靴下問題
(2007.06.07)
「なんの変哲もない一枚の写真。この写真がスペインを騒がせたと言ったらあなたは信じるだろうか?」
「おい」
「まずは下の写真をご覧頂きたい」
「もしもし」
「これは、5日前に行われたラトビア対スペイン戦のものである」
「こら」
「ん?」
「なにをわけのわからん一人語りをしているのだ」
「いや、ちょっとかっこよくていいかなと思ったのだが」
「むしろかっこよさに憧れて失敗したように見えるぞ」
「そうかね」
「まあ言いたいのは、この写真のことやな」
「そうや」
「果たしてこの写真のどこがどうおかしいのか」
「なにも聞かずにわかった人はすごいと思うけどな」
「みなさまいかがでしょうか」
「・」
「・・・」
「・・・・・・」
「はい」
「では第一ヒントとして下の絵をご覧下さい」
「この足はシャビ・アロンソの足やな」
「番号でわかっただけやろ」
「そうやけどな」
「上の絵をご覧になった後にもう一度下の集合写真をご覧になって下さい」
「間違い探しみたいやな」
「おわかりになりましたでしょうか」
「これでわかった人もすごいと思うけどな」
「・」
「・・・」
「・・・・・・」
「はい」
「正解は下の写真のようになっております」
「選手のストッキングの上の部分に注目すると、2人の選手だけ赤と黄色の部分が見えない」
「その選手というのは、5番のプジョルと8番のシャビ」
「これが大問題なわけやな」
「まず、上のシャビ・アロンソの足でわかるように、ストッキングの上の部分の配色はスペイン国旗から来ている」
「そして、プジョルとシャビは、バルセロナでプレーするカタルーニャの選手」
「ご存知のようにカタルーニャは地域独立意識が非常に強い」
「サッカーでは、カタルーニャ代表としてFIFA、UEFAに登録したいと思っているし、政治的にはスペインから独立したいと思っている」
「サッカーのカタルーニャ選抜チームは、ブラジルの国家代表と試合をしたりするからな」
「そういえば、バルセロナ育ちのクライフの息子、ジョルディ・クライフが選手で出てたな」
「一般生活で言えば、様々な表示がカタラン語のみで、いわゆるスペイン語であるカステジャーノが併記されていない」
「一応、建て前の上ではカステジャーノが共通語のはずやねんけどな」
「マドリードでカタランを併記しないのに、なんでカタルーニャでカステジャーノを併記してやらなければいかんのか、ということだと思う」
「”関西弁が標準語や”というのと同じことやな」
「いや、関西弁は標準語だろう」
「それは違うやろ」
「それに関して、最近面白い話を読んだのだがな」
「なんだ」
「人からもらった週間ベースボールの5月21日号にだな」
「ベースボールということは野球か」
「”豊田泰光の「俺が許さん!」”第679回、という記事があってだな」
「それがどうした」
「その中に、”日本のプロ野球の世界は関西弁が’共通語’でした”と書かれていたわけだ」
「そうなのか」
「それで思うのだが、サッカーや野球のように、論理だけでは詰めきれない、カンやフィーリングでやる世界というのは、むしろそういう感覚を表現しやすい関西弁の方が向いているのではなかろうかと思うわけだ」
「また超解釈が出たな」
「例えば、”最近どうなん?”、”ぼちぼちやな”、”ふーん”という会話なんかが典型で、論理ではなにも説明してないけど感覚だけでわかり合うわけだ」
「わかった気になるだけという噂もあるが」
「”弾くように蹴る”とか”体の中心でつかまえるように蹴る”とかも同じようなもんやで」
「それに、野球で関西弁が’共通語’だったのは、単に歴史的経緯とか別の理由なのかもしれんぞ」
「それはあるかもしれんけどな」
「まあ、日本ではある業界で関西弁が共通語でも社会問題にはならんわけだが」
「まあな」
「スペインの今回の事件は大きな波紋をひき起こした」
「なにしろ”スペイン代表”としてプレーしているにもかかわらず、その国旗を隠すという事件なわけだからな」
「先週土曜日のラトビア戦後、この問題がメディアで大きく取り上げられた」
「ちなみに、2人のいいわけは、”ストッキングの折り方が悪かっただけだ”ということらしい」
「そんなアホな、という話やな」
「この事件を受けて、水曜日のリヒテンシュタイン戦は別の意味で注目されていた」
「この2人が、”正しく”ストッキングを折り返すかどうか、というのが注目だったわけだが」
「見事に肩すかしを喰わされた」
「シャビは前の試合でわざとイエローをもらい出場停止」
「もう1人のプジョルは、”休養”という名目で外された」
「政治的判断というやつやな」
「しかし、1つ気になることがあるのだがな」
「なんや」
「上の写真で、シャビとプジョルはストッキングの折り返しを間違っているわけやろ」
「そうやな」
「なのに、同じカタルーニャ代表である16番のイニエスタと20番のカプデビラはなんで普通なのだ?」
「カタルーニャ主義がそれほど激しくないからちゃうかね」
「そうなのか」
「オレゲルなんかは、”代表のユニフォームを着る気はない”と言ってるぐらいやし、個人によって嫌悪度みたいなのが違うんやろ」
「そういえば、オレゲルのその発言も問題になったな」
「まあそんなこんなで」
「スペイン代表はこれからもストッキングに注目ということで」
「また次回」
「ご機嫌よう」

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