A.C. Milan vs Liverpool
07.05.23.miercores
日時:2007年5月23日(水)
対戦:チャンピオンズリーグ決勝 ミラン対リバプール
結果:2−1
得点:45分 1−0 インザーギ
82分 2−0 インザーギ
89分 2−1 カイト
審判:ヘルベルト・ファンデル(ドイツ)
警告:ガットゥーゾ(ミラン)
マスチェラーノ、キャラガー(リバプール)

「さてさて」

「どうした」

「チャンピオンズリーグはミランの優勝で幕を閉じた」

「水曜日の話やな」

「そうや」

「その分析が土曜日にならないと出ないというのは遅すぎないかね」

「それはそう思う」

「反省したまえ」

「なんにせよ、先発はこうなっていた」

「意外といえば意外な形やな」

「リバプールの方がそうやな」

「右の中盤にペナン、トップにジェラードがいる」

「普通に考えると、右にジェラードでトップにベラミーだからこうなる」

「確かに」

「ミランには不安要素が2つあって、1つは控えに点を取れる選手がいないこと、もう1つは平均年齢が高く持久力に不安があること」

「それを考えると、リバプールとしては、とにかく試合時間を延ばせば有利になる」

「そう考えると、普通の布陣で構わない」

「ミランの攻めサイドは左だから、そこをジェラードで潰して、中央の選手でピルロを止めればミランの攻撃を防ぐことができる」

「ところが実際にはこうなっていた」

「これの狙いはこうやな」

「中央をジェラードで抑えて、ミランが上げてくる左サイドの裏をペナンのスピードで攻めよう、という話やな」

「そう考えられる」

「しかし、これはミランとしても悪い話じゃないな」

「セードルフ、ヤンクロフスキのサイドで攻めあうのは得意の形やしな」

「ちなみに、普段のリバプールは、相手のサイドバックがボールを持つとこういう形で守る」

「サイドの中盤が即座に詰めるわけやな」

「ところが、この試合では、前半の半ばからこうなっていた」

「ペナンが下がるのか」

「ヤンクロフスキとの距離を空けて、セードルフのスペースを潰していた」

「よほどセードルフを警戒していたという話やな」

「それかヤンクロフスキを誘い込んでのカウンターを狙っていたかのどちらかやな」

「あるいはその両方か」

「かもしれんな」

「そんな前半は、一進一退の攻防だった」

「というかリバプールが有利じゃなかったか」

「そうかね」

「その1つの指標として、エリア内のプレー数というか、相手陣に入ってからエリア内にボールを送った回数をグラフにするとこうなる」

「青がミラン、赤がリバプールで、X軸は10分ごとの時間帯やな」

「うむ」

「確かにリバプールの方が多いな」

「やろ」

「しかしやな」

「なんだ」

「リバプールのいい攻撃というのは、ミランの自爆的なミスによるところが大きかった」

「それはそうやな」

「ミランは自陣のディフェンスライン付近で酷いミスが多かった」

「グラフにするとこうなる」

「青がミランのミスの回数で、赤がリバプールが相手ペナルティーエリアにボールを送り込んだ回数か」

「前半は特に相関が強くてミランのミスが多いとリバプールのチャンスも多い」

「とは言っても、これが直接リバプールがミランのミスからチャンスを作った証拠にはならんけどな」

「ただ、それと矛盾しない結果ではある」

「まあそうやな」

「ちなみに、誰がミスをしたかを、前半、後半、試合全体であらわすとこうなる」

「合計では、ピルロ、マルディーニ、ガットゥーゾが1位で4回やな」

「ピルロ、マルディーニにやってはいけないミスが多いというのは意外だった」

「前半のミランがおかしかったのは、重にこれが原因やな」

「それは間違いない」

「ちなみに、ピルロのデータだけを抜き出すとこうなる」

「ふむ」

「そして、この試合の最初のゴールは、この形から入った」

「前半終了間際の45分やな」

「カカーがシャビ・アロンソに倒された後のフリーキックだった」

