スコウボのゴールにより開始10秒で先制したレアル・ソシエダーが自らのミスで逆転負けを喰らい、監督が変わっても芸風は変わっていないことを天下に知らしめた今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。
本日はそのレアル・ソシエダー対バレンシアの試合を例に取り、キーパーのポジショニングとその後の動きについて考えてみようかと。
まず、
図1はバレンシアの一点をレゲイロが決めたシーンを表しており、左サイドの角度のない所からニアサイドを抜いて決めている。
スペインのテレビニュースでは、「これは偶然に違いない。決めた本人が一番驚いたはずさ。」といった言葉も聞かれたが、レゲイロはキーパーのリエスゴが中央に近いポジションを取りがちであり、さらには、ボールが蹴られた後、折り返し(赤い点線)を予測してニアサイドを空けることを前もって知っていた。
シュートの蹴り方を見ても、体を畳むようなモーションでマイナスに戻すように見せかけておいて、左足(蹴り足)を外に抜くように動かしてボールにスライスがかかるようにしていることから、意図してニアサイドを狙ったことは間違いない。
では、なぜレゲイロがリエスゴの動きを前もって知っていたかと言えば、その伏線として
図2のようなプレーがあった。
何分のプレーかは定かではないが、ラインの裏に抜けてボールを受けたレゲイロがゴールライン近くまで持ち込んでマイナスへ戻した。この時、リエスゴはジャンプ一番、体を大きく伸ばしてボールに触れ、センタリングをカットした。
このプレーは、オフサイドだったこともあり、その場では試合になんの影響も及ぼさなかった。
しかし、この時、レゲイロは普通のキーパーでは絶対に手の届かない場所にボールを戻していた。
普通では触れないはずのボールに触った、ということは、そのキーパーが、中央寄りにポジションを取り、センタリングに対して異常に早く反応しているということである。
その裏を返せば、角度のない場所にボールが持ち込まれたときに、折り返しだけを考えて、ニアサイドへのシュートをケアしていないことを示している。
つまり、このプレーで、レゲイロはリエスゴがサイドからのボールに対してニアサイドを空けるクセがあることに気が付いたはずであり、最初の得点はその結果だと考えられる。
さらに言えば、リエスゴがニアを明けすぎる例としては、20分のルフェテのシュート(
図3)に対する反応でも同じクセが見られるので、ビデオやニュース映像をお持ちの方は確認されると面白いかと。
このルフェテのシュートは、キックミスかどうか難しいが、もしこれが意図的なものであるならば、試合前にリエスゴのクセが伝達されていたことになる。
その場合は、レゲイロは、最初のプレーでそのクセを確認したと考えられる。
さて、以上のことから、バレンシアの1点目はキーパーのミスから生まれていると言える。
しかし、
図1を見ると最初のパスに対して明らかにロペス・レカルテがかぶっている。
よって、ディフェンスのミスとキーパーのミスが複合した結果の失点と見る方がより正確である。
そして、バレンシアの2点目は
図4のような形から生まれている。
中盤で相手のプレッシャーにさらされたラレアが、なにを思ったか山なりの遅いパスを味方のセンターバックの間に落とし、それを奪ったレゲイロがキーパーをかわして決めた。
レアル・ソシエダーは、監督がアモロルトゥからゴンサロ・アルコナダに変わって以来、ラインコントロール、中盤でのプレッシャーといった点では見違えるような進歩を遂げている。
しかし、ふとした拍子に出る謎のミスは相変わらずであり、行く末が心配される。
個人的には、守備が改善されたことと、点を取れるスコウボが入ったことで降格はなくなったと思っているのですが。今後もラ・レアルの動向からは目が離せないのではないかと。
最後に、キーパーの正しいポジショニングとはなにか、について下の方にまとめておきましたので、興味のある方はご一読下さい。

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・キーパーの正しいポジショニングについて
キーパーは、シュートに対して、ニアポスト、ボール、ファーポストの3点で構成される角の角二等分線上に位置しなければならない。
これは、角二等分線上を前に出た時に、最も早く左右のシュートコースをふさぐことができるからである。
図5は、空色の線が角二等分線を表し、それに垂直な黒い横棒がキーパーをあらわしている。
この線上を前に出た時、図の上方にある黒い棒の位置で左右にあるシュートコースがすべてふさがれる。
ボールまでの距離が同じ位置で、角二等分線上からキーパーをずらすと、
図6のようにシュートコースが残る。
この場合は、キーパーがニアに寄りすぎ、ファーサイドに空隙を残している。
このことから、「キーパーが、シュートに対して前に出た時に最も早く左右の空隙をふさぐことのできるポジションは、角二等分線上である」と結論づけられる。
このことについて、例えば、あるポジションのボールに対して何メートルの地点まで近づけば良いか、といったデータを論文調にまとめたものがあります。ご覧になりたい方はお問い合わせください。