本日は多少ながくなっているため、一応4つの項目に分けてあります。
それぞれは独立しているはずですので、お好みの順番にてご覧下さい。
ソシエダーとマジョルカの狙い
ソシエダーの問題(この試合)
ソシエダーの問題(一般)
得点に見られる技
・ソシエダーの狙い
まず、攻撃におけるソシエダー各選手の動きをみると、図1のようになっている。
この中で、最も特徴的な動きを見せるのは左サイドに位置するアランブルであり、サイドを縦に走るのではなく、サイドから中央に移動して縦に入るパスを受ける。
中央でパスを受ける彼が、ソシエダーの攻撃のトリガー(引き金)になっており、そこからサイドにボールを散らす、もしくは、中央へのラストパスを狙うことで攻撃を動かしている。
例えば、監督の意図する攻め方の一例としては図2があり、中でボールをキープしてサイドのプリエトに展開し、バックパスからアイトール・ロペス・レカルテのクロス、中央で動いたコバチェビッチ、ガリ・ウランガに合わせる、といったパターンになっている。
また、中央でボールをキープしたアランブルに対して、サイドから右から中央へ切れ込むシャビ・プリエトにあわせる、というパターンもあり、これによりソシエダーの2点目はうまれた。
これに対し、マジョルカの攻撃パターンその1は、図4のように、アランゴがボールを受けて左サイドを縦に抜けるペラルタにボールを送るものである。
実際に、このパターンは前半5分の得点の発端になった。
もう一つの攻め筋としては、右サイドをカンパノ、マシエルのコンビで崩すパターンが、前半同点に追いつかれてから後に目立った。
しかし、この日、マジョルカがソシエダーの左サイドを崩し得たのは、マジョルカの手柄というよりもソシエダーが採用したシステムの欠陥によっていた。
今シーズンのマジョルカは、クーペルのこれまで同様、カウンターが主な武器であり、システムは、1−4−4−1−1を基本としている。
オプションとしては、アランゴをトップ下からボランチに近い位置に下げ、後方から2人のフォワードに絡ませるものがある。
・ソシエダーの問題
ソシエダーは、前半の途中から左サイドを崩される場面が目立った。
その原因は、図2で黒く塗られた部分の守備が弱いためである。
なぜここが弱くなるかといえば、
1 中央に入るアランブルの戻りが遅れる
2 バルケロは守備に弱い
3 左センターバックがミケル・ゴンサレスである
という要素が重なり合ったためである。
まず、中央に入るアランブルがサイドに戻るためには、通常(サイドからサイドへ戻る)よりも長い距離を走らなければならない。このため、必然的に守備への入りが遅れる。
つまり、ソシエダーは、左サイドの守備で数的優位を得るのは難しくなり、サイドバックのバルケロが1対1もしくは1対2の状況を迎えることが多くなる。
しかし、本来は左ウィング専門であるバルケロは守備が得意とはいえず、相手の侵入を簡単に許してしまった。
さらには、それをカバーすべきミケル・ゴンサレスは41番という背番号が示すようにカンテラから召集されたばかりであり、多くを望めない。
このため、この3人が関与するゾーン、つまり左サイドの守備が弱点となった。
・ソシエダーの問題(一般)
この試合では、その他の試合にも共通する守備的な問題が見られた。
主なものは、
1 クリアミス
2 セットプレーへの守備
3 クロスカウンターを喰らう
の3つがあげられ、これらが複合して開幕3試合で9失点という惨状を生み出していると考えられる。
まず、クリアミスはそのままずばりであり、自分のゴール近くからクリアしたボールが相手に直接渡る場面があまりにも多い。
次のセットプレーでの守備についは、様々な場面でファーサイドがフリーになる場面が多い。
これは、図5に示される、アランゴの同点ゴールによくあらわれている。
この場面では、バルケロがアランゴをマークしていたが、中央に走るフェイントに引っかかって中央に走り続けてしまい、ファーサイドに逃げていくアランゴを完全にフリーにしてしまった。
付け加えるならば、アランゴを先頭に3人縦に並んだマジョルカの選手に対し、ソシエダーは4人で守っているが、そのうち一人は誰もマークできない位置におり、何のために立っているのかわからない。
また、その2分後の同点ゴールの場面でも、オオクボのセンタリングからファーサイドでアランゴに叩かれているしその2分30秒後の61分30秒のフリーキックで、ロールアウトからファーに逃げていくアランゴを誰もマークしていなかった。
開幕のビルバオ戦でもティコのフリーキックから、ファーでドフリーになったルイス・プリエトに決められたことを考えあわせると、セットプレーに対するソシエダーの守備は何かが間違っているといわざる得ない。
この試合で見られた間違いは、ファーに逃げる選手に対するマーカーの初期位置(ポジショニング)とマーキングが間違っており、相手との距離を最初に空け過ぎている点と、どつきも引っ張りもしないでヘディングを防ごうとする守備に問題があり、さらには、アランゴとバルケロをマッチアップさせる時点で間違っていた。
さらに付け加えるならば、マンツーマンをせずゾーンで余っている選手のポジショニングが間違っている場面も見られ、セットプレーにおける準備不足が明快にあらわれていた。
最後に、現在のソシエダーはボールを大切につなぐあまりにクロスカウンターを喰らうという弱点がある。
クロスカウンターとは、こちらがカウンターをしかけた瞬間にボールを失い、逆に相手のカウンターを喰らう状況を示している。
このような状態では、ただのカウンターを喰らうよりも守備の組織が崩れてことが多く、失点の可能性は飛躍的に大きくなる。
ソシエダーがそのような状況に陥るパターンは決まっており、図4のような形でボールを失う。
相手の間を丁寧に通すパスがソシエダーの特徴であるが、その後ろに待ち構える相手選手の動きをつかまずに出すことが多く、このような形でボールを失う。
これを自陣で行い、ピンチを迎えることが非常に多い。
5分の失点はまさにこれが原因であったし、試合の中で多くこのパターンを繰り返している。
これを防ぐためには、
1 縦にこだわらず横のスペースに展開する
2 パスの受け手のさらに一つ前を把握する
などが考えられる。
・得点に見られる技
A 激突
まずソシエダーの最初の得点では、前に走りながら縦へのロングパスを受けるコバチェビッチは、一度センターバックに衝突した後にボールを受けている。
受ける前にマーカーとぶつかることにより、
1 楽に減速ができる
2 相手との距離を保つことができる
という特典がもれなくついてくる。
B 待ち
次に、ソシエダーの2点目を決めたシャビ・プリエトは、シュートモーションに入った後、一瞬待ってからボールに触っている。
一瞬待つと、
1 周囲の状況を見極める間を持つ
2 相手のバランスを崩す
という特典がついてくることが多く、ゴールを決めやすくなる。
実際に、シャビ・プリエトは一瞬待つことによりキーパーのプラッツを倒し、その横を抜いてゴールを決めている。
C とぼけ
マジョルカの3点目の前、右コーナーフラッグ付近でコーナーキックを得た大久保は、相手の対応と味方の動きを確認した後、わざとゆっくり、歩きながらボールを取りに行っている。
この行動は、ゆっくり動くことで相手に警戒心を起こさないために行われおり、この結果、騙されたソシエダーの選手はショートコーナーへの対応が遅れ、大久保は簡単にセンタリングを上げることができた。
いずれも、言葉では伝わりにくいとは思いますが、ニュース映像などで注目されると意外と面白いのではないかと。