この試合では、
図に見られるように、セルタは、1−4−1−4−1を、アスレチックは1−4−3−2−1を使用している。
今期のフェルナンド・バスケスは、このシステムをしばしば用いており、
マドリー戦でも同じ配置が見られる。(
マドリー戦の文章)
一方のアスレチックは、2005年の12月3日に行われたアトレチコ戦では
1−3−4−2−1を使用し、2006年の1月22日に行われたレアル・ソシエダー戦では
1−4−4−1−1を用いていた。(
アトレチコ戦、
ソシエダー戦)
アスレチックのシステムが一定しない原因は、シーズン前にデル・オルノとエスケーロを失ったにもかかわらず、左サイドの中盤を補充できなかったためであり、
図に見られるように、どこまで行っても選手が足りない。
この図は2005年10月29日に行われたセルタとの第1戦のものだが、冬のマーケットを経ても状況は改善されていない。(
セルタとの第1戦)
また、セルタ戦との第1戦の図3に左サイドの中盤を削った場合の
予想配置がある。それとこの試合の
初期配置を比べると前線の組み合わせが大きく異なる。
予想図では、ジェステが左サイド気味のトップ下、その右前方にエチェベリア、最前線左よりにジョレンテとなっているが、
この日のアスレチックは、トップ下の左にエチェベリア、右にジェステ、トップにアドゥリスが使われている。
エチェベリアが右利き、ジェステが左効きであることを考えると、この配置は興味深い。
通常、このように効き足が交叉するように選手を置く場合は、サイドでの縦突破よりもボールキープに重点を置いている場合が多い。
この日のクレメンテは、この配置からのボールキープ、特にジェステのキープからのカウンターを意図していたと考えられる。
それは、アスレチックの先制点が生まれた流れからもうかがうことができる。
アスレチックの得点は、カウンターからジェステが右サイドでボールを持った場面から始まっている。
ジェステは、
縦へのドリブルから、
中央マイナス方向へと切り返し、さらに
ボールをキープしてイラオラの
上がりを待ってパス。
イラオラは、
ワンタッチで中央でフリーになったアドゥリスにパスを出し、スペースにボールを置いたアドゥリスは
前に出るピントの右を抜いて決めた。
この得点は、右サイドにジェステを置きボールをキープさせることで、中盤の上がる時間を生み出そうとしたクレメンテの計画通りに生まれたと考えられる。
また、ここでアスレチックの
中盤の配置に目を転じると、右にムリージョ、左にイラオラが起用されている。
右サイドバックもしくは右中盤を本職とするイラオラを左に配置した理由は、彼を上げることでジェステが右に流れて生み出した中央、もしくは、左サイドのスペースを利用するためであるだと考えられ、同時に、センターバックも務めるムリージョが右に起用された理由は、ジェステを背後をカバーし、彼の守備的な負担を減らすためだと考えられる。
アスレチックは、開始7分の得点でリードを奪ったが、その後は一方的にセルタがペースを握って前半を終えた。
後半も同じ流れが続き、クレメンテは、55分に1−4−3−2−1を諦めた。
エチェベリアに代えてティコを入れると、ティコを中盤の右サイドに置き、システムを
1−4−4−1−1に変更した。
これにより、中盤を増やし、サイドバックの前のスペースを抑えたことで守備は安定し、試合は膠着模様になった。
その状況を打破するため、セルタのフェルナンド・バスケスは、64分に中盤のホルヘをフォワードのペレーラに代えた。
これと同時にシステムも中盤が菱形と言えなくもない
1−4−4−2に変更された。
そして、これでも相手を崩せないと見ると、72分と77分にさらなる交代が行われ、システムは
1−3−1−4−2に変化した。
これは、珍しい布陣であり、勝負オプションとして興味深い。
結局、最終的にセルタはレキを最前線に上げてロングボールを入れるオプションを採用しており、
1−2−1−4−3に近い配置で試合を終えた。
この結果、敗れたセルタはチャンピオンズリーグから遠ざかり、アスレチックは降格圏から2ポイント離れて一息ついた。
アスレチックが降格圏から抜け出しつつある点については、この日も点を決めたアドゥリスの貢献が大きい。
この選手は、冬のマーケットで到着し、現在までに6ゴールをあげている。
フォワードとしては、相手とスペースの関係を把握する能力とマークを外す能力、ゴール前での落ち着きに秀でており今後が期待される。
例えばこの試合でも、
図2−6、
図2−8、
図2−10に相手とスペースの関係を把握する能力の高さが見られる。
まず、
図2−6では、オフサイドの状態から一度下がり、
図2−8では中央に入るボールに対して逆方向に動いてフリーになっている。
この時、アドゥリスをマークすべきメンデスは、右サイドのカバーのためにアンヘル(8番)の後ろに残らざるを得ない状況になっている。
そして、これと同時に、セルタの左センターバックであるレキは、下がるエチェベリアを追って前に出ており、アドゥリスはこの状況を的確に把握してゴール前の一番良い位置でフリーになっている。
図2−10では、イラオラからのパスを反転しながらトラップし、中央方向にボールを流している。
この時、アドゥリスは、彼から見て右から迫ってくるディフェンス(レキ)に対してスクリーン可能な位置にボールを落としており、自分の後方にあるスペースと相手ディフェンスとの位置関係を的確に把握している。
この、相手とスペースの関係を把握する能力はスペースの少ないゴール前で仕事をするためには必須の能力であり、また、この能力が高ければ、相手のマークを外す能力も必然的に高くなる。
また、図からはわからないが、アドゥリスは、フィニッシュの
図2−11においてインステップでボールを蹴るモーションから、インサイドでキーパーを巻くようにシュートを決めている。
このゴールには、マークを外す動き、的確なトラップ、ボールスクリーン、キーパーに最後までシュート方向を読ませないフェント等の、点を取るためのエッセンスが詰まっており、これを見ただけでもアドゥリスの能力の高さがわかる。
彼の今後が注目される。
参考:1ゴールを決めるために要する時間(PKを除いた順序)
| 選手名 | 試合 | 先発 | 分数 | 得点(PK) | 分数/1点(PK除) |
| ラーション | 26 | 7 | 784 | 9(0) | 87(87) |
| エトー | 24 | 24 | 2119 | 20(1) | 105(112) |
| アドゥリス | 11 | 10 | 883 | 6(0) | 147(147) |
| ビジャ | 26 | 24 | 2067 | 16(3) | 129(159) |
| D・ミリート | 26 | 26 | 2088 | 13(0) | 161(161) |
| F・トーレス | 27 | 27 | 2388 | 12(3) | 199(265) |
| ロナウジーニョ | 24 | 24 | 2138 | 14(6) | 153(267) |
(参考文献:marca)

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