになっている。
ついでに言えば、昨年チャンピオンズリーグを制したモウリーニョのポルト(オポルト)も左サイドのデコが最後まで前線に留まることから、1−4−3−3に近いシステムを採用しており、今年の決勝に進出したリバプールとミランのうち、ミランは1−4−3−1−2を採用している。
1−4−3−1−2系システムの攻撃における問題点は、左右のウィングにあたる位置のスペースに誰もいなくなることにある。
これを解決する方法としては、
1 フォワードが流れる
2 中盤後ろの左右が斜めに走る
3 サイドバックが鬼のように上がる
の3種が考えられる。
レアル・マドリーは、1、2、3の併用で、カウンターでは、ロナウドが左、オーウェンが右に流れ、ボールを持った後は、左はロベルト・カルロス、右はベッカムが斜めに走る。
バルサは、3が主流であり、右はベレッティがひたすら走り、左はジオ、もしくはシウビーニョがロナウジーニョを追い越す。
ビジャレアルは微妙で、ホセ・マリかグァイレが右のスペースを縦に走り、右サイドバックがアルマンド・サである時は彼が上がる。
ソリンを多くの場合、中央に上げる関係で、左の奥は使われない時間が長い。
後方からウィングのスペースを活用するために動く選手は、恐ろしいほどの距離を走る運命にあり、持久力に極めて長けていなければならない。
マドリーではベッカム、バルサではベレッティ、ビジャレアルではソリン、ミランではカフーが身を粉にして働き、ポルトではヌーノ・バレンテ、メンデスといった選手が涙なしでは語れない距離を走っていた。
逆に言えば、このような特徴を持つ選手を、少なくとも一人は抱えていないとこのシステムは機能しないとも言える。
ここで、アトレチコ・マドリーが最近の流行に乗ったと仮定して考えてみる。
とりあえず、図4のように配置して矢印のように動かすとする。
ブラウリオ、もしくはサルバをトップに置き、そのやや後方、左よりにトーレスを置く。
イバガサはフォワードと右中盤の間のようなポジションから、ブラウリオ、トーレスが開けた中央のスペースに入ってボールを受ける。
イバガサが動いて開いたスペースには、ベラスコかルシン(リュクサン)が利用し、左サイドは左中盤のアントニオ・ロペスが利用する。
このように動けば、各選手が自分の得意なゾーンに収まり、少なくとも個々の特徴はより良く発揮されのではないかと想像される。
シーズンが後一試合で終わる段階で、このような妄想をしたところで、無意味と言えば無意味なのですが。