チャンピオンズリーグでは、チェルシーと対戦することが決まっているバルセロナは、この試合においては、
図のような配置で戦い、デコとイニエスタ間のバランスの悪さで苦労した。
セルタを相手に苦労する布陣では、前回のチェルシー戦の二の舞いになる確率が非常に高い。
そこで、今回は、ライカールトになって以来のバルセロナの変遷を振り返り、今後、どのようなバルサが最も強くなりうるのか、という問題について考える企画をお届けしようかと。
まず、ライカールトが就任した最初、03−04シーズンの後半は、
図1のような構成がベストだった。
ロナウジーニョは、基本的に守備に関わらず、状況に応じて左サイドから中央に入ってボールを受け、そのためのスペースをサビオラ、ジオバンニ・ファン・ブロンクホルストでつくりだす。
中央でボールを持ったロナウジーニョに対し、シャビが中央から、ルイス・ガルシアが大きく右サイドを上がることでパスの選択肢を増やし、ジーニョ、シャビの絡みから崩していく。
というのが、攻撃の本筋だった。
守備においては、ディフェンスラインを無理に上げず、コクが中央で穴を埋め、ダービッツが上がりっぱなしになるロナウジーニョの背中をカバーし、右サイドのスペースは、ルイス・ガルシアが吐くほど走って埋める手はずになっていた。
このバルセロナの破壊力はすさまじく、前半の19試合で27ポイントしか獲得できなかったところが、後半の19試合で45ポイントを稼ぎ出し、15ポイントあったレアル・マドリーとの差を逆転し、逆に2ポイントの差をつけてシーズンを終えた。
そして、次の04−05シーズンが幕をあけると、
図2のようなバルセロナが出現した。
この年の主眼は、この配置から息もつかせぬプレッシャーディフェンスで相手のディフェンスラインとボランチを窒息させ、守備で試合を決めてしまう、というものだった。
これにより、開幕当初こそ無敗の快進撃を続けたバルサだったが、シーズンも後半になり、相手の対策が進むにつれて影で記されたスペースが弱点となり、毎試合苦労を重ねた。
組織的に前からプレッシャーをかける方針と、組織に属した途端に輝きを失うロナウジーニョという存在が矛盾したことと、中盤にあくスペースを埋めるために高い位置をとらざるをえないサイドバックの裏のスペースを突かれ、それを埋めるためにサイドを下げると、こんどはボランチの周りのスペースががら空きにあるというシステム上の矛盾が混在し、最終的には、シーズンの前半に予想されたほどの強さを発揮することはできなかった。
そして、今の05−06シーズンが幕を開けても、去年の矛盾は解決されず、不調が続いた。
この状況が改善されたのは、第6節のオサスナ戦からで、前半のうちにデコ、ベレッティが負傷し、ファン・ボメル、エジミウソンが入り、
図3のような配置になった。
この図をながめてみると、各選手の動きが、
図1の03−04シーズンのものとよく似ている。
特に、ロナウジーニョの背中から、右サイドバックのオレゲルにいたるラインは酷似している。
メシがルイス・ガルシアよりも戻ってこない点がことなるが、エトーがサビオラよりも下がることでそれをカバーしている。
これらの変更に加え、無理に前からプレッシャーをかけず、一段引いて守るように守備の開始点を下げたことが効を奏し、昨シーズン生まれていた穴が消えた。
ようするに、03−04シーズンの形に近づいたことで、パフォーマンスが良くなったと解釈できる。
ならば、今のバルセロナで、より03−04シーズンに近づけるとすれば、
図4が考えられる。
この、中盤の左にモタ、もしくはジオが入る布陣は、実際にビジャレアル戦で用いられている。ただし、その時、監督のライカールトは風邪をこじらせて寝込んでいたため、副監督のヘンク・テン・カテが指揮をとっており、どこまでがライカールトの指示なのかはわからない。
以上の事柄と、シャビが靭帯を断裂し、シーズンの終わりまで戻ってこない、及び、ファン・ボメルがそろそろ実戦に復帰する、という事実を考え合わせると、雪辱を果たすべきチェルシー戦に向けた理想の布陣は、
図5のようになると予想される。
左の中盤で、デコかモタかを考えると、ボールを持ったときに安心なのがデコで、ボールを持っていないときに安心なのはモタだと考えられる。
しかし、チェルシーを相手にすると、このデコ、モタの位置でボールを失ってカウンターを喰らうのが一番危険なので、よりボールを失わないデコが適役であるという結論に達する。
次に、右のウィングがメシかジュリーか、と考えると、今後の調子と、周囲との兼ね合いで変化するものと考えられる。
また、これに対抗する候補としては、
図6があり、エトーを右サイドに入れて守備を強化し、最前線にラーションを入れるタイプである。
得点王のエトーをサイドに入れて守備が強くなる、というのはおかしな話だが、最近の彼の守備への貢献は並々ならぬものがあり、こうすれうば、メシを入れるよりもはるかに相手サイドバックへのマークがきつくなる。
以上が、主要メンバーに怪我人がでなかった場合の今後のバルサのベストメンバー予想ですが、真偽は2月にわかるのではなかろうかと。
一方のセルタは、素晴らしく効率的なカウンターを見せており、前半にあった3つの大チャンスの内一つでも決まっていれば、話はわからなかった。
その一方で、「カウンターしかやらないバスケスはやめろ」と言い続けているセルタファンは多い。
現在のチーム構成としては、抜群のボールキープ力を誇るフォワードと、ボールを捌ける2人のボランチ、ボールキープと組み立ての上手い右サイドバックのアンヘル、キック精度の高いセンターバックのレキと、ボールをつないで攻める下地となる選手は揃っている。
この点からすると、スペインらしいサッカーを要求するセルタファンの声は的を外してはいない。
結果を出しながらファンに愛されない監督のチームがどうなっていくのか、今後の注目ではなかろうかと。

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