Atletico vs Sevilla
06.09.24.domingo
日時:2006年9月24日(日)
対戦:アトレチコ対セビージャ
結果:2−1
得点:0−1 40分 レナト
1−1 84分 マキシ
2−1 87分 マキシ
審判:ゴンサレス・バスケス(ガリシア)
退場:エスクデ(47分、セビージャ、イエロー2枚)
ハビ・ナバーロ(65分、セビージャ、イエロー2枚)
警告:ペレア、トーレス、アントニオ・ロペス
マキシ、マニッチェ、レオ・フランコ(アトレチコ)
ポウルセン、エスクデ、プエルタ、アウベス(セビージャ)

「さて、今日はアトレチコ対セビージャの試合をお送りするわけだが」

「うむ」

「セビージャは首位で、アトレチコも前節は1-4でアスレチックに快勝。好調なチーム同士の対戦だった」

「それはそうなんだがな」

「なんだ。なにか不満か」

「不満ではないが、今節の目玉はバルセロナ対バレンシアだという噂だ」

「噂か」

「それなのになぜこの試合か、というのは疑問なわけだ」

「そらそうやな」

「やろ」

「大きな理由としては、この試合がテレビ放送されなかったから、というのがある」

「セビージャがごねたせいか」

「テレビ放送がない、ビデオ録画もない、となると、文字と絵で記録しておかなければ永遠に記憶から消える。そんな状況に、そこはかとないロマンチシズムを感じるとか感じないとか……」

「なんじゃそりゃ」

「まあそういうことや」

「よくわからんが、わかったことにしておこう」

「それがいい。アトレチコは、大勝した前節からミスタを外してトーレスを入れた

「ここでの注目は2人の役割分担やな」

「アグエロが前で、トーレスはその後ろにいる」

「普通に考えると逆なのではないかと思う」

「まあ、トーレスはトップ下の方がいいけどな」

「でも、この試合ではびっくりするくらい機能しなかった」

「確かに」

「まず、アグエロはボールに触りたがるから下がるばっかりでラインの裏に出ようとしない。トレースもトップ下でボールを引き出せと言われていたからか、まったく縦に抜けない」

「そのおかげで相手のディフェンスラインを下げることがまったくできなかった」

「相手のラインが下がらない、中盤にスペースができない、中盤にボールが入らない、パスの出せないセンターバックがボールをキープする、無茶なパスでボールを失う。前半はこのサイクルが延々と繰り返された」

「ひどかったな」

「どうやったらあそこまで駄目な試合ができるか不思議なほどだった」

「相手もうまく守ってたけど、いくらなんでもひどすぎた」

「セビージャのアトレチコ対策は一言ではこうなっていた」

「トップ下にレナト入れることで中盤のスペースを消し、カヌーテをペレアにつけることでパブロにボールを持たせる」

「ペレア、コスティーニャ、リュクサンはそもそもパスがうまいわけではないので、セビージャのプレッシャーに負けやすい。それに加えて、パスを蹴るための足を持っていないパブロが一番ボールを触るとなると攻撃になるわけがない」

「セビージャの先制点は、案の定というか、パブロのミスから始まった」

「自陣ペナルティーエリア前で見事なパスミスやな」

「完全にフリーな味方がいるにもかかわらず、5m前にボールを出してポウルセンにパス」

「ポウルセンからカヌーテに渡ってシュート、はねたボールを後ろから来たレナトが落ち着いて決めた」

「パブロはこの前の段階でも最終ラインでボールを取られたり、ロングボールがあの世に行っていたため、大ブーイングをくらった」

「しかしあれだな」

「あれとはなんだ」

「アトレチコとレアル・マドリーは抱えている問題がそっくりやな」

「センターバックの組み立てか」

「そう。ソシエダー戦のマドリーもそっくり同じ問題で苦しんでいた」

「まあ、それはしゃあないで」

「なんでや」

「パスのうまいセンターバックと守備のうまい組み立て型ボランチは世界で一番手に入りにくい才能やからな」

「そうかね」

「それに、この試合の組み立ての問題はセンターバックとボランチだけの問題ではなかった」

こんな感じか」

「縦に行かないフォワードと、狭いスペースでボールを受ける才能に欠けるトーレスがボールを引き出せなかった」

「マンサノがいたころは、トップ下でえらい活躍を見せたけどな」

「あれは話が違って、その時はこんな感じだった」

「なんだ、これは」

「デニス・ニコライディスが前、キキ・ムサンパが左に大きく開き、イバガサが右からフォローする。こうすることで、左前方やや内側にトーレス用のスペースをみんなでつくっていた、という話や」

