「さて」
「どうした」
「バルセロナダービーでもある、バルサ対エスパニョールは2対2の引き分けで終わった」
「マドリーもセビージャも引き分けて、上位3チームに変化なしやな」
「そういうことになる」
「残り1試合で、マドリーが1位、バルサが同ポイントで2位、2ポイント差でセビージャが3位やな」
「うむ」
「この試合では、89分までバルセロナがリードを奪っていて、そのまま終わればほぼ優勝確定だった」
「それは言わないお約束や」
「そんな試合の先発は
こうだった」
「エスパニョールはいわゆる普通の配置やな」
「バルサもロナウジーニョの代わりにグジョンセンが入った以外は通常の布陣になっている」
「相変わらず中盤にデコ、シャビ、イニエスタ、右サイドバックにザンブロッタを使っているわけやな」
「エスパニョールの側としては、普通といえば普通の配置だが、相手を考えるとなかなか男前な配置ともいえる」
「守備にまったく効かないデ・ラ・ペーニャを左のボランチに置いている」
「バルサの右サイドにいるメシが中央に入ってくると、当然左ボランチと当たるわけで、そこに守備の弱い選手を置くのは度胸がいる」
「
こういう話やな」
「中に入るメシ、前に出るシャビ、どちらを守るにもデ・ラ・ペーニャでは紙のようなもんやで」
「その最も典型的な
流れはこのようになる」
「まず、一番上の図では、右上の黒っぽい選手、メシがボールを持っている」
「そのすぐ下にいるスキンヘッドの選手がデ・ラ・ペーニャやな」
「メシが中に切り返し、2枚目の絵のようにデ・ラ・ペーニャは簡単にかわされる」
「まあこれは大概の選手が抜かれるので仕方がない」
「3番目の図でメシの足から離れたボールをシャビが拾う」
「4番目の図でペーニャがそれに対して詰める」
「その次の図で体を寄せるが」
「一瞬で抜かれてミドルシュートを打たれる」
「この抜かれ方は、もし守備専門の選手だったらその場で首になるくらいの抜かれ方やで」
「もうちょっと肩を寄せてついていかんかい、という話やからな」
「しかし、そんなデ・ラ・ペーニャをわざわざ使うのには意味がある」
「よく知られているように、ボールを持ったら無敵で、低い位置からでも簡単にゲームを組み立てることができる」
「
こんな感じやな」
「この場合、攻守ところをかえて、シャビ、イニエスはデ・ラ・ペーニャにとって紙同然になる」
「そして、状況に応じて前に残るデ・ラ・ペーニャというのが非常な脅威になる」
「
この図やな」
「左サイドの前方に残ったデ・ラ・ペーニャからのカウンターというのは実に破壊力が大きい」
「特にバルセロナは、中盤と右サイドバックが上がった時に守備のバランスが無茶苦茶やからな」
「その
実例はこうなる」
「ボールを奪ったトレホンから前方のデ・ラ・ペーニャにパス」
「ボールを受けたペーニャは前にドリブル」
「で、問題は4枚目の写真なわけやな」
「3人の攻撃陣に対して、バルセロナの守備は3人しかいない」
「守備的な中盤のはずのイニエスタ、右サイドバックのザンブロッタがまとめて上がった結果やな」
「デ・ラ・ペーニャがドリブルで1人をかわす」
「こうなると3対2で攻撃の数が多くなる」
「守備としては終わった状態やな」
「ただし、このケースは、ミドルシュートが外れてことなきを得た」
「ところがどっこい、30分には同じような流れから得点が生まれる」
「
これか」
「一番上の図は、エスパニョールがボールを奪った直後の様子をあらわしている」
「それぞれの選手に名前がふってあるわけだが」
「ごらんのように、サイドバックのザンブロッタがフォワードの位置まで上がってきている」
「そして、その裏に残ったデ・ラ・ペーニャにパスがでる」
「中央にドリブルをするペーニャ」
「それをおいかけるメシ」
「ところが次の図で、メシは追うのをあきらめる」
「彼の悪い癖で、味方の数が足りないのに最後まで追おうとしない」
「デ・ラ・ペーニャはかまわず前にドリブル」
「それに対して、プジョルがラインを止める」
「それと同時にボールに詰める」
「これはいい守備で、前を走るタムードをオフサイドにすると同時に、ボールにプレッシャーをかけられる」
