代表選手の横顔(その二) (2004.06.11)

ユーロ2004スペイン代表を楽しむための選手紹介、その二

バラハ:
体を張ってのボール回収、ドリブル、シュート、ヘディング、ビジョン、トラップ、等々、どこをとっても上手く、守備にしろ攻撃にしろサッカー選手として必要な能力を全て持っている。但し性格はイラチであり、自分の納得できない事態が起きると頭が飛んでしまいピッチ上から消える。その昔アトレチコの下部組織で活躍していたため、マドリードでも有名な天才君であった。気分が乗っているときのバラハは間違いなく世界でも最高クラスのボランチだが、そのような場面を目にすることは少ない。

シャビ・エルナンデス:
シャビと言えば彼のことだったが、最近はシャビ・アロンソにその座を狙われている。今シーズンは後ろをコク、ダビッツに支えてもらうことにより、ボランチからややポジションを上げ大いに活躍した。後半戦、彼とロナウジーニョのコンビは追っかけが出るほどの人気を博した。ボランチでも特に右側に置いてよく、右サイドに戻りの早いトラバッハドール(頑張りやさん)を配置してなおよい。体の面をつかって偽のイメージを見せ、敵の間をするすると抜けるのが得意。例えばトラップの後、右サイド方向に体を開き、相手が横パスをイメージした瞬間体を畳んで前方に抜けていくようなプレーが上手い。体の面を使って相手を欺くのはボランチに必須の能力であり、現役ではマケレレ、シャビ・アロンソなども上手い。その昔はデシャン、ドゥンガがこの技に優れ、どんなにプレッシャーをかけられても体で偽りのイメージを見せ、するすると寄せてくる相手をかわしていた。試合途中から使うのは難しい選手の一人。

ガブリ:
今回召集されたメンバーの中で、最も納得の声が少なかったガブリ。幼少のころはトップ下を務め、右サイド、右サイドバックとポジションを下げて来た。スピードに優れ、ボール扱いも確かなため、便利に使い回される傾向にある。ポリバレンテ(マルチ)な彼はサエスの保険的な意味合いが強い。ちなみに1999年、ワールドユースで優勝した時の監督はサエス。その時のメンバーで今回代表入りしたのは、イケル・カシージャス、マルチェナ、シャビ、ガブリ、アランスビアの五人。髪は薄いが若者である。

プジョル:
スペイン最高のディフェンダー。シーズン中怪我が多く休養も十分、活躍が期待される。スピードがあり、フェイントで振られても強引な方向転換でついていくことができる下半身のパワーは彼ならでは。最近ドリブルで開眼した節が見られるが、クロスはそれほど上手くない。サエスは彼を左サイドバックとして使う予定だったが、ミチェル・サルガドのリタイアを受けて右にコンバート、怪我の功名とも言える。しかしながら、センターバックの薄いエスパーニャ、中央で使うのが妥当であろう。

エルゲラ:
インタビューの時はちょっと斜に構えてかっちょつけた雰囲気を醸し出すが、都合の悪い質問になると居心地悪そうに回転イスをクニクニとくねらせながら答えるあたり、実は素直な性格なのかもしれない。都合の悪い意見でも人前で隠さずに喋ることを「セ・モハ」と言うが、イエーロ、カランカ、マケレレを懐かしむ発言をし、クラブからは罰金、マスコミからは賞賛を頂戴した。守備に関しては読みの早さと空中戦での強さが特徴だが、大読みしすぎて空振りしたり、悪い状況になると首をやたらと振り始め、どうにもならなくなると動きが止まってしまうあたりに微笑ましさを感じることもある。ボールを持っても上手く、思いがけない場所で極めて重要なゴールを決める不思議な能力も持つ。

マルチェナ:
以前はボランチとしてプレーする場面が多かったが、最近はセンターバックに定着した。パスがとっても上手いか、というとそうでもなく、守備がプジョル並に上手いか、というとそうでもないが、平均的に高い能力を誇る。チームでは隣にアジャラがいるせいか、年々後ろからのチャージがえげつなさを増している。

フアニート:
手堅くプレーするセンターバックで、サイドバックへのカバーリングが上手い。レンボと組んで、すかすかになりがちなベティスのディフェンスラインを支えていた。何か大きな武器があるか、と言われると私は思いつかない。

セサル:
デポルティーボではたったの十六試合しかリーガに出場していないが、代表入り。その特徴はなんといってもヘディング。ディフェンスラインに飛んでくるボール全てに競りかけ、その頭で弾き飛ばす。十六試合で黄色七枚、赤一枚とカード収集率も高い。

ラウル・ブラボ:
ラウール・ブラボかラウル・ブラボか、難しい所だが、後ろにつく「ブラボ」の音の関係で長音符号が消えたように聞こえるので、「ラウル・ブラボ」で良いのではないかと。ラウール・ゴンサレスはあくまでも伸ばす必要がある。二年ほど前はその上がりをいかして目のさめるゴールなんぞを決めていたが、今シーズンは「ジダネス・パボネス」政策の煽りをうけてセンターバックにコンバートされた。スピードがあるため、なんとなく任務をこなしていたが、ラインコントロールを間違えて失点したり、ついていくべき下がるフォワードを離して失点したり、はたまたサラゴサのビジャにこてんぱにやられたり、とやはりレギュラーセンターバックとして計算するには無理があることを証明した。あたりまえではあるが。左サイドとして先発予定であるが、敵の右サイドに小さく敏捷性の高い選手が配置された場合、守備面に不安が残る。

カプデビラ:
彼女の実家で休暇を満喫中に呼び出され、エジプト旅行をキャンセルして代表に参加。デポルではキケ・ロメロの控えだが、彼を飛ばして召集された。
売りは左足からのクロスと弾丸の如く飛んで行くフリーキック。

イケル・カシージャス:
一対一に抜群に強く、ハイボールに極めて弱い。シーズン後半ミスが目立ち、精神的な立ち直りが鍵。日本にも彼のファンが多いが、スペインにも彼の追っかけチカ(ギャル)集団が存在する。

カニサレス:
前回のワールドカップで香水瓶の割れたガラスで足の腱を切ってプレー不可能となり、「チューロ(伊達者)」伝説に新しい一ページを付け加えたことは有名。スペインで男が香水をつけるのは別に珍しいことでもない。その所作振る舞いには「自分はかっこいい」と思っている節がうかがわれる。何でもそつなくこなすが、キックがやや下手で爆発的な特徴もない。最近記者会見で、「カシージャスでなくカニサレスがゴールを守るべきだ、という意見がありますが。」と聞かれ「誉められるのは嬉しいけどよ、比較ってのはいらねぇな、比較ってのはつまんねぇからな。」と答えていた。

アランスビア:
なかなかに凄い飛距離と精度のパントを蹴る。しかしながら、ポジショニングの間違いや沈み込むタイミングが遅い場面が多く、個人的には代表に入ったことを驚いている。第三ゴールキーパーには和を乱さず、明るい性格の人間が適している、と思うが、それなら明るいのか勘違いかは微妙なビクトル・バルデス、笑顔の陽気なエステバン辺りでも良いような気がする。PK戦専用にレイナを連れて行く、という手もある。

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