「トーレス護送船団方式みたいな感じか」

「それはよくわからんけどな」

「そうか」

「まあ、とにかく、前半は0-1のセビージャリードで終わり、後半になるとコスティーニャに代わりマニッチェが登場した」

「それと同時に前線の動きが変わっている」

こんな感じやな」

「トーレスとアグエロが横並びになり、縦への動きを強調するようになった」

「2人が縦に動いて、その後にルシンが入る」

「すると、ポウルセンとマルティも下がらざるを得ない」

「そこで空いた中盤のスペースにマニッチェが動き、戻るアグエロやサイドにボールを散らす」

「実に普通の動きやな」

「なぜこれが前半見られなかったか、その方が不思議だという話もある」

「アグエロとトーレスは公式戦で初コンビやからな。うまく行かへんかったんちゃうか」

「そこで1つ疑問なんだがな」

「なんや」

「ごく単純に考えると、こうすればいいだけのような気がしないか」

「ミスタとアグエロか」

「ミスタが縦に行き、空いたスペースでアグエロがボールを受ける。単純な話や」

「アスレチック戦はその組み合わせやったけどな」

「トーレスを先発から外すことは可能かどうか、という話かね」

「どうやろ」

「とにかく、これらの変更によりアトレチコは良くなった」

「というか、良くなったのは47分にエスクデが退場したからやな」

「ついでに、65分にはハビ・ナバーロが退場する」

「イエローカードが合計14枚という大盤振る舞いの一夜だった」

「この異常なイエローカードの数は、昨シーズンの試合が大荒れに荒れたからかね」

「多分。今回は、ちょっとでも後ろからタックルをしたらイエローというのがゴンサレス・バスケスの方針だった」

「おそらく、きちんと試合をコントロールするように上から言われてたな」

「それはどうかね」

「多分な」

「9人なった相手に対し、アトレチコは75分、遂にミスタを出す」

「その後の配置はこうなっていた」

「リュクサンがリベロの3バックか」

「一応そうやけど、ペレアがどんどん上がるので、アントニオ・ロペスが残って2バックみたいな感じや」

「普通に考えると上がる人間と残る人間が逆やけどな」

「それは性格の差ちゃうか。それにペレアはガレッティにつられた感じや」

「この思い切った変更が効いたのか、アトレチコは84分に同点に追いつく」

このような状況で、左に出たガレッティが中央へパス。前に詰めたマキシがエリアの外から見事なシュートを沈めた」

「このとき、ミスタ、トーレス、アグエロの3人が仲良く同サイドに固まっている点も見逃せない」

「これでカルデロンはどかんとわいた」

「逆転は87分にやってきて、マニッチェがナイスなタックルでボールを奪い前方にパス」

「走り込んだトーレスは前方へ加速。ドリブルで縦に抜けるとセンタリング」

「これを中央へ走り込んだマキシが押し込む」

「スタジアムは絶叫絶叫また絶叫」

「アトレーティ、アトレーティのコールがこだまする」

「見事なフラストレーションの爆発だった」

「まああれだ。見事なシナリオというやつかもしれん」

「なにがだ」

「前半はパスが3本つながらない試合をしてリードを奪われる。後半少し息を吹き返すものの、2人少ない相手にゴールを奪えず時間は刻々と尽きていく。本当に追い込まれた状態で終了間際の逆転劇。ベタではあるが、心憎い筋書きやで」

「これが意図的なら心憎いかもしれんが、本気やと困りもんやという噂もある」

「そこがアトレチコの楽しみというかなんというか」

「しかし、みんなもの好きではあるな」

「どういうことや」

「アトレチコのファンなんか毎回苦しむためにスタジアムに来るようなもんやろ。今回みたいに見事に行く方がまれで、たいがいはしおしおと負ける」

「まあな」

「この日なんか試合の途中から結構な雨が振ってきて、傘を持っていない人は濡れそぼりながら見ていた。苦みながら雨に打たれて寒さをこらえる。これをわざわざ金を払ってやるんだから、もの好きとしか言いようがないやろ」

「その微妙にマゾっぽいところがアトレチの心や」

「それはそうやけどな」

「それに苦しみが大きい分、そのフラストレーションから解放された時の爆発が大きいんや。この相反する2つの感情を大きな振幅で堪能できるのがカルデロンの魅力やで」

「ほんまかいな」

「そういう噂や」

「とにかく、今年のアトレチコは、イライラがイライラで終わるのか」

「それが大きな喜びに転化する方が多いのか」

「おっかなびっくりということで」

「また来週」

「ごきげんよう」



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