Barcelona vs Chelsea
06.03.07.martes
日時:CL16強 2006年3月7日(火)
対戦:バルセロナvsチェルシー
結果:1−1
得点:1−0 78分 ロナウジーニョ
1−1 92分 ランパード(PK)
審判:マルクス・メルク(ドイツ)
警告:モタ、プジョル(バルサ)
ジョー・コール(チェルシー)


「バルサが勝ったな。」

「勝ったな。」

「それで、試合の後のカンプ・ノウ周辺はえらいことになってたらしいで。」

「なんか酔っ払いからラリった若者に絶叫するおっさんまで、各種取り揃えて大騒ぎやったらしいな。」

「しかし、この試合を見た後に、わざわざラリってしまう意味があるんかね?」

「どういうことや?」

「いや、この試合を見ただけで十分に幸せかつ楽しいんだから、それ以上ハイになってどうするつもりかという疑問や。」

「まあ今以上の幸せを貪欲に求めてはるんやろ。」

「なんにせよ、今日カンプ・ノウに居た人々は世界一の幸せもんやな。」

「チェルシーファンじゃなければな。」

「まあな。」

「バルサファンならうらやましい限りやけど。」

「ほんで、今日のチェルシーは最初から1−4−4−2やったな。」

「やったな。」

「これは前線からのプレッシャー狙いか?」

「多分。」

「でもな、前から行くなら、別に、普段やっている1−4−1−4−1というか1−4−1−2−2−1のサイドを上げて、1−4−3−3気味にしてプレッシャーをかけてもよかったと思うんだが。」

「それやと、中盤のサイドが薄くなるから、下がってくるロナウジーニョ、メシに対するマークが甘くから、それを嫌ったんやと思うで。」

「そうか。」

「前線の人数を増やして、サイドも開けない、となるとシステム的には選択肢は一つしかなかったんちゃうか。」

「そんで、バルサは第1戦とメンバーは変わらずと。」

「勝って変えない、という常識路線を歩んだわけやな。」

「しかし、この形で守るバルサは堅いな。」

「堅いな。まあ、相手が自分から仕掛けるのが苦手なチェルシーやというのもあるけど、バルデスが苦しむ場面はほとんどなかった。」

「去年、カウンターからざくざくと点を取られたのとはえらい違いやな。」

「まあ、去シーズンのバルサは、今のシステムで一番攻撃に偏った時とほとんど同じ配置やからな。」

「どういうことや?」

「だからやな、今のバルセロナでいうと、この試合の最終的な配置が一番守備的に堅いわけやな。」

「サイドをジオ、オレゲルで固めて、中盤左のモタが下がり気味、中盤の左右をエトー、ラーションでカバーするやつか。」

「そう。守り切れば勝利が決まる試合の後半70分前後に、ライカールトがこの形にシステムを組んだ、ということは、バルサが最も失点をしない配置はこれだと言っていいわけやな。」

「システムがあくまでも1−4−1−2−3ぽい所がバルサらしいな。」

「そんで、実験としては、ここから徐々に守備を弱くして、攻撃を強くしてみるわけやな。」

「ほう。」

「すると、まずはこうなる。」

「ロナウジーニョが左でエトーが右か。」

「こうすると、右サイドはエトーが走るので安定するが、左サイドはロナウジーニョの裏が穴になる。」

「それをモタでカバーするわけやろ?」

「そう。そんで、もうちょっと攻めを強くするとこうなる。」

「メシが右で、エトーが中、ロナウジーニョが左、、、っていわゆる普通のバルサやがな。」

「そうやな。で、ここからさらに攻めるとこうなる。」

「シウビーニョが左サイドバックか。」

「オバーラップした後の働きがジオよりもまさるシウビーニョを置いて、ロナウジーニョをフォローさせることによって左サイドの破壊力が増大するわけやな。」

「まあ、ジオよりも数倍ドリブルが上手いわな。」

「そして、さらに点を取りに行くと、こうなる。」

「中盤の前がデコ、ファン・ボメルか。」

「こう組むと、相手を待つ戦いではなく、より主導権を握って戦える。おまけに、ペナルティーエリアに近づくのが大好きで異様にシュートの上手いファン・ボメルが中盤に入ることで、スリートップの広げた前線スペースをより有効に活用することができる。」

