「さて」
「どうした」
「本日はバルサ対デポルなわけだが」
「うむ」
「まず、バルサは
図のような先発だった」
「いつもの面子やな」
「それに対して、デポルは今時では珍しい1-4-2-3-1だった」
「6年ほど前はスペインを代表するシステムだったんやけどな」
「いつの間にか、ほとんどのチームが1-4-4-2に移行してしまった」
「デポルの特徴としては、右サイドにコロチーニを置いて、ロナウジーニョをマークさせたことかね」
「そうやな」
「まあ、その甲斐もなく、ロナウジーニョのパスからバルサに2点を取られてしまった」
「組織としてはバラバラながら、個人の一発芸で点を取る辺りはさすがやな」
「2点を追う立場となったカパロスは、61分にリキを下げて、アドリアンを投入した」
「
こうやな」
「そして、今回のメインテーマが彼なわけだ」
「タイトルとしては、”アドリアンとスクリーン”か」
「フォワードの技術の1つとして、スクリーン、すなわちボールと相手の間に体を入れてボールを守る、というものがある」
「うむ」
「この技術は、ゴール前でシュートを打つ時間を作り出すために、極めて重要でもある」
「詳しくは、
この辺り(別ページ)を読んでいただくとしてだ」
「アドリアンは、それが実に上手い」
「最初のシーンは
これやな」
「右サイドから、シャビのパスミスがゴール前に来て、それを右からテュラム、左からアドリアンが追っている」
「バルセロナのゴール前で、上図右の黒人選手がテュラムで、左の水色の選手がアドリアンやな」
「そして下図が注目で、アドリアンの体が妙に傾いている」
「それは当たる準備のためで、次の瞬間の絵が
これやな」
「上の図で、テュラムとボールの間に体を入れて、下の図でぶつかっている」
「その後は、
こうなる」
「上の図で、ぶつかった反動を利用してボール方向に流れ、下の図でシュートを放っている」
「まあ、シュートはバルデスに止められたわけだが」
「そうやけど、このスクリーンは教科書に載るくらいの見事さやで」
「そうかね」
「それは、
この角度から見るとよくわかる」
「ふむ」
「まず、上の図では、ボールを触るのではなく、相手に当たることを先に考えている」
「それは大切やな」
「ゴール前では、思わず先にボールに触りたくなるものだけど、相手を押さえれば邪魔者はいなくなるわけで、相手の体を押さえることを優先した方がいい場面は多い」
「下の図で当たるわけやな」
「当たることのもう1つ大きな利点は、そのことにより作用反作用の法則が働き、
図のように必ず相手との距離が開くことなんやな」
「同程度の質量が正面衝突して1つが右に行くともう1つは左に行くという話か」
「その距離が開いた瞬間を利用すると、落ち着いてシュートを打つ時間が得られるわけだ」
「スクリーンの効能というやつやな」
「ついでに、
図の下を見ると、アドリアンは相手と当たる前に左手を後方に突き出している」
「これは相手を防ぐというよりも、触れることで距離を測り、タイミングを合わせるためやな」
「いわゆる触角の役目を果たしている」
「アドリアンは19歳と若いけど、この落ち着いたスクリーンを見ると将来が楽しみになる」
「ちなみに、この3分ほど後に彼が点を決める」
「
こんな形か」
「中央に飛んだジオのクリアボールを拾って、プジョルとテュラムの間に割って入る」
「バルセロナの選手は、左がプジョルで右がテュラムやな」
「この時、ゴール方向にドリブルをせず、プジョルの前に前に入るように進んでいる」
「これもスクリーンの一種やな」
「こうすると、体が自然にボールと相手の間にくるので、ディフェンスは手も足もでない」
「下の図のようにペナルティーエリアに入ると特にそうやな」
「結局、前に入られたプジョルはボールを追うのをあきらめ、
図のように中に入らざるを得なくなる」
「フォワードは、キーパーとの1対1に専念できてハッピーなわけだ」
「実際に、アドリアンは前に出るキーパーの指先を抜いてゴールを決めた」
「ちなみに、シーズン初ゴールがバルセロナ戦だった」
「これはうれしいやろな」
「確かに」
「このスクリーンが上手い選手というのは大体点を取れるようになるもので、アスレチックのアドゥリツも上手い」
「アドゥリツについては、
この辺り(別ページ)をご覧いただければと」
「逆に、スクリーンがあまり上手くないのがフェルナンド・トーレスで、あれだけのスピードを持ちながら、今ひとつゴール数が伸びない一因になっている」
「もったいない話や」
「なにはともあれ、ゴール前でのスクリーンは特に大切だということで」
「ボールに触るより相手に触る、当たった反作用で相手との距離を取る、その時間を利用してシュートを打つ」
「もしくは、ボールに触らせないために、相手の前を横切るようにドリブルをする」
「次にボールを蹴る機会に試していただければ幸いかと」
「そんなこんなで」
「今週はこの辺で」
「また来週」
「ご機嫌よう」

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