Osasuna vs Barcelona
07.09.16.domingo
日時:2007年9月16日(日)
対戦:スペインリーグ第3節 オサスナ対バルセロナ
結果:0−0
得点:−
審判:ペレス・ラサ(バスク)
退場:−
警告:ホセチョ、イスキエルド、プニャル(オサスナ)
デコ、イニエスタ(バルサ)

「さて、本日はバルセロナなわけだが」

「ん?今日もやるのか?」

「一応、試合分析は週一と決まったもんやけどな」

「そうやろ」

「最近日本ではマドリーとバルサの試合は見られないらしいので、実際に何が起こっているのか、みなさん興味がおありなのではなかろうかと思うわけだ」

「さよか」

「そういう訳でバルサもお届けしようかと」

「なるほど」

「それで、試合の結果はと言うと」

「バルサは、またもアウェーで引き分け」

「相手はオサスナやな」

「先発はこうやった」

「バルサは1-4-1-4-1のように見えるが」

「普段の1-4-1-2-3の両翼が下がるとそう見えるのだが、この試合の開始直後は確かにそうなっていた」

「見方によっては3トップというやつか」

「ただ、ロナウジーニョとメシが両翼の時よりは、遥かに1-4-1-4-1寄りやな」

「それにしてもロナウジーニョの完全なワントップとは奇策やな」

「いままでもエトーを左において彼をトップに置くことはよくあったけどな」

「それは左サイドを守る時やろ。オサスナのイスキエルドをそんなに警戒する必要があるとは思えんが」

「まあ、試合開始から、これだけ一人ぼっちなワントップというのは初めてやな」

「ほんで、前半のバルサはまったくチャンスを作れんかったわけや」

「シュート自体、4本しかなかった」

「決定機といえばアンリのチャンスを1回と数えるか数えないかくらいのものやった」

「この形だと、こう攻めるしかないからな」

「まずロナウジーニョがパスを受けても前に誰もいない」

「ロナウジーニョの一番才能はラストパスを出す能力なんだから、これでは困る」

「困る困る言っていてもしょうがないから、スピードがあって長い距離を走れるアンリが前に出る」

「ただ、この動きは無茶で、アンリの移動量が莫大なものになるため、絶対に一試合持たない」

「彼も三十路やしな」

「いや、二十歳のアンリでも持たんで」

「そうかね」

「サイドを縦に一試合動くのでもしんどいのに、サイドから斜めに出る動きを繰り返すと間違いなく売り切れるねん」

「さよか」

「これが、この試合におけるバルセロナの矛盾その一で、ロナウジーニョを使うなら前に人が置かないとおかしいけれど、それがいない」

「守備を考えてサイドを下げてしまったために前に出るのがしんどいわけやな」

「そしてもう一つの矛盾はこうなる」

「いわゆる首なしというやつやな」

「左サイドにアンリを置いておけば、左サイドを素早く縦に突破してくれることは多々ある」

「カウンターなんかでは特に速いからな」

「しかし、ゴール前の赤い点線の位置に誰も飛び込まない」

「ロナウジーニョが飛び込めばいいだけの話やけどな」

「彼は引いた場所でマイナスのボールを受けたがる性質やからそうもいかん」

「ほんまは赤い矢印のような感じで動かんといかんのやけどな」

「そうやねん」

「エトーだったら確実にそこに飛び込むところや」

「しかし、ロナウジーニョは前にいかへんもんやから、折角サイドを突破してもゴール前に誰もいないという状態が起きる」

「チームの頭にあたる部分に誰もいないから、このような状態を首なしというんやな」

