Real Sociedad vs Real Madrid
05.04.30.sabado
日時:第34節 2005年4月30日(土)
対戦:ソシエダー vs マドリー
結果:0−2
得点:0−1 82分 ロナウド
0−2 93分 ロナウド
審判:トゥリエンソ・アルバレス(カスティージャ・レオン)
警告:バルケロ(ソシエダー)
ベッカム、グラベセン、ボルハ(マドリー)

先週はレアル・マドリーの攻撃における特長を眺めて見たので、今週はその守備面での特徴について。

まず、この試合でのレアル・マドリーは、サイドバックが抜かれた後のカバーリングに非常な特徴がある。

カバーリングというのは、敵に抜かれた味方の穴を埋めるため、誰かが自分のポジションを離れてカバーに向かうことを指すのですが、一般的なシステムでは、サイドバックが抜かれた後は、ボランチもしくはセンターバックが相手の前進を阻止するためにカバーに走る。

例えば、ボランチがカバーに行く典型的な例は、図1のような状況に見られる。

この図では、ポジションは基本的にレアル・マドリーと対応しており、20が右サイドバック、6が右センターバック、22が左センターバック、3が左サイドバック、23が右中盤、16がボランチ、21が左中盤、7が彼らを助けるために左サイドに下がってきた、と考えて下さい。

このように、ボランチがサイドバックのカバーに行く姿は良く見られ、レアル・マドリーでは一昔前のマケレレが、このような役割を頻繁にこなしていた。

同じような状況でサイドバックをカバーするやりかたとしてはもう一派存在し、図3のようにセンターバックがサイドへと出る。

これは、センターバックに近い能力をもつボランチがいるチームで行われることが多く、例えば去年のポルトのようにダ・コスタ(コスティーニャ)がボランチからセンターバックの位置へ入り、リカルド・カルバージョがサイドに出る、といった形で行われる。

この2つは初期状態から異なり、図1ではセンターバックはエリア中央近くに位置しており、図3では最初からサイドバックにより近づいておく必要がある。

「サイドでフリーになった相手を放っておくわけにはいかないので誰かが応対に出て行く」という意味では、両者ともに同じ思想をもとにしているが、レアル・マドリーの応対は一風変わっている。

この試合のマドリーは、1−4−4−2で中盤を菱形に組んでいる、と言うよりは、1−4−3−1−2であり、サイドが抜かれた場合には図5のように応対する。

基本的には、誰も抜かれたサイドバックのフォローに行かない。

抜かれたサイドバックが自己責任において相手を追わなければならない仕組みになっている。

これは、一般常識に反する行動であり、非常に興味深い。

ボランチ(グラベセン)がサイドバックへのカバーを意図的に行うのは、中央の選手がサイドのアゴ(センターバックとサイドバックの間)に流れた時のみであり、通常はこれを行わない。

一言で表せば、サイドを軽視し、中央を厚くした動きだが、これは、以下のような状況にも見られる。

図8のように、右の中盤が抜かれた場合、それをボランチがカバーするが、この時、右サイドバック、右中盤共に中央に位置を動かす。
右サイドバックは、中央によるセンターバックとの間に空隙を残さないためであり、右中盤は、自分のカバーに出たボランチの穴を埋めるためにそれを行う。

例えば、この後、中央にパスが折り返された場合は、図9のように、センターバックの2人でフォワードを潰しておき、中盤の三人でボールを取り囲む。

同じような状況(図10)から、サイドにボールが展開された場合は、図11のようにサイドバックが応対に出る。
この時、中央は、ボールと同じ高さにラインを保って下がり、最終ラインはキーパーとの間へのパス、中盤のラインは守備ラインとの間へのパスを切る。

結果としては、1−3−2−1のような構造が出来上がる。

この形で、一番危ない最終ラインとキーパーとの間へのパスと、二番目に危ない最終ラインよりもマイナスへのパスだけは絶対に防ぐことがマドリーの守備の生命線になっている。

以上ように、マドリーの守備組織は、サイドはやられても中央のゴール前、キーパーエリアのライン付近だけは絶対に防ぐ仕組みになっており、また、その後方からのミドルシュートについてはある程度あきらめざるを得ない構造になっている。

また、同じような構造は、コーナーキックに対するゾーンディフェンスでも見られた。

この試合、レアル・ソシエダーは長い時間ボールを支配し、何度もサイドをえぐってはシュートを放っていたが、そのほとんどがペナルティーエリアの淵付近からのものであり、最大のチャンスだったカルピンのシュートもペナルティースポットからのものだった。

その意味では、マドリーの思い切った守備法を崩してはおらず、試合後、「私のプラン通りの展開だった」というルシェンブルゴの言葉もあながち強弁のみではないと思われる。

この日のマドリーの戦いを、先週のゾーン図の言葉でまとめると、

「R1、L1のゾーンを捨てて、C0、C1の守備を厚くし、そこからのカウンターを狙っていた」という話になる。

サッカーでは、R1、L1とC1のゾーンは連動しており、どちらかを守れば一方が空く仕組みになっている。

片方を捨てることで守備を単純化させている現在のマドリーの仕組みは非常に男前ではなかろうかと。

ちなみに、このような、ある意味無理矢理な守りをやらなければならないのは、前線の3人を守備に参加させず、カウンターに専念させるためであり、これまでは、「ボールをつなぎたいけど、それが難しいのでやむなくカウンターに頼っていた」マドリーが、「本気でカウンターに目覚めた」ためだと考えられる。

今後の対戦を考えると、来週のラシンは左サイドにレゲイロ、次の週のセビージャは右に最近リーガで一番きれているヘスース・ナバスと左にアドリアーノを抱えている。

特にセビージャを相手にした場合、このような守備方法ではボロがでるのではないかと予想される。

ルシェンブルゴの対策が注目されるのではなかろうかと。

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