この試合は、開始6分にいきなりアントニオ・ロペスが退場になった時点でレアル・マドリーにとっては非常に楽な状況になった。
その状況を十二分にいかしたマドリーは、あまり走らずにゲームを進め、まったりとした展開になった。
そんな、まったりとした展開の中で、ボランチを務めたパブロ・ガルシアの働きは光っていた、ように思われるので今回は彼に関する特集をお届けしようかと。
パブロ・ガルシアといえば、昨シーズンはオサスナで中盤の要として活躍し、その時の様子を伝える文章としてはこのようなものが残っている。
この時の話では、
1 強烈に上手い
2 ボールをほとんど失わない
3 淡白で冷静ある
4 パスが安全指向である
5 向かっていく気持ちがたりない
6 ポジショニングが良い
7 ファールが上手い
8 相手を追い込むコース取りが上手い
という結論に達していた。
その後の研究によると、淡白で冷静というよりも、正面から切れずに闇で切れる性格であり、チームメイトに向かっては言いたい事を言う性質であることが判明した。
まず、彼は自分がファールをされても確かに表情を変えたりはしないが、報復についてはしつこい体質で、今回のダービーでも後ろから引っ張ってきたフェルナンド・トーレスに対して肘を振り回す場面が見られた。
また、自分が痛い思いをする位なら相手に痛い思いをさせてやれ、と思うのかどうか、正面から相手に飛び込むときはとりあえず足の裏から突っ込むため、飛び込まれた方が悶絶した後に切れるシーンが良く見られる。
また、オサスナ時代は、チームメートがミスをしても対して文句も言わずプレーしていたが、レアル・マドリーに入ってからは動かないロナウドに対して動くように要求し、試合中に口論になる場面も見られる。
オサスナの頃は周囲のミスに対して諦めの気持ちがあったから何も言わなかったのか、よく分からないが、例えばこの試合ではサイドに詰めるのが遅れたジダンに声をかけるなど、指示を出している場面は多い。
そんなパブロ・ガルシアのマドリー・ダービーにおける活躍をまとめると、以下のようになる。
パブロ・ガルシア
簡単なパスの成功率
37/38(97%)
縦にタイミング良く入れたパス
7本
相手に取られたパス
1本
相手の攻撃を切った回数
27回
自らボールを回収した回数
12回
ディフェンスラインの前の一対一で勝利した回数
2/2(100%)
となっている。
まず、「簡単なパス」、とはその名の通りに簡単なパスで、プレッシャーのない状態でフリーの味方に渡すだけのパスを指す。
簡単ということは、絶対に間違えてはいけない、と同じ意味だが、この日のパブロ・ガルシアは一本だけ間違えている。
開始後3分38秒、なんの気になしにロベルト・カルロスに出したボールが弱すぎて、マキシに詰められて奪われそうになったのがそれだが、それ以降は反省したのか、確実なパス回しを続けた。
次の「縦にタイミング良く入れたパス」であるが、これは、前方の選手がフリーになった瞬間に縦方向に入れたパスであり、ボールを受けた選手が先手を取って攻撃をしかけられる、いわば攻撃の種となるパスを指す。
例えば、4分5秒のジダンへのパスがそれにあたり、相手のクリアを胸でトラップした直後にパスを出したことで相手守備陣に陣形を整える暇を与えなかった。また、48分40秒に右サイドのベッカムへと捌いたパスは、簡単ではあるが非常に的確なタイミングで出されており、下がってボールを受けるベッカムがコントロールした直後にクロスを上げることができるようなコースに出されている。
「相手に取られたパス」の次にある「相手の攻撃を切った回数」は、パスカット、ドリブル阻止、クリアなどで相手の攻撃を切った回数を示しており、27回を記録している。
その次の、「自らボールを回収した回数」とは、相手の攻撃を切った後に自らボールをキープしてパスをつないだ回数で12回を記録している。
この二つの数字がどれだけ偉いのか、という疑問については、比較の対象がないと難しいので、ASの「ボール回収数」というデータを参考にすると、
パブロ・ガルシア 14
イバン・エルゲラ 8
セルヒオ・ラモス 5
ロベルト・カルロス 5
となっており、数え方が違うとはいえ、他を引き離して首位に立っている。
マジョルカ戦、アトレチコ戦とマドリーが安定して戦うことができた裏には、中盤の底に位置した彼の活躍があると考えられる。
しかし、今後を考えると、パブロ・ガルシアに頼り切るのは不安である、というか危険であると考えられる。
まず、彼の前科としては、昨シーズン、イエローカード19枚、レッドカード1枚を受けている。
これはリーグトップの数字で、その内訳を見てみると、出場29試合、カードをもらった試合18(62%)、もらわなかった試合11(38%)、直接レッド0、イエロー2枚の退場1、連続無警告試合記録4、となっている。
さすがに警告をもらいなれているだけあって、退場した試合は少ないが、1シーズンの出場停止は実に4回、退場した試合を含めると5回を数えており、重要な試合でパブロ・ガルシアがいない、という事態が起きる可能性は高い。
特にイエロー三枚、もしくは二枚で出場停止になるチャンピオンズリーグは彼にとって厳しく、このためバックアップ問題には頭を痛めると考えられる。
ちなみに、なぜ、彼がここまで警告魔王かといえば、相手のドリブルを止めるときに最初からファールを織り込んだディフェンスをすることが関係している。
典型は49秒にマキシを倒したプレーであり、右サイドを縦に抜けようとするマキシのコースを切り、相手の切り替えしに対して軸足を刈っている。
あの場合、パブロ・ガルシアは体でドリブルのコースを切った時、相手が後ろへ切り返すのを最初から読んでおり、それに対しては最初から足をかける気でディフェンスに行っている。
先に相手の行動を読んで足を出しているので直接イエローをもらう可能性は低いが、常にこのような守備を行っているので、繰り返しのファールによるイエローを受ける可能性は高い。
これに、相手に突っ込む時に足の裏で攻撃する癖が加わって天下の警告魔王を作り出している。
さらに付け加えるならば、パブロ・ガルシアに致命的に不足しているのは瞬発力であり、このため、スペースのある状況でアウトパッセ(ボールを先に出して守備者の横を通し、体は逆を抜ける技)などを仕掛けられると弱い。
ちなみに、去年、唯一退場したアトレチコ戦では、アウトパッセを止めるためにヒップアタック(横を通り抜ける相手にお尻を突き出してぶつける)を行って2枚目のイエローを受けた。
それはさておき、チャンピオンズリーグでリヨンのようにスピードでがんがん攻めてくるチームと対戦した時、果たしてパブロ・ガルシアが無事に一試合を終えられるかどうか、定かではない。
今後、このような観点から彼をご覧になると面白いのではなかろうかと。
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おまけ
パブロ・ガルシアの警告履歴(04−05、オサスナ)
節 黄色数
1 1
2 1
3 0
4 0
5 1
6 1
7 1
8 出場停止
9 0
10 1
11 1
12 1
13 1
14 2(退場)
15 出場停止
16 1
17 出場停止
18 1
19 0
20 1
21 0
22 出場せず
23 1
24 1
25 0
26 0
27 出場せず
28 0
29 0
30 出場せず
31 1
32 1
33 出場停止?(黄色6枚なのは提訴がらみか?)
34 出場せず
35 0
36 0
37 1
38 出場せず
イエローを一枚で止める技術は芸術に近い