セビージャと平和 (2007.03.23)

「さて」

「なんだ」

「今日は因縁話というか遺恨話をお届けしようと思うわけだが」

「例のあれか」

「そうや」

「セビージャのフアンデ・ラモスか」

「うむ」

「国王杯でベティスに勝利した後、次のようなコメントを残した」

”ベティスは、とても、とても、とても、ひどかった。我々は、無限といってもいいほどに彼らよりも優れていた。大差がつかなかったのが不思議だと思う。彼らが我々に対して、最少得点差で敗れる事をよしとするならば、こちらとしてはどうしようもない”

「これは素晴らしい」

「普通、”相手も素晴らしかったが、我々も良かった。チャンスをきっちりと決めたのが勝因だ”といった系統がコメントの王道だけに、相手をことさらおとしめる発言は光っている」

「まあ、最初の試合で氷の入った2リットルペットボトルを頭に喰らって気絶した後とあれば、仕方のない発言かもしれん」

「おまけに、ベティスに対しては個人的な恨みもあるしな」

「追い出された件か」

「それだけじゃなくて、フアンデがセビージャの監督に就任した際、”ベティスの元会長、ルイス・ロペーラは、優秀な監督がライバルに渡るのが嫌で、この契約を妨害しようとしていた”と発言した」

「自分で優秀というのもどうかと思うが」

「優秀というか、ベティスにすばらしい成功をもたらした監督が云々、という言い方だったと思うが」

「6位やったからな」

「そして、この言葉に対してロペーラは、”フアンデ?私が彼の契約を妨害したって?そんなことはまったくない。話はまったく逆だ。フアンデの方がベティスと仕事がしたいと泣きついてきたのさ。私が彼と直接会って、はっきりとノーだと伝えた。まあ、ベティスに相応しい監督ではないが、他のチームにはいい監督だろうね”と応じた」

「セビージャ名物なじりあいやな」

「双方相手を誹謗するだけ誹謗していて、なにがなんだかわからない」

「しかし、ロペーラのコメントも辛辣の極みやな」

「まあ、彼は徹頭徹尾のベティス嫌いだから、”裏切った”フアンデを骨まで憎いとは思うが」

「なにしろロペーラは、クラブ会長のくせにセビージャダービーで相手のスタジアムに足を運ばない男やからな」

「あんな場所にいけるか、ということかね」

「おまけに、セビージャのデル・ニドには、”お前もベティスのスタジアムには来るな”と言う始末」

「まあ、それは無理な話やねんけどな」

「スペインリーグの規定として、”相手クラブの代表者のために、パルコ(貴賓席)に場所を確保する義務がある”と書いてある以上、敵の会長が来たら拒む事はできない」

「それを知りつつ無理を言うてるわけやな」

「まあ、そうするとベティスファンが喜ぶからな」

「フアンデの時と同様、ライバルを落として自分の人気を上げよういう高等戦術やな」

「いや、高等ではないだろ」

「どっちかというと下な作戦やな」

「しかしだ」

「なんだ」

「ベティスは、クラブとして、フアンデにペットボトルをぶつけて気絶させた人間の年間チケットを停止して、出入り禁止にすると言っているわけだ」

「当然の措置やな」

「しかし、それはどうかと思うぞ」

「なんでや」

「もともと、セビージャいう都市では、ベティコとセビジスタの愛憎が強烈なわけだ」

「アンダルシア魂やしな」

「それを利用して、事あるごとに不穏当な発言をして対立を煽っているのが、ベティスの最大株主、マヌエル・ルイス・ロペーラなわけよ」

「まあな」

「自分の人気取りの為にファンを煽りに煽っておいて、彼らが暴走したら”クラブとしてきっちり責任を取らせます。あれは個人がしたことであって、クラブはそのような行為に関与しません”というわけだ」

「踊る阿呆に見る阿呆、同じアホなら踊らな損損、というやつやな」

「ちがうやろ。踊るのが阿呆で、踊らせたやつは上手い汁だけ吸って知らん顔、という話や」

「大衆社会の弱点というやつやな」

「リーガでもUEFAでもFIFAでもいいから、まず煽りの元凶であるロペーラを処罰して後にクラブ、本人という順番で対処していくべきのような気がしないか?」

「そうは言うても、ロペーラには”有力な”友人が大量にいるから難しかろう」

「なんだかなぁ、と思うわけだ」

「そして、そのペットボトルをぶつけられたフアンデが吠えたことにより、憎悪の層がまた1つ積み重なったわけやな」

「この世に平和が訪れる日は遠いかもしれんな」

「セビージャの騒動を見ると、世界平和の難しさを実感するというところで」

「今週はこの辺で」

「また来週」

「ご機嫌よう」



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