Sevilla vs Barcelona
05.01.29.sabado
日時:第21節 2005年1月29日(土)
対戦:セビージャ vs バルサ
結果:0−4
得点:0−1 49分 エトー
0−2 57分 バプティスタ(P.P.)
0−3 59分 ロナウジーニョ
0−4 74分 ジュリー
審判:ハビエル・トゥリエンソ・アルバレス(カスティージャ・レオン)
警告:マルティ、アントニート(セビージャ)
プジョル(バルセロナ)

0−0の状態で、審判のトゥリエンソ・アルバレスがセビージャに有利なPKを3回見逃し、後半4分から10分間で3点を奪ったバルサが今シーズン始めてサンチェス・ピスフアンで勝利を収めたチームになった。

この試合では、前半バルサが採用した戦術と選手配置が非常に目を引いた。

同じことを何度も繰り返して申し訳ないのですが、今シーズンのバルサは3人のフォワードを置き、前線からのプレッシャーを最大の武器として戦っている。
これまでは、1点リードで後半35分を迎えても、1−4−1−2−3を崩さず、「いや、一人下げて守ってしまえばええやんか」という外野の疑問をよそに、前からボールを取りに行く姿勢を崩すことはなかった。
ここ5ヶ月の間、誰が相手だろうが、どんな状況にだろうが、己の方法論を押し通したバルセロナだったが、この日は違っていた。

まず、前線に配置されたエトー、ジュリーの動きを見ていると、センターライン前方に位置を取り、相手センターバックがボールをコントロールするのを眺めている。

これはある意味、衝撃的な事実で、これまでのバルサと言えば、相手ディフェンダーがちょとでもコントロールミスを犯そうものならエトーもしくは元気だった頃のラーションが鬼の勢いでプレッシャーをかけ、相手が慌ててパスを出したところを狙い撃ちで潰してきた。

それがこの日は相手を眺めるばかりで、ほとんど信じられないほどに受動的な姿を見せていた。

これに輪をかけて異常だったのは、左のロナウジーニョのポジションで、実に中途半端な、気持ちの悪い位置にいた。
これまでのバルセロナは理論的にも実際的にも完全なスリートップで、左から、ロナウジーニョ、エトー、ジュリーの並びを採用してきた。
それで行くなら、ロナウジーニョは右のジュリーとほぼ同じ高さにいなければならないが、この試合では左のウィングとしては下がり気味で、左の中盤にしては上がり気味という非常に気持ち悪い場所に位置していた。

試合開始からのバルサの配置を一言で表すと、「ヘンナカタチダネ」ということになる。
上のロナウジーニョはもとより、ジュリーがセンターフォワードに位置し、エトーはフォワードかと思いきや右サイドを鬼の勢いで守備に戻る。
見方によっては1−4−3−3かもしれないが、ロナウジーニョを中盤に数えると1−4−4−1−1と言えなくもない。
おまけに、この気持ち悪い配置では両サイドバックの前に空くスペースを埋める責任者が曖昧になり、前から圧力をかけて相手を潰す1−4−3−3の強みを発揮することもできなければ、中盤にスペースを残さない1−4−4−1−1のメリットをいかすこともできない。

実際問題として、33分前後にデコがアントニートを押し倒してPKを奪われそうになったり、アドリアーノによさげなシュートを撃たれたりと3回ほど立て続けにピンチを迎えているが、全て右サイドのセルヒオ・ラモスをフリーにしたことが起点になっている。
ここでロナウジーニョが戻らずに完全に前に残ってカウンターを意図していればそれなりに筋は通るのだが、中途半端に戻ってしまい相手に対する脅しにもなっていなかった。

バルサの守備における動き(図1)を見ている限り、監督としては、1−4−4−1−1気味の布陣を採用し、どうしても空く右サイドはエトーで埋め、取りあえず後ろを固めて相手のミスを待とう、という意図ではなかったかと思われる。
しかしながら、敵センターバックのパブロ・アルファロがミスを犯したのは前半終了間際の44分のことだった。
さらに言えば、もしそのような意図でプレーするなら、図2のように組んだ方がわかり易いような気もする、のではあるが、どうにも真意がわかりづらい。

セビージャ側では、トップのアントニートが絶好調で、何度も無茶な体勢から意表を突いた技を繰り出してバルサのディフェンスラインを混乱に陥れていた。
特に彼らしかったのが、15分の後ろ向きの体制からヒールでオレゲルの股を抜いてアドリアーノにスルーパスを出した場面と、33分に右サイドでボールを受けて、後ろによろめくような体勢から体を反転させてプジョルを抜き、後ろから来たデコにPK気味に押し倒された場面だった。
アントニートの特徴として、よろめくようなドリブルがあり、「バランスを崩しよった」と思ってボールを取りに行くと、怪しい体勢からボールを引かれたり、ヒールで逆を取られたりする。
あの特異な芸風は、リーガ広しといえども彼だけのものなのではなかろうか。

後半に入り、バルサは来たばかりのアルベルティーニを投入してバランスの回復をはかった。
最近パパになったばかりのベレッティを外して右サイドにオレゲル、マルケスを右センターバックに入れてアルベルティーニがボランチ。
ついでにジュリーは右に戻り、エトーは中央、ロナウジーニョはポジションを上げた。

そして、後半のバルサはといえばいつものバルサで、センターバックを潰しに行っている。
これは、前半のジュリーとエトーを10分間見て、後半の彼らと比べれば一目瞭然ではなかろうかと。

これに対してセビージャは前半と同じようにバルサの弱点を突こうとして火傷を負ってしまった。

49分に左サイドから中に切れ込んだロナウジーニョが絶妙のパスをエトーにあわせてゴールを奪うが、これはセルヒオ・ラモスが上がった穴を見事につかれている。

前半と同じようにセルヒオ・ラモスをロナウジーニョの裏に上げても彼はついてこない。セビージャがボールを失うとサイドで浮いたジーニョへ簡単にボールがつながる。セビージャの右ボランチのマルティはラモスの裏をカバーするためにサイドバックの位置に下がる。それにより中央にスペースが空く、ロナウジーニョに時間が出来てパスを通される。
以上の仕組みで失点を喫した。

普段のセビージャは、ほとんどサイドバックを上げずに非常に守備に重点を置かせて戦うが、最も危険なロナウジーニョを捨てて上がったのは、前半のイメージに引きずられたためだと考えられる。

その後はバルサのコーナーキックをバプティスタが自分のゴールへゴラッソを決めたこともあり、セビージャは相手のリズムにまったくついて行けなかった。

ちなみに後半のセビージャの交代は中々に個性的で、まず怪我のセルヒオ・ラモスの穴を埋めるためにヘスース・ナバスを右中盤に入れてダニエル・アルベスを左サイドバックをに下げたのは自然な交代だが、次に左中盤のアドリアーノを下げてそこにバプティスタを配置、前線にカルリートスを置いたかと思えば、次はマルティをセンターバックに下げてバプティスタをボランチ、プエルタを左サイドに配置した。
マルティのセンターバックは、自然と思えば自然だが、あまり見たことのない配置になっている。
また、最後の交代で左中盤に入ったプエルタは妙に守備が上手く、左足でのドリブルに見るべきものがある。今後、貴重な戦力になることが期待される。

様々なことがあった90分だったが、その中でも試合中まったく笑うことのないホアキン・カパロスが0−4の後、セビージャに不利な判定に対して苦笑いを見せていたのは非常に印象的だった。

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