Brasil vs Argentina
07.07.15.domingo
日時:2007年7月15日(日)
対戦:コパ・アメリカ決勝 ブラジル対アルゼンチン
結果:3−0
得点:4分 1−0 バチスタ
40分 2−0 アジャラ
69分 3−0 ダニエル・アウベス
審判:カルロス・アマリージャ(パラグアイ)
警告:アレックス、ドニ、ジウベルト、バチスタ、ジョスエ(ブラジル)
マスチェラーノ、テベス(アルゼンチン)

「さて」

「どうした」

「本日はコパ・アメリカの決勝をお届けするわけだが」

「うむ」

「ブラジルが圧勝した」

「内容も結果もまさに圧勝だった」

「なぜそうなったかという辺りを見ていきたいわけだが」

「よかろう」

「まず先発はこうなっていた」

「ブラジルの形は独特やな」

「このシステムを数字で表そうとしてもなかなか難しい」

「確かに」

「狙いとしてはこういうことになっている」

「とにかくリケルメを潰そうという話やな」

「ミネイロ、エラーノにバチスタを加えて絶対に彼をフリーにしないという配置になっている」

「サネッティが上がって来たらロビーニョがついて、ベロンの前のスペースはジョスエが埋める」

「まあそういう狙いやな」

「ちなみにこれをやると、右サイドの赤い点線のスペースが空く」

「前半のアルゼンチンはそこにカンビアッソを上げていたわけだが」

「まるであかんかったな」

「フリーでボールを持てるのにほとんどなにもできなかった」

「まあサイドに出て働く選手じゃないだけにキャラ違いといえばそうではある」

「それはあるな」

「ブラジルはとにかく中盤を固めることを第一にプレーし、リケルメにボールをわたさないことで優位に立った」

「最終的なファールの数が、ブラジル38でアルゼンチン25、イエローカードは5対2であることからもドゥンガの狙いはよくわかる」

「アルゼンチンとしては、そんなブラジルの守備に見事にはまってしまった」

「絵に描くとこうやな」

「まずリケルメが抑えられたことでそこにボールが入らない」

「それを打開するためにフォワードにボールを入れたいところだがそれも入らない」

「ロングボールを入れようにも、メシとテベスのちっちゃいコンビでは、アレックス、ジュアンに競り合いで勝つのは難しい」

「おまけにアジャラ、ガビ・ミリートのコンビでは、ロングボールをピンポイントで足に合わせるわけにもいかない」

「しかしバルサも変な補強をしたもんやと思うで」

「なんでや」

「パスの下手なセンターバックは必要ないはずなのに、なんでガビ・ミリートを取るかね?」

「まあそれは別の話やな」

「そして、ブラジルが残すサイドのスペースを有効活用することもできない」

「それは、テベス、メシが中央に固まりすぎるのと後ろからのフォローが薄いせいやな」

「一方では、アルゼンチンの残すサイドのスペースはロビーニョ、マイコンに使われる」

「自分の強いところは相手の強い場所にぶつかって、相手の強いところは自分の弱いところにぶつかっている、という話や」

「こうなると大体一方的な試合になることが多い」

「前半で2-0とリードされたアルゼンチンはこのまま負けるわけにもいかない」

「そうなると、交代でどうにかするしかない」

「で、54分、66分の交代でこうなる」

「中盤の右にルチョ、左にアイマールが入ったわけだな」

「カンビアッソがアイマールに代わってサイドでの仕事が期待されるところではあるが」

「ダニエル・アウベスにマークされて苦しいプレーを余儀なくされた」

「アウベスがアイマールにつけば、その外側が空くわけだが、ハインツェでは有効に活用できなかった」

「試合を通じて左からの攻めが問題になっていたということやな」

「それを見越してドゥンガが仕組んだ罠だという話やけどな」

「そうとも言える」

「この試合でベンチに入っていたメンバーからは、このような配置も考えられる」

「右からか」

「メシを右に回して、それをイバーラがフォロー。中央でボールを受けるためにディエゴ・ミリートを入れる」

「ふむ」

「右を押し込めば必然的にこうなるわけで、ミネイロ、バチスタが離れる分リケルメが少し自由になる」

「右に運んだボールを誰がリケルメに渡すか、というのは問題やけどな」

