まず、ホームのビジャレアルを眺めてみると図のようになっている。
この図の中盤の配置は非常に特徴的で、ソリンの不在によりサンティ・カソーラが右に入ったのはそれとして、3人ならんだ中盤の左端に置かれたタッキナルディの位置が最も低くなっている。
普通3人のボランチが並ぶようなシステムでは、中央の人間がディフェンスラインの前に残ることが多い。
しかし、ビジャレアルのシステムでは、リケルメが左サイドから中央に生息しているため右サイドにスペースが多く、サイドライン際をカバーするためにサンティ・カソーラが開き、リケルメとカソーラの間のスペースにセンナが上がる仕組みになっている。
普段のビジャレアルは、ソリンが左の中盤に入り、リケルメの左横を上がる仕組みになっており、中盤から前に上がる選手が逆サイドにいる。
しかし、各選手のベクトルを考えるに、この日の形の方がリケルメの動くスペースが生まれやすいようにも見える。
左サイドバックをソリンに代え、タッキナルディをホシコに代えた布陣が今後見られる可能性もある。
次に、アウェイのバレンシアを眺めてみる。
以前のヘタッフェ対バレンシアの文章によると、バレンシアの攻撃は、サイドバックとボランチにミスが多すぎてアイマールに巨大な負担がかかるのが問題である、ということになっていた。
その試合は第6節であり、それから5節が経過したこの試合では、図1のような先発に変化した。
まず、左右のサイドバックが、モレッティ、カネイラから、カルボーニ、ミゲルに変わっている。
左のサイドバックをつとめた、御年40歳のカルボーニは、経験からくる読みをいかしたディフェンスもさることながら、左足から繰り出される正確なロングフィードに特徴がある。
テレビで見ると、サイドバックのパスというのは引いた映像で映されることが多いため、あまり目立った印象はないが、前半17分20秒のビジャへのフィードや、同じく前半22分7秒にセットプレーからのこぼれ球を左から右へと絶妙なサイドチェンジを見せた場面などで、実に味わいのあるボールを蹴っている。
右サイドバックをつとめたミゲルは、ポルトガル代表で見せていたように鬼のような勢いで上がり、前でドリブルを仕掛けることを得意としている。
攻めればリーガでも有数の能力を見せる彼だが、守備面では背中のスペースに気づかなかったり、突然足を止めて敵を眺めるといった謎の行動が目立ち、ベンチを暖めることが多かった。
この2人が先発し、バラハの調子が回復したことにより、前回に見られた問題はあらかた姿を消し、特に後半は多くのゴールチャンスをつくりだした。
前回の理屈からすると、上の3人が活躍すればアイマールの負担が減り、彼の大活躍が見られるはずなのだが、そうはならなかった。
この日のアイマールは、目の醒めるような活躍を見せたレアル・マドリー戦とは比べるべくまなく、また、攻撃が詰まり大いに苦労したヘタッフェ戦と比べても調子がいいとはいえず、その波の激しさはどこからくるのか、謎に包まれている。
今後、バレンシアがサイドバックを上げて戦うと仮定してチーム構成を眺めてみると、右サイドはミゲルの控えがいない。
カネイラでは、ちょっと状況が苦しくなるとボールを失うばかりだし、アングロを下げても運動量の点でミゲルには及ばない。
そうなると、左サイドを上げて戦うことになり、そこにはレゲイロ、ファビオ・アウレリオという選手がいる。
バレンシアのような構成のチームで攻撃面を改善しようと思えば、ボランチのどちらか、もしくは、サイドバックのどちらかを前線に絡める方が良い。
ボランチで考えると、三十路を迎えたバラハはそのような役割を期待するのは難しく、アルベルダはそもそもキャラクターが違う。控えのデ・ロス・サントスにアルビオルはセンターバックに近づいて威力を発揮するタイプで、期待されたエドゥは6ヶ月の怪我。残るはウーゴ・ビアナだけだが、監督に信用されていないのか目にする機会がない。
そうなると、通常はミゲルを上げて戦い、彼の不在の際は左サイドを上げて戦うのが妥当だと考えられる。
今後のキケ・サンチェス・フローレスのサイドバック選びが注目される。