「こうなると、ディフェンスは一番危ない場所を気にしなくていい分、楽に守れる」

「これではわざわざサイドにアンリを置く意味はないな」

「イニエスタとデコが飛び込んでくれたらええねんけどな」

「その二人がアンリのスピードについていくのは無理やと思うで」

「それはあるわな」

「サイドでチャンスを作っても、ロナウジーニョが飛び込まないためゴールにつながらない、というのが矛盾その2か」

「そうなる」

「ちなみに、他の場面でも同じような問題が見られる」

「中央に切れ込んだ後か」

「そう。この形だと、フォワードとしてはどうにかして縦に動いてスルーパスを受けるべきやけれども、ロナウジーニョの場合だと問答無用で引いてしまう」

「引いてボールを受けたあと、縦に出るジオバンニにワンツーか」

「そのバリエーションやな」

「ここでフォワードが引くと、後ろからフォローに来る中盤も詰まるし、中に切れ込んで来るウィングとしてもそれ以上中央に行けないからシュートも打ちにくい」

「ロナウジーニョに決定的に欠けている才能というのは、”味方のためにスペースを作る能力”という奴やからな」

「逆に、彼のためにスペースを作ってくれるチームじゃないと著しく働きが鈍る」

「これもいわゆる矛盾でその3にあたる」

「一つのシステムの中に3つも矛盾があれば上手く行くわけがないわな」

「チーム構成の矛盾というのは、中にいる個人個人の良さを潰すというのと同義やでな」

「プレーしている選手というのはそういうのに敏感やから、わかってまうねんな」

「確かに、”どうもこれは上手くいかない”というのを動物的なカンで察する能力は高いわな」

「そういう状態が続くと士気がどんどん下がっていく」

「それが去年のバルサだったわけだが」

「この試合では、後半に入ると大きな変更が行われた」

こうやな」

「1-4-3-1-2という奴やな」

「ロナウジーニョの前に人がいないのが問題なら置いてしまえ、という話なわけだが」

「こうすると違う問題が起きる」

「うむ」

「サイドがスカスカになるから、そこにボールを運ばれる」

「今まではアンリとジオバンニが中盤を助けていたけど、それがなくなる」

「純粋に3人の中盤になると、デコとシャビの組み合わせでは支えられない」

「オサスナのシュートは、前半2本だったのに、後半は5本やしな」

「もっと打たれてるかと思ったけど意外と少ないな」

「後半のバルサのシュートも5本だというのは秘密の話や」

「なんにしても、この形だと、サイドか守備の弱いロナウジーニョの脇を通ってボールをライン際の前へと運ばれる。そして、ここの人数を増やすためにはアンリが戻って来ざるを得ない」

「そうなるともとの木阿弥やな」

「後半のバルサのような形で前線の3人を支える場合は、中盤にスペースを潰して守る選手を置かないとどうにもならない」

「例えば、ミランでは、アンブロジーニとガットゥーゾやな」

「シードルフが前に残る場合、その2人が中盤を支えるから全体が持つわけや」

「バルサやったらこうとでも組みたいところやな」

「ジオ、モタにファン・ボメルか」

「そう」

「もう誰もおらんがな」

「そこが問題よ。去年のバルサは、中盤を支える選手がいるのになんで使わへんのやろ、というのが疑問だったわけだが、今のバルサはもとから支える選手がおらへんわけや」

「ロナウジーニョが活躍するときは、それを支える選手が必要で、4年前はダービッツがいたし、2年前は右のジュリとオレゲル、そして後ろをデコとモタ、ジオで支えておったわけだ」

