Madrid vs Levante
04.11.28.domingo
日時:第13節 2004年11月28日(日)
対戦:マドリー vs レバンテ
結果:5−0
得点:1−0 43分 ロナウド
2−0 50分 フィーゴ
3−0 51分 ロナウド
4−0 55分 ベッカム
5−0 87分 オーウェン
審判:トゥリエンソ・アルバレス
退場:−
警告:エルゲラ、セラデス、フィーゴ、グティ、ベッカム(マドリー)
リベーラ、モラ(レバンテ)

シュスターの言い訳 (2004.12.01)

今日は、申し訳ありませぬが、サッカーの戦術のお話を少々。

レアル・マドリーとの対戦においてレバンテの監督、ベルン・シュスターはシステムを1−5−4−1に変更して5−0と敗れ去った。
これを受けて会長、選手、メディアから非難の集中砲火を浴び、火達磨にされてしまった彼ではありますが、記者会見ではノーコメントで貫き通し、一切の言い訳をしなかった。

今回はその彼の立場になって、採用した戦術の正当化を試みてみようかと。

まず5人のディフェンダーを配置したこのシステムは極めて守備的に見える。
しかしながら、この布陣の眼目は、引いてからのカウンターではなく、ボールを持って相手をコントロールする点にある。

ボールを回収した後の選手の動きは、この図のようになっているが、中盤のサイドのフアンマとナチョが前線に上がってスリートップのような形を取り、その後ろにピニージャス、ハート、二人のサイドバックが大きく開く。
この、守備から攻撃への切り替えを素早く行うことにより、サイドにフリーな選手を生み出し、そこを起点にボールをキープしてレアル・マドリーの全体を押し下げてゲームをコントロールする、これがシュスターの狙いだった。

なぜこれが有効かといえば、レアル・マドリーのロナウドとフィーゴはそれほど熱心に守備へと戻らないためにディフェンスラインからサイドに展開するパスは容易に通ること、そしてグティ、セラデスと並んだボランチは体を寄せる守備が得意ではないために、その前で短いパスを通しながらサイドを変えることは比較的容易であることによる。

この動きを行うことにより、この図のような場所でボールを簡単にキープすることができる。
その反面、この戦術では、サイドの二人、フアンマとナチョに過度の肉体的負担が生じる。
攻撃においてトップの前まで飛び出し、守備においてはサイドバックに対するヘルプも行うこのポジションには、生真面目さと持久力が不可欠な要素である。

この為、右サイドにはエティエンではなくフアンマが採用された。

シュスターとしては、前半は相手をコントロールしながら後ろに走らせることで体力を消耗させ、後半の15分過ぎからスピードに優れるエティエンとゴール前で強いマンチェフを送り込み、勝負を賭ける、予定だったと思われる。

これは実際に非常に上手く機能しており、前半押し気味だったのはレバンテだったし、その終了時点でのボール保持率は50%:50%(audio sportによる)だった。

もしその采配にケチをつけるとしたら、43分に一発芸により先制されてしまったので、後半開始から上の二人を出して叩きあいに持っていく、という手法を取らなかったことではなかろうか。

さらに付け加えるならば、シュスターは本気でレアル・マドリーに勝つつもりだったと思われる。
今シーズンの躍進において中心的な役割を果たしているマンチェフとエティエンをベンチに置いて敗れれば、火達磨にされることは火を見るより明らかである。
もし負けると思って試合にのぞむならば、何も変えなければいい。
そうすれば、試合後、「いや、我々は全力を尽くした、マドリーが強かったからしょうがない。」といったコメントを残して全ての人間を納得させ、それで終わる。

それでも敢えて急激な変更を行ったのは、成算があったからに相違ない。
前半終了時点でシステムも選手も変えなかったのは、それが上手くいっている、と判断したからである。
試合の流れは実際に彼の思う通りになっていた。

一方では、こういった急激な変更において難しいのは選手の心理状態のコントロールで、彼等は基本的に保守的であり、いままで上手くいっていた方針が変更されることを好まない。

どんなに理論的に正しい戦術を採用しても、変わることに対する不安が心理的なブレーキとなり、選手のパフォーマンスを落とすことは良くある。
このマネージメントは監督の腕次第だが、この日のレバンテは前半終了間際の失点により、選手たちの心の片隅にあった疑念が膨らんでしまった。

シュスターとしては、前半のパフォーマンスから自分の行った変更を正当化したかったのではないかと想像されるが、結果が結果だけに何を言っても言い訳になるのでノーコメントで通したのだろう、とこれまた想像される。

c60 logo
トップページへ