最下位のマラガに勝てなければいよいよ終わり、とされていたレアル・マドリー対マラガのお話。
試合前の状況としては、レアル・マドリーは、レアル・ソシエダーとヘタッフェに1−1で引き分けて、2位の座が危うくなり、さらには、下位を相手にふがいない戦いをしたことからファンの怒りが沸点に達していた。
一方のマラガは、33試合が終わって、99ポイントのうち25ポイントしか取れずに降格がほぼ確定。得失点に関して言えば、32得点54失点だった。
そんな両チームの対戦の前半は、0−1でマラガがリードして終わった。
後半が始まり、ファンのブーイングがますます強くなる中、ロペス・カロは、62分にバティスタとカッサーノに代えてジダンとソルダドを送り込んだ。
レアル・マドリーは、この交代により、
図のような配置となり、チームとしてはバラバラながらも、とりあえず攻める気力を見せた。
これに対して、マラガ監督のマヌエル・イエーロは、64分にトップのコウニャゴを下げて、センターバックのリトスを入れた。
この試合のマラガは、キックオフ時点では、1−4−1−4−1を使用していた。
しかし、前半から、このシステムの利点をまるでいかしていなかった。
1−4−1−4−1の良いところは、相手のツーボランチに直接プレッシャーをかけられることであり、
この場合で言えば、ボビオとフアン・ロドリゲスが、グティとバティスタを潰しに行ける点にある。
ここで相手の組み立てを阻害することで、図のようにディフェンスラインを上げ、その前方では守備的な中盤(この場合はヘラルド)が動いて常に中盤での数的優位を保つ。
こうすることで、守備が安定するのが1−4−1−4−1の最大の特徴である。
しかし、この日のマラガは、
このような形で、中盤は前にプレッシャーをかけに行っているのに、守備ラインはロングボールを怖がってラインを下げるものだから、
図のようにヘラルドの左右に広大なスペースが広がってしまった。
これは、典型的なシステムの誤用と言える。
マヌエル・イエーロが、センターバックのリトスを入れたのは、前に出ようとして中盤が空くくらいなら、後ろの人数を増やして、
図のように1−5−4−1で守った方が良い、と判断したためだと考えられる。
しかし、監督の計画は、交代で登場したリトスのパフォーマンスにすべて裏切られてしまう。
足の遅いリトスは、サイドでロビーニョとマッチアップすればドリブルについて行けずに転んでしまい、中央で守っては、絶対に届かないボールに飛び込んでPKを献上してしまった。(
図4)
選手交代の難しさを感じさせる出来事だった。
また、この日のマラガは、精神的に追い込まれたチームに特有の症状が見られた。
例えば、
図5のような状況で、ボールホルダーに詰め過ぎてしまい、
図6のように、簡単なワンツーで置いていかれる場面が目立った。
通常は、
図7のように、それを防ぐため、前に出る相手を追わなければならない。
精神的に追い込まれた選手は、「一所懸命にやらなければ」という意思が強くなり、最初の場面では頑張って詰める。
しかし、その頑張りが行き過ぎて戻ることが出来なくなり、次の行動に移るのが遅れる。
そのような現象は、このようなワンツーへの対応の他にも、サイドに一生懸命詰めた後、サイドチェンジへの対応が遅れる、といった場面にも現れる。
この試合、レアル・マドリーは合計33本のシュートを放ったが、これは、マラガの守備システムの崩壊ぶりからすれば、ある意味当然と言える。
しかし、レアル・マドリーの選手達も精神面で相当追い込まれていたため、逆転ゴールを決めるまでに89分もかかってしまった。
この試合は、追い込まれた者と追い込まれた者の試合として長く語り継がれる……ことはないだろう。
おまけ
落ちていくセルヒオ・ラモス(写真:El Mundo Deportivo)

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