「これに対して、ペーニャは中に切り返し」
「この時、またも守備の枚数に注目していただきたいのですが、5人の攻撃に対して4人しかいない」
「こんな単純なカウンターに対するバルセロナの守備的なバランスの悪さがあらわれているわけやな」
「それはさて置き、デ・ラ・ペーニャは右へのパスフェイクをかけて逆に切り返す」
「ディフェンスはパスフェイクに釣られるため、逆サイドで2人の選手がフリーになる」
「そして、縦に抜けるタムードに対して必殺のスルーパス」
「この時、一番下側のバルサの選手、イニエスタがオフサイドラインを崩す」
「どんぴしゃのタイミングで放たれたシュートはファーサイドの上側に突き刺さる」
「パスフェイクといい、スルーパスといい、見事なまでのデ・ラ・ペーニャの天才ぶりではなかろうかと」
「まあ、イニエスタのミスもあるけどな」
「それは違うやろ」
「なにがや」
「別に守備専門でもなんでもないイニエスタをディフェンスラインに入らざるを得ない場所で使っている以上、起こり得る間違いが起こっただけ、という話ちゃうかね」
「そう来たか」
「このゴールが30分の話で、バルサにとっては非常にまずい流れだった」
「ところが」
「43分にメシのゴールで追いつく」
「ハンドやったけどな」
「右サイドからのセンタリングを、ジャンプしながら手で押し込んだ」
「その具合がマラドーナの伝説の”神の手”に良く似ていた」
「これに対してエスパニョールの選手は猛抗議」
「当然やな」
「デ・ラ・ペーニャ、タムードをはじめとして、副審に向かって暴言を吐きまくり、タムードがイエローを受けた」
「どう見ても、一番副審に切れてたのはデ・ラ・ペーニャやったけどな」
「ペーニャは1枚イエローをもらっていたから見逃してもらったんやろ」
「そして、後半に入ると彼の様子が一変する」
「前半は味方がボールを失うと、素早くポジションに戻っていたのが戻らなくなる」
「戻らなくなるどころか、自分にボールを渡さないことに対して文句を言いはじめる」
「そして、たまにボールを受けると一発で決めに行き過ぎて、失わないでもいいボールを失う」
「典型的なデ・ラ・ペーニャの自滅パターンやな」
「この切れやすさというか、頭に血が上りっぱなしになる性格さえなければ、今ごろ世界一の選手の1人やけどな」
「まあ、昔は後ろから足をかけられて、笛がならなかったというだけで切れて、報復行為から退場してたしな」
「そう思えば、三十路を迎えてさすがに昔よりも抑えが効いている」
「円熟という奴やな」
「ちなみに、審判のロドリゲス・サンティアゴは、後半に入ってエスパニョール有利の笛ばかり吹いていた」
「あれは、明らかにハーフタイム中にメシのゴールをビデオを見て誤審を確認した上での行動やな」
「まあ、審判の助けがあるとはいえ、納得いかないままプレーするエスパニョールの組織が上ずるのはしかたなく、それを突いたバルサは57分にメシのゴールで2-1と逆転する」
「そのまま試合は進み、このままバルサが勝つのではないかと思われた89分」
「なんとルフェテの左足からのスルーパスが炸裂」
「これを受けたタムードがキーパーの足の間を抜いて決めた」
「これで2-2」
「同点のまま試合は終わり、ほぼ同時刻に同点ゴールを決めたマドリーが1位、バルサが同ポイントの2位で最終節を迎えることになった」
「バルサはがっかり、マドリーは狂喜乱舞という話やな」
「狂喜乱舞というのは正にその通りやな」
「マドリーが優勝した時に人が集まるシベーレス広場にはファンが大量に集まりえらい騒ぎになっていた」
「もう優勝したつもりやな」
「完全にそうやな」
「ところが、最終節の相手はマジョルカ」
「ここ10試合で5勝3敗2分となかなか調子がいい」
「あなどれないといえばあなれない」
「しかしだ」
「なんだ」
「個人的に、レアル・マドリーというチームは、なにはなくても目の前に現金がぶらさがった時の強さだけは信じられるので、こけることはないと思うわけやな」
「それは1週間後にわかるというところで」
「今週はこの辺で」
「また来週」
「ごきげんよう」

トップページへ