Getafe vs Barcelona
07.05.10.jueves
日時:2007年5月10日(木曜日)
対戦:国王杯準決勝 ヘタフェ対バルセロナ
結果:4−0
得点:37分 1−0 カスケーロ
43分 2−0 グィサ
70分 3−0 ビバル・ドラド
73分 4−0 グィサ
審判:メディーナ・カンタレッホ(アンダルシア)
警告:パレーデス、マリス、カスケーロ、ベレンゲル、パチョン、コントラ(ヘタフェ)
シウビーニョ(バルサ)

「さて」

「どうした」

「バルサは負けた」

「見事に負けたな」

「その理由はは明らかで、本日はそれを見ていこういう話なわけだ」

「うむ」

「まず先発はこうなっていた」

「ふむ」

「ヘタッフェは、全体が右にずれている」

「これはこういう意図やな」

「わざと左を空けてザンブロッタを引き込みその裏を狙う」

「こうすることで、右のシウビーニョの上がりを押さえる効果もある」

「シウビーニョのオバーラップを押さえれば、ヘルプの届かないロナウジーニョの周囲のスペースが開きにくくなる」

「そして、ロナウジーニョがボールを触る回数が減れば、彼の守備面でのマイナスの方が目立つようになる」

「例えばザンブロッタが誘いにのるとこうなる」

「ここでザンブロッタがドリブルで突破をしたり、見事なクロスを上げればよいが、ボールを失う回数の方がはるかに多い」

「それはザンブロッタのせいと言うよりは、後ろのカバーが薄いため思い切って上がれないという事情もある」

「それで中途半端になってしまうねんな」

「とにかく、ボールを失うと、赤い部分ががら空きだから、簡単に前に運ばれる」

「そしてこうなる」

「中盤は必死で後ろに走らなければならない」

「そして、そこに力を使うため、攻撃にも支障をきたす」

「有名なバルサの悪循環というやつやな」

「裏を返せば、ナイスなヘタッフェの罠ともいえる」

「ちなみに、この作戦には参考になる試合が存在する」

「日本でのポルト・アレグレとの試合(別ページ)やな」

「世界クラブ選手権の決勝でバルサはやはりこの罠に負ける」

「その時は、こうなっていた」

「上下が逆やな」

「やはりバルサの右サイド、ザンブロッタを誘い込む作戦だった」

「そのあたりの作戦の詳細はサラゴサ戦(別ページ)を参照いただくとして」

「同じ作戦にまたも敗れたわけやな」

「そうなる」

「しかしだな」

「なんだ」

「今年はバルサの作戦がいかに駄目かというのを書き続けた一年だった気がしないか」

「駄目なものは駄目なのだから仕方ないやろ」

「思い起こせば昨シーズン。バルサは、最初から強かったわけではなく、開幕当初は苦戦が続いた」

「いきなり昔話かいな」

「そんな流れが変わったのは8節のオサスナ戦(別ページ)だった」

「昔を懐かしむと、もう歳らしいで」

「先発はこうだったが、ベレッティの負傷によりこう変わった」

「マルケスがセンターバック、オレゲルが右サイドバックやな」

「このオレゲル右サイドバックが重要で、彼の起用によりこれまでの不安定さが嘘のように消えて連勝街道を突き進んだ」

「うむ」

「その後メシが怪我をして、昨年のバルサの先発はのような形が多かった」

「右をオレゲルで押さえることで左サイドバックが自然に上がる形になり、ロナウジーニョをフォローすることでスペースを作り出す、という話やな」

「ロナウジーニョを追い越すジオ、シウビーニョというのが攻撃のトリガー、つまり、引き金になっていて、相手はそれをわかっているのに止めることができなかった」

「いわゆる必殺技というやつやな」

「来るとわかっていても止められないのが本当の必殺技やしな」

「それにしても、これはロナウジーニョの能力を使い尽くすというという意味でいい布陣だった」

「ロナウジーニョがボールに触る回数が増えるし、周囲にスペースはつくってあげられるし、フォローにいくシャビがロナウジーニョの裏をカバーできるし、右サイドバックはオレゲルだから裏を取られにくい」

