「さてさて」
「なんだ」
「今日はサラゴサ対バルセロナ戦をお送りするわけだが」
「うむ」
「サラゴサが見事に勝利して4位、つまりチャンピオンズリーグ圏内に浮上した」
「ついに来たな」
「そんな記念すべき試合なわけだ」
「そうか」
「この試合の先発は、
こうなっていた」
「ほうほう」
「これはなかなか面白い」
「サラゴサは1-4-4-1-1か」
「アイマールを守備に思いっきり下げるので、1-4-5-1に近い」
「
サラゴサだけ抜き出して眺めてみると、実に珍しい配置やな」
「確かに」
「普段は右のダレッサンドロが左で、フォワードのセルヒオ・ガルシアが右、通常右にいるアイマールが中央やな」
「いつものサラゴサは
こうやからな」
「普段の特徴は、左利きのダレッサンドロが右にいて、右利きのアイマールが中央から左寄りにいることやな」
「そうすると、ボールキープが安定する」
「しかし、その替わりに、サイドで縦に行く力が弱くなる」
「そこで、左からファンフラン、右からディオゴが飛んでくるわけやな」
「特に右のディオゴが頻繁に飛んでくる」
「ところがこの日は
こうなっているわけだ」
「となると、その狙いはどうだ、という話になる」
「基本的に、バルサのサイド狙いやな」
「スピードのあるセルヒオ・ガルシアを右、ドリブルで抜けるダレッサンドロを左に置いている」
「そして、トップ下に近いアイマールを左右に動かすと」
「図としては
こうなる」
「そこへ早いタイミングでボールを入れることで、サイドとボランチの脇のスペースを突いていこう、という話やな」
「バルサ対策としては2年前からある形やな」
「頑固一徹なビクトル・フェルナンデスが相手に合わせてシステムを変えるのは珍しい」
「確かに」
「これに対して、相手のバルサは
図のように1-3-4-3になっている」
「また出たわけか」
「また出たわけだ」
「10人のセビージャに負け、リバプールにコテンコテンにやられて、3バックは諦めたはずだったのではないかね」
「そのはずやったんやけどな」
「亡霊のごとく復活したわけか」
「まあ、サラゴサ相手にこのシステムを使う理由はわからなくもない」
「なんや」
「国王杯で対戦した時にはうまくいった、という実績が一応ある」
「いや、うまくいったと言ってもそれは前半だけで、後半はズタズタにされていたぞ」
「まあ、そういう話もある」
「
国王杯の分析(別ページ)にもあるように、1-3-4-3で中盤を菱形に組むと、サイドが空きやすい」
「今回のサラゴサの布陣は、前回からさらにサイド狙い強化したようなもんやな」
「そして、この日のバルセロナは、
図のようにマルケスとシャビ、イニエスタのラインが異常に離れる場面が多かった」
「そうなると、サイドのディフェンダーが中央に寄らざるを得なくなり、ますますサイドが空く」
「おまけに、1-3-4-3は前方からプレッシャーをかけないと持たないシステムなのに、まったく守備の技術を持たないロナウジーニョが最前線にいる関係で、それもおぼつかない」
「ついでに、戻りが遅れるメシが左サイドにいる」
「以上の問題をまとめると、
こうなる」
「うむ」
「そして、サラゴサの狙いとバルサの問題を重ね合わせると
こうなる」
「うむ」
「うむとかそういう問題ではない」
「実に見事だ」
「見事すぎやがな」
「サラゴサの狙いはどんぴしゃりなわけだな」
「そちらの側から見るとそうなる」
「サラゴサの選手は、パスに困ったらとりあえずサイドかアイマールに長く蹴ればいいという話か」
「それか、メシの裏を取るディオゴにあずければ、とりあえずボールが前に動く」
「楽やな」
「前半のデータもそれを反映して、ボール保持率は、サラゴサ:バルセロナで52:48だった」
「ボール保持率を最大限に高めるのが狙いの1-3-4-3を使って、そこで負けたら、なんにも残らんわな」
「だから、ゴールチャンスも4:1でサラゴサが優位に立っていた」
「当然といえば当然の帰結やな」
「サラゴサ万々歳という話や」
「うむ」
「そして、バルサは後半から、マルケスを下げてザンブロッタを入れる」
「
こうか」
「見事に1-4-1-2-3が復活する」
「うむ」
「しかしあれだ」
「なんだ」
「バルサのやっていることは最悪に近くて、駄目だとわかっているシステムをしつこく使ってやっぱり駄目で、駄目なら駄目なりに頑固に続けるのかと思いきや、後半に慌てて方針を変えている」
「まあ、そう解釈もできるわな」
「おまけに、リバプール戦でも、この試合でも、組織はバラバラで相手に簡単にチャンスを作られる」
「まあそうやな」
「ところがだ」
「なんだ」
「この試合では、たった1点しか取られなかったし、リバプール戦では1点差で勝った」
「そうやな」
「さらには、昔のベルダー・ブレーメン戦を思い返してみると、同点に追いつかれるべき試合で、きっちりと勝った」
「それまた古い話やな」
「別にバルサが0-2や0-3で負けてもいい試合は数多いのに、なかなかそうはならない」
「それがどうした」
「不思議なことが続けて起こるということは、そこに何か理由があるはずなわけだ」
「単に、ボロボロの試合でも前線が一発芸で点を取るからなんとなく試合になるだけではないかね」
「それはそうやけど、それではなかなか点を失わない理由にはならない」
「まあそうやな」
「今後のバルサの試合では、その点が注目ではないかと」
「そうか」
「そうだ」
「しかし、個人的には、選手の態度の方が気になるけどな」
「態度かね」
「これまでのバルサの選手というのは、負けそうになると目の色を変えて点を取りに行っていたわけだ」
「そうかね」
「負けるのが嫌いでなければ選手は務まらないし、特にトップのバルセロナやレアル・マドリーの選手というのはそうなわけだ」
「ふむ」
「だから負けそうになると、駄々っ子が暴れまわるようになりふり構わず相手ゴールに殺到していた」
「駄々っ子かね」
「ところが、ここ最近のバルサは負け癖がついたというか、負けるのに慣れたのか、そのような態度が見られない」
「そうなんか?」
「これは意味不明な戦術でチームを壊した結果で、非常に重症だと思うのだが」
「確かに今はディアラーが良くなったマドリーの方がチームとして安定しているかもしれん」
「理想主義者と言われるビクトル・フェルナンデスが相手に合わせてチームを組み、夢見がちなシステムにこだわるバルサがそれに砕かれたというのは興味深い事実ではある」
「まあ、サラゴサの作戦勝ちという話や」
「一言でいうとそうなるけどな」
「グーにはパーを出す方が強いし、そういうチームの方が強いというところで」
「今週はこの辺で」
「また来週」
「ご機嫌よう」

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