フル代表が冴えない試合をものにする中、今回はその裏で行なわれたU−21スペイン代表の試合をお届けしようかと。
これをやると、表の試合を楽しみにしておられた方がお怒りになる気配が濃厚なので、そちらについてもいくつか。
まず、スペインは綺麗サッパリ機能していなかった。
現在の代表は、中盤サイドと中盤中央のバランスを取るのが難しい。
サイドの2人を攻撃向きにすると、中央にオーガナイザーを置かざるを得ない。これは中央にパスを捌くセンスがないと、サイドが前を向いてボールを持つ回数が激減し、守備面のマイナスだけが目立つからである。簡単には。
この為に真中にシャビを置いたわけだが、そうするとその片割れ、ボランチの片方に守備の得意な人間、例えばアルベルダをバランス上、置かざるを得ない。
その片割れにゲームメイクのセンスがある程度以上あればよいのだが、そうでない場合、オーガナイザーを潰されると突然チーム機能が停止する。
この日、15分過ぎからのスペインが正にそれである。
これを避ける為にはまずはアルベルダのパス、それが駄目ならばその一つ後ろのセンターバックのパス、それも駄目ならサイドバックのパスでゲームを組み立てることが重要になる。
この日のように、センターバックにマルチェナ、プジョルを並べるとパスの面では多くを望めない。エルゲラを置いておくべきだと思うが、召集すらされなかった。
センターバックが駄目ならサイドバックだが、デル・オルノにそれを求めるのは今のところ酷であるし、ミチェル・サルガドは、非常に手堅くて極めていい選手だが、ほんのちょっと状況を改善するようなパスを出すセンスは持ち合わせていない。
サイドバックがボールを持って、例えば中央の選手がサイドに寄せてくる。そのほんのちょっとした隙間とタイミングを捉えて中央の選手にいい状態でパスを受けさせればゲームは動く。例えばシャビが良いタイミングで、ほんのちょっとした隙間でボールをもらえば、その小さな隙間を彼のテクニックで大きく広げることができる。
サイドからこのような変化を出せる選手は貴重で、その昔は、セルタでこっそりサイドミッドフィールダーやサイドバックをやっていたセラデスがこの技を持ち合わせていた。
今現在は、ガブリがたまにこの技を見せるが、大怪我を負い6ヶ月は帰ってこられないらしい。
世界的には、オランダがサイドバックのこの能力を最も重視していて、ボランチをサイドバックで使うことが多い。
コクが最も代表的な例だが、ファン・ブロンクホルストも同じ文脈で考えることができる。彼らは上がってのセンタリングもさることながら、低い位置でゲームを組み立てる際に威力を発揮する。
強いサイドをいかしていくのならば、まずは後ろからそれ用に組み立てる必要がある。
ついでに言えば、フェルナンド・トーレスをワントップに置くのは間違っている。
去年アトレティコの試合を多数見たが、トップ下のトーレスは怖いがワントップのトーレスはカモが葱をしょって出し汁までもってきた位に恐くない。
その理由はこれまでの試合分析と重複してしまうので述べませんが、トーレスを一番前に置く策は、イニャキ・サエスが失敗し、グレゴリオ・マンサノは諦め、セサル・フェランドも試みて結局サルバを一番前に置いた。
そのような実験はもう二度と必要ないと思うのだが、ニーニョ・トーレスの恩師ともいうべきアラゴネスだけにどのような手を打つのか、予想するのは難しい。
いや、意外とようけ書いてしまいました。
以下若者。
本当にイニャキ・サエスは1−4−2−3−1しかやらない。
イニエスタをトップ下に持ってくるのはナイスアイディアなのかもしれないが、その彼がボール触れたさにずるずると下がって、アトレティコからヘタッフェに移った組み立て屋のガビがトップに出るようでは何がなんだかわからない。
ついでに試合も何がなんだかよくわからない展開で、キーパーのモジャはスローインをペナルティーエリアの横で敵に渡して失点。右サイドバックのセルヒオ・ラモスは荒っぽすぎるファールでいつ退場するかとヒヤヒヤ、センターバックのムリージョは手堅いが、ハルケは無茶苦茶。ファールも無茶なら奪ったボールの処理は苦茶、2つあわせると無茶苦茶。
ボランチのビトロは体が小さくモービリティ(すばしっこさ)に優れた選手だと思うが、ガビが前に出る関係で守備ラインの前に残らざるを得ない。
となると、その小さな体でベルギーの巨漢を相手にするわけだが、なかなかに無茶な企画である。
サイドミッドフィールダーのファンフランとシルバは何もできなかったが、基本的には狭いピッチのせい。
特に幅が狭く、どんなにライン一杯に開いてもサイドバックがすぐ近くにいる。
スペインもホームでやるのだから自分達に有利なピッチをえらべばええのに、とも思うが、若者を鍛えるためにわざと試練を与えているのかもしれない。
ガビとイニエスタは上記の通りとして、残るはトップのセルヒオ・ガルシア。
この選手は噂ほどいい選手だとは思わない。スピードはあるのだが、一つ一つのプレーが粗い、というかあまりにも神経が行き届いていない。
例えばドリブルにしても触ったボールを次にどの位置に置くのか、極めていい加減で、あと5度右に置いておけば簡単にプロテクトできるのに、あと10cm手前に置いておけば簡単に切り返すことができるのに等々、と思う場面があまりにも多い。
一方のベルギーで一番目立ったのは左サイド、11番のメソウディもしくはメッソウディ(Messoudi)。
ありとあらゆる意味でへなちょこであり、上手い。
サッカーでの失敗の仕方は主に2種類であり、やり過ぎたか足りなかったか、この両者に大体分類される。
例えばパスミスも、強すぎたか勢いが足りなかったか、右過ぎたか左過ぎたか、タイミングが遅すぎたか早すぎたか、結局はそのように書き表すことができる。
そしてこのメッソウディ、常に足りない方で失敗する。特にパスミスをするときは、常に勢いが足りない。
基本的に、パスの下手な選手は強すぎて失敗することが多く、上手くなる程、遅い方のミスが出始める。
しかしながら、常に遅い方でミスをする選手、というのは稀有な存在である。
そして、そのヘナヘナと中途半端な勢いで飛んでいくパスが、彼のへなちょこなイメージを形成する重要な要素になっている。
サッカー界でこのような選手が生き残るのは難しい。
というのも、気合の入ったピッチ上でへなちょこなミスに対する風当たりは強いからである。
同じボールを失うにしても、強く出しすぎて、もしくはスピードを上げ過ぎてボールを失う方がなにやら一所懸命にやっているように見えるため、周囲の反応はやや和らぐ。
ベルギーのように、気合で吹っ飛ばすタイプが多い国でメッソウディのようなタイプが生き残った事は感嘆に値する。
よほどの才能を持っているか、超絶的に頑固者なのか、このどちらか、もしくは両方であると考えられる。
ちなみにスペインでは気合系に厳しく、へなちょこ系はわりと生きていき易い。
ベルギーの中で異彩を放つ彼の経歴を調べてみると、名前はモハメッド(Mohamed)と言うらしい。ちょっと気配の変わったプレーをするのもある程度納得がいく。
ついでに、どうでもいい話だが、この選手がちょっと上を向いて口を半開きにすると、気合の足りない小野伸二、のように見えなくも無い。
久しぶりにツボにくる選手の登場に喜んでいる間にスペースがつきましたので、今回はこれにて。