「ピルロが蹴ったボールは、壁の端から離れたインザーギに当たってゴールイン」

「逆を突かれたレイナは何もできなかった」

「これは、運がいいといえば運がいい得点だった」

「しかしなんだな」

「なんだ」

「これは狙ってやれそうな気がしないか」

「しないこともないが」

「練習を積めばけっこう簡単に同じ状況でゴールを奪える気がするのだが」

「まあ頑張ってくれたまえ」

「うむ」

「1-0で前半は終了し、後半、リードを奪われたリバプールは攻勢に出る」

「59分にゼンデンをキューエルに代えて、78分にマスチェラーノをクロウチに代える」

「その結果、こうなる」

「これに対して、ミランは79分にヤンクロフスキをカラーゼに代える」

「これは面白い」

「もしただ守りに入るだけなら、まずインザーギ、次にセードルフかカカーを代えればよい」

マンチェスター戦(別ページ)で見られたように、そこが動けなくなるのがミランの弱点やしな」

「ところが、最初に代えたのはイエローを受けていたヤンクロフスキだった」

「これは、同点に追いつかれた時のことを考えてのことやろな」

「おそらく」

「インザーギやセードルフを代えて同点に追いつかれると、ミランに攻撃を強化するオプションはほとんどない」

「だから、最後の最後まで彼らをピッチに残したと考えられる」

「そして82分に実に美しいゴールが決まる」

「始まりはこうだった」

「ボールを受けたカカが頭を上げるのに合わせて、下図のように、インザーギがほぼ真横に動く」

「そして縦へ方向転換

スルーパスを受けると、前に出るキーパーに対して外へ切り返す」

「そして下のようにシュート」

「ゴールが決まる」

「ここで、インザーギのシュートの瞬間を拡大してみるとこうなっている」

「ゴールを決める公式の1つ、キーパーの脇の下を狙っているわけやな」

「確かに」

「さすがインザーギという話やな」

「それに加えて言えば、上と下の写真を見比べてわかるように、インザーギはボールをほぼ真横に蹴っている」

「そうやな」

「ゴールはインザーギの左前にあるわけだから、これはわりと普通ではない行動といえる」

「ベクトルっぽく描くとこんな感じか」

「インザーギは、外に向かって切り返していたから、蹴る前のボールは赤い矢印のように動いている」

「それを青い矢印の方向に蹴るわけやな」

「そうすると、ボールは白い矢印の方向に飛んで行く」

「なんか白い矢印がずれている気がするが」

「画面が斜めだから描くのが難しいのよ」

「最終的には下のような形で入る」

「当たり前といえば当たり前の話だけど、あの一瞬にこのイメージを持ってシュートを撃てるのは、インザーギならではなのではないかと」

「普通は、思わずゴールめがけて蹴りたくなる場面やしな」

「そうなるとレイナの手に当たる可能性が高かった」

「インザーギ様々という話や」

「ちなみに、ミランの選手がキーパーと1対1になったのはこれしかなかった」

「そうやな」

「一方で、リバプールの方は、ジェラードとペナンがそれに近い形になった」

「ペナンの方は純粋な1対1じゃなかったけどな」

「ミランは決めて、リバプールは決められなかった」

「それがどうした」

「いったいその差はなんなのかというのが疑問なわけだ」

「リバプールの選手がゴール前で下手なのは今に始まったことじゃないやろ」

「しかし、下手の一言で片付けるなら、なにがどう下手なのかをきちんと把握する必要があると思わんかね」

「また面倒なことを」

「とりあえず次回は、その辺りをまとめてお送りできればいいかと思っております」

「なんや、続くんかいな」

「そういうことや」

「そう言うて忘れるのが多いという噂やけどな」

「まあ、空手形にならないことを祈って」

「今週はこの辺で」

「また来週」

「ご御機嫌よう」



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注:エリア内のプレー回数にはミドルシュートも含みます