この試合は、
図のように1−4−1−4−1システム同士の対戦となった。
セルタは、いわゆる一般的な1−4−1−4−1の思想に沿った戦いを見せ、カノービオがグティをマークしてマドリーの組み立てを阻害しつつ、オウビーニャの周辺で奪ったボールからカウンター気味に試合を進めた。
一方のマドリーのは、数字の上では1−4−1−4−1だが、その戦い方はセルタと大きく異なっている。
まず、相手のディフェンスがボールを持った場合には、
図1のように、4トップに近い形でプレッシャーをかける。
このような形から、ジダン、グラベセンのラインでボールを奪うか、相手に長いボールを蹴らせればマドリーがペースをつかむ。
その守備網を突破された場合には、
図2のように、ジダン、グティをグラベセンの近くまで下げ、その前方にバティスタを置いて守る。
理想的には、このように引いた形から、左前方に残したロビーニョを起点としてカウンターを狙う。
しかし、試合開始当初こそこのような形は実現されるが、時間の経過とともに中盤の戻りが遅れ、
図3のような形になる。
この結果、これまでのように、グラベセンの周囲に出来たスペースを突かれ、ピンチを迎えることが多くなる。
図4は、レアル・マドリーがボールを持った場合の選手の平均的な分布を表している。
シシーニョがベッカムよりも前方に出ることが多く、ベッカムはそれをサポートする形で右サイドが成り立っている。
また、マドリーの攻撃は、ロベルト・カルロスとベッカムのサイドチェンジから開始されることが多い。
このサイドチェンジを含め、現在のレアル・マドリーの得点源は、サイドチェンジ、カウンター、フリーキックの3つにまとめられる。
そのうちの一つ、カウンターの中でも、特に相手コーナーキックからのカウンターは、マドリーの新しい武器と言うべき存在になっている。
国王杯のベティス戦でも、ベティスがコーナーキックを蹴るたびにマドリーがチャンスを迎えており、この試合でもマドリーの2点目は
図5のような形で決まった。
マドリーのカウンターは、セルタの右コーナーキックがクリアされたことから始まり、跳ね返りを受けたセルタのディフェンダーがロングシュートを放った。
そのシュートは、マドリーの選手にカットされ、ボールは中盤のバティスタを経由して左に開くロビーニョへと渡った。
フリーでボールを受けたロビーニョは、ドリブルからシュートを放ち、その跳ね返りを長躯駆け込んできたシシーニョが決めた。
マドリーのカウンターの種は、左に開くロビーニョであることが多いが、この場面にそれが良く表れている。
また、この場面ではセルタのディフェンダーのミスが見られる。
図のように味方の選手が前方に固まっている場合に、最高尾の選手がシュートを撃つとカウンターに対して極めて脆くなる。
この場合、ロビーニョをマークすべき選手が前に出てシュートを撃ち、それを相手選手にカットされたため、完全な形でのカウンターを受けた。
もし、相手の壁に当たらず、キーパーにキャッチされたとしても、同じ流れのカウンターを受ける確率は高い。
このため、このような場面では、シュートを撃たず、サイドに捌くプレーがリスクを考えた正しいプレーになる。
この状況は、フットサルで、前に出たキーパー、もしくはポルテーロ・フガドールが弱いシュートを撃ってカウンターから失点する状況に良く似ている。
監督が変わり、システムが変わったマドリーではあるが、本質的な戦い方、長所、弱点はほとんど変わっていない。
新しい見所としては、相手コーナーキック時の前線の配置が上げられ、それに注目することにより新たな発見があると期待される。

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