Suecia vs Holanda
04.06.26.sabado
日時:ユーロ2004 2004年6月26日(土)
対戦:スウェーデン vs オランダ
結果:0−0
得点:−
審判:ルボス・ミッチェル(スロバキア)
退場:−
警告:イブラヒモビッチ、リンドロス(スウェーデン)
デ・ブール、ファン・デル・メイデ、マカーイ(オランダ)

準決勝進出を賭けた一戦、スウェーデンは予想通り、カウンターを主体とした戦術を採用した。
中盤の底に位置するスベンション、リンデロスはイタリア戦と同じ組み合わせであり、相手の優位を認めた場合に採用されている。
右にジョンソンが先発したが、ビレムションを先発させ、そのスピードで最も危険なロベンを抑えると思っていただけに少々意外。
この日のスウェーデンの守備的思想を如実にあらわしているのはリュングベリの位置取りであり、これまでで最もディフェンスラインに近い。

一方のオランダはフランク・デ・ブールを先発させた。ボウマの怪我が一部で報じられていたたため、それによる次善の策かと思ったが、途中出場したボウマの動きを見るに十分先発に耐えられる体調だったようだ。

フランクの特徴として、まず足が遅い、そして一対一に強くない。
その彼をラーション、イブラヒモビッチと直接マッチアップする場所に置く、これはほとんど自殺行為に近い。
一方、その長所は、ピンと背筋を延ばして顔を上げ、狙いを定めて行う40mを越えるボールフィードの精度にある。
この日も35分で交代するまでに何度かそのようなパスを見せ、味方が回収できなかったボールは一本しかなかったと記憶している。
狙った選手が直接的にボールをキープするのが一番いいわけだが、その跳ね返りを敵に渡さない、これも重要な意味を持つ。敵に回収されないためには、まず、フィードがギリギリの位置、すなわち最初の守備者が簡単にクリアできない位置に飛ぶ必要がある。

フランク・デ・ブールのボールはフォワードが優位を得やすい位置、ディフェンスが取り難い絶妙な位置に扱い易いスピードで現れる。
もっと感覚的に言えば、ロングボールには、「止められるもんなら止めて見やがれ!」という球筋と、「ここまで来ました、どうぞ煮るなり焼くなり、好きにしてくだされ」という二つの球筋がある。ハイティンガ、ボウマの蹴ったボールは前者であり、フランクは後者である。

彼が先発するかどうか、とういうのは上のプラスとマイナスの収支で考えることになるのですが、一般常識ではカウンターを狙うスウェーデンにわざわざ彼らが求める隙を与える必要はないので、ボウマを先発させる。

しかしながらオランダはあくまでも男前にフランクを出し、自分達も攻める変わりに、相手にも攻めさせる道を選んだ。
そのお陰で、前を向いて突撃するリュングベリに対してフランクが足の裏ごと突っ込み、イエローを貰うと同時に怪我をするまでは試合に動きがあり、面白かったのではないかと。

相手が引いた状態でウィングを置くシステムを機能させるためには、全体を動かすパスをディフェンスラインから送る必要がある。ファン・ファールがバルサ時代にフランクを引き抜いたのはそれがためである。
それを失った35分以降、81分にカルストローム(シェルストローム)が登場するまで、試合が動かなくなったのは当然と言えば当然だが、残念な交代だった。

そのカルストローム登場の前、64分に怪我のジョンソンに代わりビレムションがピッチに入ったが、どうも回りに信頼されていない気配がある。
とにかくスピードに優れ、ビュンビュン走って縦に行くのはいいのだが、顔を上げないためどうも回りが合わせ辛い。
一度良い形で右サイドを縦に抜け、疾走するそのままの勢いで中央へ絶妙なセンタリングを見せたのだが、誰も中央に走りこんでいなかった。ラーション、イブラヒモビッチ共に、「うーん、元気に走っとるけど、中を見ているのか見てへんのか解れへんし、取りあえず眺めとこ」と思ったのか思わなかったのか、まったく走る気配を見せなかった。
これは走るサイドと走らない中央、どちらが悪いという問題でもなく、相互の信頼の問題である。

試合開始から、がちがちに守ったスウェーデンを批判することは簡単だが、あれ以外に勝ち目はないのだからしょうがない。守備、中盤のラインを比較すればその優劣は明らかであり、攻めてスペースを渡し、サイド、中央で一対一を簡単に仕掛けられたら、その結果は火を見るより明らかである。
試合をつまらなくした、と言えばそうかもしれないが、勝つために最善を尽くした結果ともいえる。
特にエドマンの欠場は大きく、右サイドバックとして出場したオストルンドでは埋めることができなかった。ロベン、ファン・ニステルローイ、マカーイが入れ代わり立ち代り現れるサイドを守った、オストルンド、何とか一試合凌ぎ切った。ロベンを一人で止められないのはしょうがない。もし止められるなら、そもそも彼が先発を務めていたはずである。グループリーグで一度の出場機会もなかったにも関わらず、重要な試合で最大の火事場を任され、耐え切った、そのバックアップとしての功績は大きいかと。

それはさて置き、勝者となったオランダだが、ファン・デル・メイデを右の「ウィング」として置く意味は最早ないのではなかろうか。
ドイツ戦ではファン・ホーイドンクの頭へ、一番嫌いな放り込みを敢行し、チェコ戦では左ウィングのロベンを外して守ろうとして負けたわけだから、何も両側に選手を貼り付けることにこだわる必要もないだろう。
ポリシーはそれとして、中盤でボールを捌く選手も右側で縦に抜ける選手もいないのだから、対象性とシステム論に基礎を置くのは無理がある。
今の選手構成なら、ロベンをサイドから中央に動かすようにし、前にファン・ニステルローイとマカーイを置く、もしくはファン・二ステルローイと右に開くオーベルマースを置く、そして、その後ろをダビッツ、コク、セードルフで支え、空いた左サイドにファン・ブロンクホルストを上げた方が選手の特徴を無駄なく発揮することができる。

逆サイドからの完璧なパスを受けながら、縦に一度も進めずただボールを戻すだけ。このような動作が5回も6回も繰り返されているのだから、それはどうにか改善するべきである。
ファン・デル・メイデも、もっと後ろから中央に入ってシュートを放つような場所に置けば、その才能が発揮されるのではなかろうか。

己の「フィロソフィー」に拘るのも重要だとは思うのだが、結局最後にプレーするのは選手なんとちゃいますやろか。

それにしてもPK戦を見るのはしんどい。
攻める意思を見せつづけたオランダが勝ったとしても、優勢な相手を守り切り、勝つチャンスを手にしていたスウェーデンが勝ったとしてもそれに値するとは思うのだが、どちらかが負けなければならないのは、なんともしんどい。

1998年、ブラジルとの記憶に残る一戦の後、コクのPKはタファレルに止められた。
そしてこの日もそのキックはポストを叩き、ゴールネットを揺らすことはなかった。
オランダは12年もの間PK戦に負けつづけている、これで今回も負けていたら彼の心中は如何なるものであったか、、、と想像するだけで恐ろしい。

これまで欠けていた「運」が遂に味方したオランダ代表、どこまで辿り着くのか、次のポルトガル戦が楽しみであります。

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