まず、今期のレアル・ソシエダーは抜群の勢いで失点を重ねており、15試合で31失点を記録している。
強い強いと言われるバルサの得点が38であり、強いとは言われないけれどもしぶとく勝ちを重ねるマドリーの得点が27であることを考えると、ラ・レアルはこの2チームが点を奪う中間の勢いで点を奪われている。
その反面、攻撃では、22点を記録しており、これは、バルサ、マドリー、ビジャレアルに続いて4位の数字である。
現在のレアル・ソシエダーの攻撃面における特長は、次のような形であらわされる。
まず、
図1は、前半2分48秒に自陣のペナルティーエリアでボールを奪った後の攻撃で、当てて戻して進んで、また戻して細かくパスをつないでサイドを変えて、戻して当てて戻して進んでセンタリングにつながっている。
この間、奪ってから相手に回収されるまで、37秒が経過している。
次に、
図2は、前半24分55秒から始まった攻めであり、進んで戻して、進んで戻して、進んで戻して、最後はペナルティーエリアの前でボールを奪われたが、この間に38秒が経過した。
こういった、長いボール保持の後に相手ゴールに迫る姿は、21分、30分など、多く見られ、ラ・レアルの基本的な攻撃パターンになっている。
一般的に、攻める時には、「15秒以内、3本のパスでシュートにつなげる」のがよろしいとされているが、ソシエダーはそんな話にかまいもせず、40秒近いボール保持を行い、10本を越えるパスをつなぎ続ける。
これまで、スペインサッカーといえば謎の個人技と不必要に長いボールキープ、そしてものの見事なザル守備が特徴だとされてきた。
しかし、今では、守備に力を注ぎ、カウンターを主に戦うチームが増えたためにそのような光景は滅多に見られなくなっている。
そんな現在、伝統を忠実に守って戦う、ホセ・マリア・アモロルトゥ率いるレアル・ソシエダーは異色な存在といえる。
そのサッカーは、眺める分には極めて楽しく、見事な角度のパスが何本も続き、守備ゾーンの間を縫うようにしてつながれたボールがゴールに吸い込まれた場合には、非常な興奮を覚える。
しかし、この丁寧なボールつなぎが裏目に出た日は大変で、例えば
図1のようにセンターサークル付近でも平気で短い横パスをつなぐため、これが失敗した場合は速やかに大ピンチを迎える。
さらに言えば、ソシエダーのセンターバック、ハウレギ、ラバカは、ともにスピードに欠けるため、スペースのある状態でカウンターを喰らうと弱く、中盤でボールをカットされると非常に辛い。
にもかかわらず、レアル・ソシエダーは、先制点を奪った後も、それまで同じように丁寧に丁寧にパスをつないで攻め、守備ラインを大きく上げる。
この結果、この試合のように大逆転を喰らったり、マドリー戦やラシン戦のように2点のリードを一瞬でフイにすることもある。
現在のソシエダーにはボールキープに優れた選手がそろっており、アモロルトゥの戦術によりその良い側面はフルに発揮されている。
しかし、その代償としてこれだけの失点を重ねた場合、普通の監督ならそのマイナス面に耐えられなくなり、「中盤で横パスを出すな、短いパスにこだわるな、自陣では危険をおかすな」といった、ないないづくしの指示を出すものと想像される。
そんな中、あえてそれをしないアモロルトゥの度量の広さははかり知れない。
しかし、このまま勝てる試合を逃がす日々が続けば、監督の耐久力の前に観衆の耐久力が切れることも考えられる。
特に、アランブルを失い、攻撃の核を失った今、これまで同じペースでの得点は期待できないとなると、なおさらである。
一般的に、ボールをつなぎ過ぎると相手の守備組織が整う時間を与えるため点を取りにくくなる。
この状況を打開するためには、ボールキープに優れた選手が数人のディフェンダーを引きつけ、周囲にスペースをつくった後、絶妙のスルーパスなり、それにつながるパスなりを出さなければならない。
これまでのラ・レアルでは、左サイドから中央に入るアランブルが、この役目を果たしてきた。
しかしながら、ラシン戦でオリオルの無茶苦茶なタックルを受けた彼は靭帯を断裂し、今シーズンは絶望となった。
となると、これからのソシエダーは、ボールをつないだ後に核となる選手がいないため、得点は減ると推測される。
となると、同じペースで失点を続けていては、順位は落ちる一方であり、下手をすると降格圏にまで落ちかねない。
今後、監督がどのように現実との折り合いをつけていくのか、注目される。

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おまけ:
ソシエダーの得点(ロングパス)
関連試合:
マジョルカvsレアル・ソシエダー