今シーズン2部から復帰したばかりのセルタは、5節を終わって首位と好調を保っている。
しかし、ビーゴ方面からは、「毎度毎度のカウンターでまったく面白味のない試合をしている」との不満も上がっており、監督とファンの関係は必ずしも良好ではない。
そんな事情もあって、この試合の直前、フェルナンド・バスケスは、「ホームでカウンターを行うのは恥ではない。マドリーやマンチェスター、ミランだって時と場合によってはホームでカウンターを主体にして戦うこともある。ホームでは、いつでも主導権を握ってプレーしなければならないという幻想はすてるべきだ。」と語った。
その言葉通り、実際試合でもカウンターを主体に戦い、前半はセビージャを手玉にとった。
セルタの構成としては、キーパーに現在PK阻止王のピント、ディフェンスラインは右から、隠れドリブラーのアンヘル、空中戦無敵のセルヒオ、カバーリングの早いカレーラス、肉体的素養は抜群ながらテクニックに欠けたプラセンテ、中盤の底は、こっそりと捌きが得意なイリネイと抜群のドリブルを見せたオウビーニャ、右はレアル・マドリーを出て見違えるほどいきいきとしたヌニェス、左は個人的には上手いと思えないアンダーの代表だったシルバ、トップ下にさすらいのドリブラーホルヘ・ラレナ、トップに噂のバイアーノが入っている。
この中でも特に目を引くのがプラセンテとバイアーノで、プラセンテは今シーズン5試合が終わった段階で3つのペナルティーを犯している。
また、攻撃においては肝心な場面でのコントロールミスとパスミスが多く、流れを断ち切ることが多い。
走り合いと当たり合いには抜群の威力を発揮するだけに、勿体無い状態が続いている。
今年マラガから移ってきたバイアーノは、抜群のボールキープ能力とゴール前での落ち着きで攻撃の核となっている。
どんな難しいボールも体を張ってキープし、ドリブルを始めればマルティが転ぶほどのフェイントを見せ、無理な体勢からのシュートも確実にゴールマウスへと運ぶ。
いいことだらけの彼ではあるが、後半、時間の経過とともに周囲から遊離していった。
その主な原因は、周囲とのアイデアのズレと彼の性格的な事情によると思われる。
まず、アイデアの面では、バイアーノはディフェンラインの裏に出るフェイントから戻ってボールを受けるのが好きだが、周りの選手にとっては縦に走ってスペースを広げて欲しい状況でも戻ってきてしまうため、プレーが苦しくなる。
彼自身は狭いスペースでもボールを失わない自信があるのだろうが、一点リードした後半にカウンターを喰らう危険のある場所にパスを送るのはためらわれるため、特に後半の後半は下がる彼にボールを当てる選手は少なかった。
このような状態が続くと、普通のフォワードはむくれるものだが、バイアーノもご多分にもれず切れてしまい、味方の些細なミスにも大袈裟に抗議のゼスチャーを行い立ち止まる場面がよく見られた。
昨シーズンの後半、マラガに来たばかりの彼は、もっとひどいミスにも文句一つ言わずに戻っていたものだが、今シーズンは初めから周囲にあわせよう意識に欠けている。
この日、途中から出てきたグスタボ・ロペスは、バイアーノのタイミングでボールを持たせるためにパスを出していたが、今後その他の選手との間でもこのような関係が築かれるか否か、注目される。
前半は、バイアーノのゴールとオウビーニャのドリブルシュートが決まってセルタが2点をリードしたが、後半はセビージャが逆襲に出た。
フアンデ・ラモスは、前半の1−4−1−4−1気味のシステムをあきらめ、サビオラをトップの一角に、カヌーテを右サイドに入れて1−4−4−2に変更した。
結果としてはカヌーテが二つのPKを奪い、この変更は成功したのだが、なぜルイス・ファビアーノを代えなかったのか、疑問が残る。
これまでのセビージャフォワード事情をまとめると、最初の3試合をカヌーテ、ケパの組み合わせで戦ったがチャンスをことごとく外すカヌーテに批判が集まり、4試合目はケパ、ルイス・ファビアーノでのぞんだが無得点に終わった。
そのことから、この試合ではルイス・ファビアーノのワントップで始めた。
しかし、ルイス・ファビアーノという選手はボールコントロールが上手いわけでも狭い地域でマークを外すのが上手いわけでなく、さらには強引にボールを受けてシュートにつなげることもできなかった。その彼を64分まで引っ張ったフアンデの真意は謎に包まれている。
バプティスタ、アントニート、アランダを放出し、マククラがまたしても怪我を負ってしまったセビージャのフォワード候補は、ケパ、カヌーテ、サビオラ、ルイス・ファビアーノであり、この試合を見る限り、どう考えてもサビオラが一番働いていた。
単純に彼を中心として前線を組み立てればいいと思うのだが、ライカールトに忌まれ、フアンデにも信用されていないあたりに世の不思議を感じる。
それはさて置き、その後、時は流れて後半84分になると、フェルナンド・バスケスはレキを投入して5バックに変更し、完全に守りに入った。
狙いとしては、ハイボールを多用してくるであろう相手に対して高さで対抗するというものであり、それは確かに上手くいった。
しかし、ホームでもカウンターを狙い、リードを奪った後は相手に主導権を奪われたまま取り返すことができず、さらには、ほうほうの体で逃げ切るといった試合内容は後味がわるく、勝って首位を守ったにもかかわらず、今後もバスケスに対する非難は続くと予想されている。