マンチェスター・ユナイテッド対ミラン (2007.04.27)


先発は上図のようだった。

その特徴は下図のようになる。



両チームともにボランチにゲームメーカーと呼ばれる存在がいる。
マンチェスターはキャリックであり、ミランはピルロである。
それに対するマークを、カカー、スコールズがそれぞれ受け持った。
ただし、スコールズのマークの厳しさはカカーのそれをはるかに上回った。

マンチェスターは、クリスティアーノ・ロナウドが強みであり弱みであった。
彼のドリブルは攻撃の鍵であった。
しかし、前に残り過ぎるため、上図赤点線部が大きく空いた。
右に居ても、左に居ても、彼の背後が空く。
このため、ロナウドが右サイドに位置した場合、特にヤンクロフスキーとセードルフがフリーになった。
ミランの1点目は正にこれがためにうまれた。

6分にマンチェスター、22分にカカー、37分にカカーが得点し、前半は1-2で終了した。

後半開始からマルディーニがボネーラに交代した。
また、52分にガットゥーゾが負傷し、ブロッキと交代した。
その結果、下図のようになった。



この交代はミランにとって痛手だった。
その理由は、早い段階で2つの交代を使ったことが1つ。
ガットゥーゾの不在により、中盤の押さえが利かなくなったことが1つである。
後半、ミランの敗因は下図のように表される。



時間の経過とともに1のゾーンが空き、次の中盤が空いた。
この原因の1つはミランの選手平均年齢が高いことである。
マルカイアーブックによると、上図の中盤とフォワードの平均年齢は以下のようになる。
マンU 25 22 32 31 20 21 合計151 平均25.2
ミラン 30 27 30 29 24 24 合計164 平均27.3
また、32歳のスコールズは、27歳のピルロよりもよく走っており、その点も有利だった。

ミランとしては、スペースを押さえるために疲れた選手を代えればよい。
しかし、交代枠は1つしか残っていなかった。
このため、不慮の怪我を考えると、ぎりぎりまで待たざるを得なかった。
ミランの最後の交代が行われたのは、83分である。


キャリックとピルロ

両チームの要となるキャリックとピルロのデータ比較は興味深い。
まず、試合を4分割する。
0〜23分、23分〜46分(前半終了)、45分〜69分、69分〜92分の4つである。
後半は47分間であったため、24分と23分に分割されている。
このそれぞれの時間帯における、1分あたりのボールタッチ数と前へのパスの回数を問題にする。
ボールタッチ数とは、味方が保持したボールを受けて離した段階で1と数える。
本来はボールを受けた回数とすべきところがだが、ここではこれをボールタッチ数と呼ぶ。
また、前へのパスとは、攻撃の意図を持って縦もしくは斜め前方に出されたパスを指す。
この場合の「前」という概念には主観の入る余地があることをお断りしておく。

キャリック:1分あたりのボールタッチ数と前へのパス回数


図の「割合」とは、ボールタッチ数を分母とし、前へのパスの数値を分子とした値である。
まず、キャリックの前へのパス回数に注目する。
最初の23分に低い値を示し、その後は2倍以上の数値を示している。
これは、時間経過とともにミランのマークが甘くなったことを示唆していると見てよい。
次に、ボールタッチ数に注目する。
後半に高い数値を記録している。
これは、上記ゾーン、つまりミランの中盤前方での守備が甘くなったことを反映している。
69〜92分のデータは、前半と変わらない数値を示している。
しかし、これは2つに分けて考えるべきである。
ミランは、83分にフォワードのジラルディーノをグルクフに代えた。
上のグラフの右側にそれを境とした、69〜83分、83〜92分のデータがある。
ボールタッチ数は、グルクフの登場を境として減少している。
これは、グルクフがキャリックをマークしたことを反映している。
同時に、このことは、アンチェロッティがいかにキャリックを警戒していたかを示している。


ピルロ:1分あたりのボールタッチ数と前へのパス回数


数値の定義は、キャリックと同じである。
グラフにいくつかの特徴がある。
まず、ボールタッチ数は、前半から後半にかけてなだらかに減少している。
これは、スコールズのマンマークが1試合を通じて行なわれたことを意味している。
この事実は非常に興味深い。
後半開始時点で、マンチェスターは1-2で負けていた。
通常、攻めなければならない状況である。
にもかかわらず、ファーガソンはピルロに対するマークを解かなかった。
スコールズも、不利な状況で、その任務を確実に遂行した。
ベテランならではの働きと言える。

キャリックとピルロのデータを比べると、前者の方が良い。
しかし、これは、キャリックがピルロよりも優れていることを示さない。
むしろ、スコールズのピルロに対するマークが厳しかったことを示している。

最後に上記データの問題点を列記する。
・「前」という概念に主観が入る
・基準となる時間は、ボールデッドを除いた時間であるべきである
・ビデオで記録したため、リプレイ中のプレーは不明

また、生データと表は文末に付記されている。


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試合前の予想







生データ
1がボールを受けたこと、2がその後に前方へのパスを出したこと、3がシュートを示している。

キャリックがボールを触った回数
前半 11111211131211211(23m)1121212121212112112112
後半 121312121211121112111121121121112(69m)1121211112112121(83mジラルディーノ交代)1121

ピルロがボールを触った回数
前半 121121111211211(23m)111111.1211
後半 12(55m)12112111121(69m)1212,121121

キャリック タッチ数 前へのパス 割合
0-23分 13 3 23%
23-46分 13 9 69%
45-69分 22 9 41%
69-92分 14 6 43%




69-83分 11 5 45%
83-92分 3 2 67%




キャリック タッチ数/分 前へのパス/分 割合
0-23分 0.57 0.13 23%
23-46分 0.57 0.39 69%
45-69分 0.92 0.38 41%
69-92分 0.61 0.26 43%




69-83分 0.79 0.36 45%
83-92分 0.33 0.22 66%








ピルロ タッチ数 前へのパス 割合
0-23分 11 4 36%
23-46分 9 1 11%
45-69分 9 4 44%
69-92分 6 4 67%




ピルロ タッチ数/分 前へのパス/分 割合
0-23分 0.48 0.17 36%
23-46分 0.39 0.04 11%
45-69分 0.38 0.17 44%
69-92分 0.26 0.17 67%
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