「選手それぞれの能力がきっちりと噛み合っているわけやな」

「付け加えるならば、攻撃でいえばこれがギリギリのバランスで、これ以上、守備に穴をあけて前に出る選手を置くと危うくなる」

「一方で、守る、つまりスペースを消すオプションとしては、こういう布陣を採用していた」

アーセナルとの決勝(別ページ)ではファン・ボメルだったし、チェルシー戦(別ページ)モタ、チャンピオンズリーグ全体ではジオが活躍した」

「彼らの働きは非常に大切だった」

「それが今年のバルサはこんなことばかりをしたがり、バランスもくそもない」

「いわゆる選手を置いただけというやつやな」

「うむ」

「それにしてもだ」

「なんだ」

「それで上手く行くならいいけど、駄目だという結果が出続けているのになぜ変えようとせえへんのやろな?」

「問題はそれやな」

「やろ」

「これは、これまでも言おうか言うまいか考えていたのだが」

「なんや、思わせぶりやな」

「その原因は、作戦を考えている人間の嫉妬と利己主義のためじゃないかと思うんや」

「えらい大げさな話やな」

「というかそれ以外に解釈のしようがない」

「詳しく話せ」

「まず、昨年のバルサの作戦はヘンク・テン・カテが決めていたという話になっている」

「そうやな」

「これは各所のインタビューやら記事やらでほぼ間違いがないと考えられる」

「また聞きといえばまた聞きやけどな」

「そして、今年のバルサはラーション、ファン・ボメルが抜けたものの、ほとんど去年と同じ選手が残っている」

「ファン・ボメルを出すのはおしかったけどな」

「つまり、作戦的には、去年とほとんど同じでうまくいくはずなわけだ」

「安直に考えるとそうなる」

「しかし、その安直な方法を取らないで、いつまでも馬鹿な組み合わせや、自殺としかいいようのない1-3-4-3にこだわった」

「そこや」

「それは、去年と同じ方法で勝っても、作戦を決める人間にとっては、自分の手柄にならないから、ではないかと」

「そういう裏読みか」

「去年と同じことをしたのでは自分の手柄にならない、だから独自路線を歩む、チームバランスがおかしくて勝てない、勝てないのに戻すと、”それ見たことか”という横槍が入り、自分が無能だということになる」

「要するに意地になったということか」

「そうも言えるかもしれん。で、元に戻すこともできなくなり、次には夢とも妄想ともつかない手段を発明する。サラゴサ(別ページ)後半ボロボロにされた1-3-4-3がそれで、リバプール(別ページ)にはギタギタに刻まれレアル・マドリー戦(別ページ)では小学生以下の最低を越えた守備組織を披露、最後はまたもサラゴサ(別ページ)に使い完封負け

「そう興奮するな」

「そして、この試合ではついに、このような配置を考え出した」

「なかなか斬新やな」

「斬新も何もあなた」

「グジョンセンが右の中盤に入るわけか」

「ちなみにこの時点では0-2で負けていた」

「第1戦が5-2やからまだバルサは勝ってるな」

「勝っている状況なのに、なぜか最後の無茶攻めのような布陣をとったわけだ」

「選手がいなかっただけでないか?」

「ベンチにはジオがいて、彼を素直に左中盤に入れればいい」

「ジオはじつは見えない怪我持ちだったとか」

「それならそれでいいが、この試合だけじゃなく、上にあげたように、1年中アホなことのし通しなのが問題なわけだ」

「去年は、ミラン戦(別ページ)チェルシー戦(別ページ)アーセナル戦(別ページ)に代表されるように、相手に合わせた対応を見せただけに不思議な話ではあるな」

「その不思議さの原因は上の理由にあるのではないかという話だ」

「もしかすると、単に理想主義者で机の上の方が現実より大事なだけかもしれんぞ」

「それはそれで問題やろ」

「そうやけどな」

「作戦屋として一番やっていはいけないのがそれで、そうなると日露戦争の旅順攻略戦のようなことになる」

「また意味のわからんことを」

「ライカールトは、”これからの鍵は誇りと団結だ”と記者会見でいっていたけど、それは何の策も無くただひたすら兵士に突撃をさせて上手くいかず、それを、”根性と砲弾が足りないからだ”というのに似ている」

「よくわからんが、まず作戦をきちんとやれということだな」

「今年のバルサの”不調”は1にも2にも3にも作戦で、選手のモチベーションとか内部分裂とかは副次的なものにすぎない」

「で、その作戦はニースケンスが決めているという話か」

「それがよくわからんのだが、ニースケンスはベンチにいる日といない日がある。この試合ではエウゼビオが隣にいた」

「じゃあ、エウゼビオか」

「この試合はそうだと思うけど、その辺りも非常に謎なわけやな」

「バルサは謎だらけということか」

「そんなまとめかね」

「とにかく週末はベティス戦があるということで」

「そちらも注目というところで」

「今週はこの辺で」

「また来週」

「ごきげんよう」

「しかしなんだな」

「なんだ」

「ここまで来ると、今度はバルサがどんな自爆をするかが楽しみなってきた気もする」

「気のせいやろ」

「やっぱりそうか」

「では」

「今度こそ本当に」

「また来週」

「ご機嫌よう」



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