「そうやな」

「しかし、ジュリもジオもいない、オレゲルは外す、モタは売り払うと来たら後はどないすんねんという話や」

「デコはおるで」

「今のデコはものの役に立ってないからまた問題が大きくなるのよ」

「去年からひどいわな」

「この試合のデコは16回ボールを失っている」

「ほう」

ASの調べやねんけどな」

「ASのデータページは便利やんな」

「それによると、同じく93分プレーした中盤のイニエスタは9回、ヤヤ・トゥレは5回となっている」

「ふむ」

「デコのボールを失う回数は、イニエスタより7回多く、トゥレより11回多かった」

「ラストパスを狙う回数が多ければそうなるのではないかね」

「それならええんやけど、デコのはつまらんミスでボールを失い過ぎなんや」

「つまらんとはどういうことかね」

「単純なキックミスやトラップミス。さらには相手へのパスも多い」

「キックは上手いはずやねんけどな」

「なんでそれが上手くいかないのかは謎やけどな。今の状態なら外した方が絶対ええで」

「ところが、ライカールトの交代はまったく違った」

「66分にこうやな」

「ロナウジーニョとザンブロッタが抜けて、シャビとオレゲルが入った」

「引き分け、しかも点の欲しい状況でロナウジーニョを切るというのは、ここ3年で初めてちゃうかね?」

「とりあえず記憶にはないな」

「とうとうこの日が来たかという気がする」

「さらに言えば、点の欲しい状況でザンブロッタが下がり、オレゲルが入るというのも新鮮やな」

「今までは逆の起用で、守備固めにオレゲルというパターンが多かった」

「オレゲルは隠れドリブラーで、意外と切り返しがうまいというのはある」

「実際にザンブロッタより攻撃に絡んで、決定的なセンタリングとシュートを一本づつ放っていた」

「なかなかの活躍ぶりや」

「しかし、交代後のイニエスタのポジションはよくわからんかったで」

「デコとシャビよりも前にいるんやけど、中央よりも左側の微妙な位置を取っていた」

「なんにせよ、この交代で相手のゴール前にたどり着く回数は増えたものの、結局点は奪えずスコアレスドロー」

「消化3試合で2回目のドローやな」

「果たしてこれからどうするつもりなのか」

「どうするもこうするもロナウジーニョを切るしかないやろ」

「切るのかね」

「そりゃあ、この試合みたいに彼にまったく向かないポジションで起用したあげくに、後ろのカバーもせずにトップ下に放り出すなら機能するはずないで」

「そりゃまあそうやけどな」

「こんなもん、わざと向いてない仕事を与えていじめてるようなもんや」

「今度はいじめと来たもんだ」

「ロナウジーニョというのはチームに大穴を空ける選手であるからして、周囲が支えないと居場所がなくなるわけや」

「そうかね」

「それなのに、支える選手をみんな首にした挙句に、お前は全然機能せえへんから下がれ、と言うのは無茶苦茶やって。使えへんのが当たり前や」

「だから最初から使わないわけか」

「こんな中途半端な使い方をして途中で交代させるくらいならそっちの方がええって」

「それでどう組むんや?」

「この試合のメンバーだとこうちゃうか」

「そうきたか」

「一見どうかと思う配置やけど、チーム内に矛盾はないから普通に戦えるで」

「1-4-1-4-1に必要な要件を備えてはいるわな」

「ボールをキープできるフォワード、その後ろに前に出て点を取れる選手、ディフェンスラインの前に当たり負けせずにボールを奪って、それを確実にスペースに送る選手がちゃんといる」

「アンリ、イニエスタ、トゥレか」

「そうや」

「しかしなんだ」

「なんだ」

「地味やな」

「見た目は地味でも心は錦や」

「この試合はそれでいいとして、メシとエトーが帰って来たらどうすんねん」

第一節(別ページ)と同じ話でこうしかないやろ」

「そうかね」

「とにかく、今のバルサの選手構成ではロナウジーニョを使うことは不可能だと思うわけや。もしそうでないとしたら、その解をなるべく早く見せていただきたいと切に願う次第やで」

「ライカールトが、ずばっと示してくれるとええけどな」

「バルサは見ているだけで面白いサッカーをする可能性を一番秘めているチームのはずで、それが去年から自家撞着を起こして泣かず飛ばずなのは傍目にもしんどいと思わんか」

「わしなんかトゥレとシャビを見ているだけで幸せやからええねんけどな」

「ほんまかいね」

「いや、見る度に新鮮でボールタッチの一つ一つに関心できる選手というのはあの二人に尽きると思うで」

「それは個人の趣味でええんやろうけど、最終的にはチーム全体が機能してないとどうしようもないやろ」

「それはそれ、これはこれや」

「なにがどれで、どれがそれか知らんけどな」

「そんなこんなで今回はこの辺で」

「また次回」

「ごきげんよう」



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