Valencia vs Deportivo
05.02.12.sabado
日時:第23節 2005年2月12日(土)
対戦:バレンシア vs デポル
結果:1−2
得点:0−1 45分 スカローニ
1−1 51分 ディ・バイオ
1−2 72分 ビクトル
審判:ウンディアーノ・マジェンコ(ナバーラ)
警告:マルチェナ(バレンシア)
ムニティス、カプデビラ、ロメロ(デポルティーボ)

デポルティーボ対バレンシア、バレンシア対デポルティーボといえばリーガファン垂涎のカードのはずですが、今シーズンはどうも様子が違う。

前半戦ではバレンシアが敵地で1−5で勝利し、チャンピオンチームの健在振りを見せつけたが、この試合ではメスタージャのファンが途中で白いハンカチを振り出すほどに酷い内容だった。

前半戦のリアソルでのバレンシアは、

       ディ・バイオ   コラーディ

ビセンテ     バラハ   アルベルダ   ルフェテ

カルボーニ  マルチェナ  ナバーロ  クロ・トーレス

               カニサレス

という並びになっていた。
5点を取って絶賛された試合と、壮烈なブーイングを浴びたこの試合のスタメンを比較してみると、中盤から前方の6人は、ビセンテを除き、まったく同じ選手が顔をそろえている。

ここで、ビセンテという選手の存在を思い起こしてみると、彼は「たった一人だけの軍隊」の異名をとるほどに周囲のヘルプを必要とせず、相手が誰であれ左サイドを縦に突破して正確なクロスを上げたかと思えば、中央に切れ込んでは右足でゴラッソを奪うなど、放っておいてもチームの攻撃を機能させる選手だった。

その威力は、特にスペイン代表で発揮され、イニャキ・サエスが率いたユーロ2004のスペイン代表の攻撃はビセンテ次第であり、彼が良い日はチームも良い日、彼が悪い日はチームも悪い日だった。

記憶にある限りでは、バレンシアがボールをつなげない症状は10月の半ば以降続いており、その原因は、サイドが縦に抜ける状況をつくりだせないことであって、それは直接にビセンテを失ったことに起因している。

その彼を失って、早4ヶ月近くが経ち、さらに今シーズンの復帰は絶望といわれる状況で、単純にファビオ・アウレリオをその位置に置いただけ、というシステムがどの程度の意味を持っているのか、非常に難しい。
おまけに攻撃をフォローすべきサイドバックは、左に攻めの苦手なモレッティ、右に左利きのカルボーニを置いており、基本的に攻撃面を改善しようとする意思は感じられない。

ただ、このラニエリのバレンシアの恐ろしさは、そんな状況でも点を取り、デポルを相手に勝つ寸前まで試合を持っていく点にある。

この試合の攻め筋はといえば、右サイドを真っ直ぐ縦に走るルフェテに斜めのロングボールを当てるだけだったが、同点に追いついたゴールは、カウンターからキケ・ロメロが上がった裏に走りこむルフェテにロングパスをつないで、素早く中央に折り返したところを、コラーディの裏から飛び込んだディ・バイオが叩いたものであり、正にバレンシアの狙い通りだった。

その後もバレンシアはラインの裏に抜け出したディ・バイオが胸トラップ一発でディフェンスを振り切って決定的なチャンスを掴み、その跳ね返りをミスタがエリア内からフリーでシュートする場面があった。

デポルはさほど多くもないチャンスの中で、オフサイドギリギリで抜け出したビクトルが、トリスタンの踵スルーパスを受けて決勝点をきめたが、あの場面で線審が旗を上げるか上げないかは本当にギリギリの話であり、ディ・バイオ、ミスタが点を決めなかったのは紙一重の差だったのだから、この試合でもバレンシアらしく、「つまらないプレーでも勝った」という結末を迎える可能性は十分にあった。

順位を見てみれば、守備の核を成していたアジャラが抜け、攻撃の核を成していたビセンテがいない状態で2位と12ポイント差とはいえ4位に着けている。

それなのに、ここまで非難を浴びるのは、イタリアとスペインの指向差からくるものだと思われる。

イタリア式なら
「ボールがつながらない」 −> 「ならば無理せずカウンター」

スペインの観衆としては、
「ボールがつながらない」 −> 「なら上手い奴を出してつなげ」 −>「 一番上手なアイマールがベンチにいるじゃないか」 −> 「おまけに昨シーズンのチーム得点王、ミスタもベンチにいる」 −> 「あの二人を出せば絶対に良くなる」 −> 「ああ、イライラする」 −> 「いつまで待たせるんだ?この監督は馬鹿じゃねぇのか?」 −> 「くそっ、いつまでコラーディとかいうトロンコ(うどの大木)を見てなきゃいけねぇんだよ」 −> 「ああ、むかつく」−> 「おまけとついでにカルボーニは右サイドバックかよ」 −> 「やれやれ、この監督はもう救いようがない」

という風に、最初は攻撃全般に対するイライラだったものが、コラーディに対する個人攻撃となり、最後は坊主憎けりゃ袈裟まで憎い式の論法で、監督のやることなすことすべてが嫌いになり、試合後に白いハンカチを振り回す行動となって表れているものと考えられる。

この試合でのコラーディの取り扱いは非常に面白い問題を含んでいて、

・監督としてはサイドから入れるボールを中で叩くために体の強い選手が一人欲しい

・観客はコラーディのプレーが嫌いで、そのプレッシャーは激しい

という状況の中で、理論を重視して彼を先発させるか、心理面を重視してミスタを先発させるか、監督としては非常に悩む場面だと思われる。

例えばロナウドなら、観客がどんなにブーイングをしようと自分の調子さえ良ければゴールを決めてしまうので悩む必要はないが、この試合のコラーディは、最初にカルボーニから絶妙のパスを受けてキーパーと一対一になりながら、それを外してしまい、その後はやることなすことすべてに罵声を投げかけられて前半だけでピッチを去った。

こうなると、結果論的にはミスタを最初に出すのが正解だが、こういった選択を迫られた時に正解を選んでしまえる人が「勘のいい」人であり、「運のいい」監督と呼ばれるのだろう。

ついでに言えば、試合途中から入ったアイマールの位置は微妙で、右中盤とトップ下の微妙な場所に置かれている。
試合後のラニエリは、

「ミスタとアイマールが入ったチームはまるで別のチームのようでしたが」

と質問され、

「サッカーには二つの側面があって、それは守備と攻撃だ。私としては前に一人のフォワードがいるアイマールよりも、二人のフォワードがいる時のアイマールが好きだ。そのような状況にするためにはシステム自体を変えなければならない。それに相手が疲れた時に出した方が、与えるダメージも大きい。」

と答えていた。
ならば単純にアイマールをトップ下に持ってくればよいではなかろうか、とも思うが、バレンシアの配置は戦術上の難しい問題を投げかけている。

コロチーニが入ってディフェンスが安定しそうなデポルについて書けていないのですが、今週はこの辺りで。

c60 logo
トップページへ