「ある意味、ファン・ボメル以上にゴールを見ている選手はおらんな。」

「それで、もっと中盤の組み立てを重視すると、こうなる。」

「イニエスタ登場やな。」

「突然出る決定的なパスミスに目をつぶれば、こっちの方がよくボールが回る。」

「ところで、イニエスタと言えば、なんで彼はあんなにシュートが下手なんかね?」

「あー、、、まあ下手というか、本当に決定的なシュートが入らないだけやな。」

「それは下手というのじゃないんかね?」

「そうかもしれん。ゴール前に来ると緊張する性質かもしれんな。」

「あれだけトラップもパスも上手いのに、シュートになると全部バラバラになるがの謎やな。」

「まあ、それはそれとして、この状態から、さらに前に行くなら、こういう配置が考えられる。」

「禁断のベレッティの右サイドバックか。」

「こうすると、カウンターに対して極端に弱くなるけど、前には強くなる。」

「そうか?確かにベレッティは良く上がるけど、上がった先でメシと干渉したり、クロスの精度が今いちやったりで、それほど上手く機能せんじゃろ?」

「それはそうやけど、去年のバルサはこういう形で、中盤の構成とサイドバックの役割は一番最後の図に良く似ているわけよ。」

「でもな、去年は、ひたすら前からボールを取りに行っていたからそういう構成だったわけで、今シーズンとは話が違わんか?」

「いや、選手構成と特徴の組み合わせから来る弱点、という意味では一緒やで。そんで、バルサのバランスを考えた時に、図3が黄金配合に近かったという話やな。」

「まあ、なんにせよ去年は1種類しか戦い方がなかったけど、今シーズンは微妙なバリエーションが豊富やな。」

「そこが鍵やろな。”相手によらず自分達の戦い方を通す”という言葉は耳に心地よいけど、大体は嘘か間違いやな。サッカーは相手がおるわけやから、グーにチョキを出したら大体負けるで。”相手にあわせて自分達の能力を発揮しながら最適な戦いができる”というのが強いチームの条件やろな。」

「なんや、えらい説教臭いな。」

「そうかね。」

「ほんで、組織の話はそれぐらいにして、個人でいうたらMVPは誰や。」

「個人的にはデコかマルケスやけど、趣味でマルケスかね。」

「マルケスかね。」

「マルケスや。彼が最終ラインにいる事で相手が引いても組み立てに困らないし、最近は読みもカバーリング早くて守備も安心。一家に一台は欲しい感じやろ。」

「でも、たまに下がるフォワードに着いて行き過ぎたあげくに読みが空振りして、ピンチを招くようなこともあるぞ。」

「その辺は愛嬌や。サッカーにミスはつきものやし、それが1試合に2回3回起きなければ大丈夫や。」

「その1回で試合が決まることもある。」

「確かに。でも、プラスとマイナスをならすとマルケスの収支は大きくプラスやで。」

「それはそうやけどな。MVPはどうかね。」

「ほんなら、自分は誰やねん。」

「モタやな。」

「モタか。」

「モタや。」

「それこそパスミスはどうなんだ、という話だが。」

「いや、第1戦はそうやったけど、第2戦は渋かったで。」

「そうか?」

「特に置いとくパスが絶妙やったやろ。」

「確かにな。」

「念のために、”置いておくパス”というのを説明するとやな。ディフェンスのゾーンの間に置くように出すパスのことで、具体的にはのような形に見られる。」

「いや、説明していらんと思うが。」

「いいから聞いとけ。お前が勘違いしとるかもわからんやろ。」

「、、、」

「この場合、フェレイラ、カルバーリョ、ジョー・コール、マケレレで構成される四角形の間、ロナウジーニョの進行方向にパスが置かれていて、パスが出た後はこのような形になる。」

「、、、」

「相槌は。」

「ほう。」

「ここで、ボールはほとんど止まるような勢いで出されている。だから、のようにボールを受けるロナウジーニョはコントロールに困ることはない。」

「ほう。」

「もしこの場面でパスをスペースに置かずに、ロナウジーニョの足元にだすとこのようになる。こうなると、ボールコントロールは難しくなるし、なによりパスがジョー・コールにカットされる危険性が増す。」

「ほう。」

「ここは、”なるほど”や。」

「なるほど。」

「このようなパスは他の場面でも応用可能で、例えば、、のようになり、ここで直接パスを出すとこのようになる。図15図16を比べると、”置いておくパス”のコントロールしやすさがわかる。」

「なるほど。下がりながら正面から来るボールを受けるのと、下がりながら止まったボールを受けるので、どちらが簡単かという話やな。」

「まあそういうことやな。」

「とまあ、以上のようなことを思いながら試合をご覧いただければ、なにか新しい発見があるかもしませんので是非お試しいただければと。」

「よろしかったら是非。」

「では、今週はこの辺で。」

「また来週お会いしましょう。」

「いや、来週は試合がないけどな。」


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