微妙な雰囲気 (2004.06.07)

先日の4−0でスペイン代表が勝利したアンドラ戦後、スペイン国内の雰囲気はどうか、と申しますと微妙な空気が流れております。

昨日テレビを眺めていると、

アルフォンソ(ベティス)
「トーナメントや試合前、我々は何度もファボリート(優位)であると言われた。しかしそんな称号はなんの役にもたたない。」

キケ・ワシュ(有名なインタビュアー)
「しかしやね、我々はいままでなんにも勝ったことがないんやで、ああ、あの時(1964年)を除いてやけど。」

イニャキ・カノ(サッカーコメンテータ?)
「なんでいつもクワルトス(8強)で終わると思う?」

といった言葉が聞かれました。「何度も」、「なんにも」、「いつも」といった言葉が非常に微妙な雰囲気を醸し出しております。

2002年ワールドカップの前は、スペインは強い、スペインはいける、スペインは優勝する、といった言葉がインタビューの端々に溢れていたものですが、なぜか今回はそのような強気な発言をする人が少ない、というより皆無に近い。
韓国では、「罠で負けた」というのがスペイン人の公式見解のはずなのに、この歯切れの悪さは何なのか、前回の出来事がよほどのショックとして残っているのかもしれない。

一方のスペイン代表はヘタッフェ(マドリード近郊)でアンドラ(フランス−スペイン国境の国、セラデスの故郷、付加価値税が無い)と対戦し、4−0と勝利を収めました。

現在一部リーグ昇格をかけて戦っているヘタッフェのホームスタジアムは14000人収容。もちろん満杯になったのですが、その最も安い席のお値段は5ユーロ(約650円)、結構高い席で10ユーロ(約1300円)、これだけ値引きをしないと客が集まらへんのです。
スペイン代表の人気、というものがおわかりになろうかと。

そのアンドラ戦で最も議論を呼んだのは、前半のレギュラーメンバーよりも後半のリザーブメンバーの方が「サッカー」をしていた点。

前半は、カシージャス(カニサレス)、プジョル、エルゲラ、マルチェナ、ラウール・ブラボ、アルベルダ、バラハ、エチェベリア、ルケ、ラウール、モリエンテス。

後半は、カニサレス(アランスビア)、ガブリ、セサル、フアニート、カプデビラ、シャビ・アロンソ、シャビ、ホアキン、ルケ、バレロン、トーレス。

ボランチにシャビとシャビ・アロンソを並べれば攻撃は上手くいく、攻めの弱いアンドラに対して後者の方が有効なのは当然と言える。
前半の組み合わせで攻撃が停滞する原因はサイドのミッドフィールダー、特に左サイドにある。どんなに冴えない試合でも、ボールを持って無敵に左サイドを突破し、次々とクロスを上げ、表面を取り繕う役を果たしていたのはビセンテであった。
その代わりとなるべきルケは、狭いスペースで細かくドリブルをする選手ではなく、前方に空隙がある状態で初めて機能する。その意味では、カウンターを基調に戦うか、ボランチに捌く選手がいないとその良さを発揮するのは難しい。

現在のスペイン代表が抱える問題は簡単で、両サイドに攻める人材を集め過ぎたため、守りを考えるとボランチに守備の強い選手を置く必要がある、しかしながらその両サイドを活用するためにはオルガニサドール(組み立て屋)を置かざるを得ない。そして組み立て屋は往々にして守備が苦手である。

この矛盾を解決する第一の方法は、どちらかのサイドに走り屋、ひたすら走ってスペースを埋める選手を置くのが定石とされているが、選抜された人材にそのような選手がいない。

よって頼みのビセンテを失った場合、突然チームがばらばらになったように見える。
しかし、それはもともと内在したチーム設計の矛盾が表面に出ただけであり、ビセンテ一人にその辻褄をあわさせていたこと自体に問題がある。

彼女とエジプトに出発する直前に代表に呼び出されたカプデビラを加え、最終メンバーの揃ったスペイン代表。
参加チームが続々と集結し、徐々に緊張が高まっていくポルトガル。
5日後のロシア戦を考えると心拍が速まるのでありますが。さて、どうなりますやら。

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