まず、レアル・マドリーは、前節のマラガ戦からグティを右ボランチに置き、セルヒオ・ラモスを左ボランチに置いて戦っている。
普通に考えると、左利きのグティが左に来る方が自然だと考えられるが、なぜか上のような形になっている。
その昔、ダビッツとコクの2人の左利きをボランチに並べたオランダ代表の右サイドが攻撃において完全に麻痺し、苦戦を強いられたことがあったが、通常、左利きを右ボランチに置くとそのような現象が起こりやすい。
攻撃面ではマイナスが出やすいのにもかかわらず、ロペス・カロがその配置にこだわった理由としては、守備面から考えるのが妥当だと思われ、そう考えると、ロビーニョ、ロベルト・カルロスが並んだ左サイドへのカバーを重視しての起用だと推測される。
このゲームを組み立てるグティとより守備的な誰か、という組み合わせは2年以上前から手を変え品を変え試みられているが、とりあえずグティを消してしまえばマドリー全体のパフォーマンスが著しく低下することはよく知られている。
試合前、この日のオサスナの対抗策として、ウェボをグティにつけ、プニャルにセルヒオ・ラモスを潰させて主導権を握る、というものが考えられていたが、実際には次のような手段が用いられた。その要点としては、グティがボールを持った際には6番のラウール・ガルシアがそれを抑え、パスの苦手なセルヒオ・ラモスにはわざとボールを持たせてミスをさそい、それをトップの2人に当ててカウンターを行なう、という話になっている。
この基本方針は、15分にパチ・プニャルがロベルト・カルロスを小突いて退場になり、バルドが負傷交代した後も変わらず、ラウール・ガルシアとミロシェビッチでグティを抑え、セルヒオ・ラモスはほったらかしのような状態になっていた。
例えば、
図1ようにボールが動いた場合、まずラウール・ガルシアがグティの前に張り付きプレーを阻害する。
その後、
図2のようにサイドにボールが出ると、ラウール・ガルシアは定位置に戻らなければならないため、今度はミロシェビッチがグティを見る。
こうなると、必然的にセルヒオ・ラモスがフリーになるが、例えば
図3のようなパスが出たとしても誰も無理に距離を詰めようとしない。
その結果、ラモスがゲームを組み立てなければならなくなるが、ロングパスは強すぎ、地面を走るパスは先に読まれてしまうため、前線にボールが入らない事態に陥る。
この時、パスが苦手ならば、前方にあるスペースを利用してドリブルをしかけたいところだが、セルヒオ・ラモスが前に出ると中盤で守備をできる人間が誰もいなくなるため、それもままならない。
このような、わざとパスの苦手な人間をあける、というのは有効な戦術で、去年はバルサを相手にする時にオレゲルを空けるチームがよく見られたし、今年はマルケスを抑えてプジョルを空けるシーンがよく見られる。
わざとボールを持たされる側としては、屈辱この上ない話ではあるが、ボールを多く触るうちにパス能力が改善されていくケースも存在する。
プジョルがその好例で、左センターバックに入った時は相変わらずパスをつなぐのに苦労しているが、右センターバックでプレーする際には、左ウィングに位置するロナウジーニョへ見事なロングパスを見せる場面が多くなった。
スポーツ界では、弱点を集中的に攻められているうちに、それに慣れてしまい、弱点が弱点でなくなるというケースがたまに見受けられるが、現在、ボールに微妙な強弱をつけることができないセルヒオ・ラモスも一年後には変化している可能性もある。
それはさて置き、グティ1人を抑えられるともはや打つ手がない、という悲しい現実のまま時間は流れ、77分にオサスナが先制点を決めた。
これは、フリーキックから、
図4のような形で決まり、オサスナは一番背の低いロベルト・カルロスの頭上を意図的に狙っており、この試合に対する準備の入念さと普段の積み重ねをうかがわせた。
最終的には、レアル・マドリーはソルダドのゴールで追いつき、同点で試合を終えた。
この時ベルナベウは盛大なブーイングに包まれ、会長のフロレンティーノ・ペレスは苦りきった表情を見せた。
昨年、つなぎの監督をしていたガルシア・レモンは、クリスマス休暇中に首を切られた。
今回のロペス・カロが、来年もベンチに座っているかどうか、非常に疑わしい状況になっているといえる。

トップページへ