「それはベロンに頑張ってもらうしかない」

「おまけに上げたイバーラの裏にカウンターを喰らうと目も当てられない状況になる」

「それはもう、2点負けている以上仕方ないで」

「しかし、この試合のブラジルのカウンターは見事に決まっていた」

「特に3点目のカウンターは興味深かった」

この状況からやな」

「ラブがボールを持って右にアウベス」

「前にいるディフェンスは2人」

「後ろから1人追ってくる」

「このような状況でどのように動けば点が取れるのか」

「少し考えられてから先を読まれると面白いのではないかと」

「……」

「…………」

「………………」

「はい」

「実際にはこうなっていた」

「まずは近いディフェンスに向けてドリブルをするわけやな」

「こうすることで左右にスペースを保ったまま相手を押し下げることができる」

「次に中への切り返し」

「それからスルーパス、サイドの選手が受けてゴール」

「最後の部分を拡大するとこうなる」

「緑の矢印のように、相手に向かうことで緑の点線の部分が空く」

「それを使って中央へ切り返し、もう1人のディフェンスへと向かう」

「こうなると、そのディフェンダーはドリブルで向かってくるフォワードへの対処、サイドへのパスへの対処、裏に出るボールへの対処、3つを同時に行わなければならない」

「1人でその3ヶ所を防ぐのは絶対無理やな」

「だから動こうにも動けない状態になる」

「そうすると待望の青い点線のスペースが空く」

「必然的にスルーパスが出てゴールが生まれる」

「これは、守備側としてはこうとしか対処のしようがないため、いつでも再現可能である」

「ということは、これさえ知っておけば同じような状況で使えるわけやな」

「ここで肝心なのは、最初のドリブルを相手に向かって行うということで、これができない、もしくはディフェンスを押し下げることができないのでは話が終わってしまう」

「そこは腕やな」

「腕というか訓練ちゃうかね」

「特に子供には、そう教える必要があるな」

「そういえばだな」

「なんだ」

「この前モントリオールでやっていたユースのブラジル対韓国を見たわけだ」

「それがどうした」

「その時、韓国の選手は、同じような状況でどうしてもスペースの方にドリブルしてしまい、自ら状況を苦しくしてしまうことが多々あったわけだ」

「そうかね」

「相手の方に体を向けない、ドリブルをしないというのはドイツワールドカップの日本代表に顕著に見られた弱点だったから、これは興味をひかれる現象ではないかと思うわけやな」

「いわゆる国民性がどうこうという話かね」

「そうじゃなくて、それこそ子供のころからの訓練の話やと思うけどな」

「そうかね」

「ブラジルのプレーはその点で非常に参考になる」

「特にこの試合では、ブラジルのいい面が大きく出てたしな」

「後は今後どうなるかやな」

「今後かね」

「この試合のブラジルは、チームとして1つのまとまった形を提示したわけやろ」

「そうやな」

「ところが、ここにはロナウジーニョやカカーやロナウドの入る余地はない」

「バチスタをカカーに代えて、ロビーニョをロナウジーニョに代えたら上の話はご破算やしな」

「カカーではバチスタの3分の1も守れない、中盤が空く、リケルメが復活、叩き合い、といった展開になる」

「ロナウジーニョが戻らなければ左サイドもスカスカになる」

「少なくとも、この日のようなカッチリとした戦いはできない」

「ドゥンガとしては、この感じが好みやろうしな」

「エラーノ、ミネイロ、ジョスエといった選手は正に好みだと思う」

「しかし、ロナウジーニョ、カカーを外して国民が納得するかといえば」

「それはない」

「ドゥンガの目指すものと周囲の目指すものがかなり違うのでその辺りが問題になるはずなんやな」

「カルロス・カエタノ・ブレドルンさんにはぜひ頑張って欲しいところやな」

「誰や」

「ドゥンガの本名らしいで」

「ほんまかいな」

「実は昨日初めて知ったんやけどな」

「そんなこんなで」

「今週はこの辺で」

「また次回」

「ご機嫌よう」



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