「クリスマスにクラシコとはこれいかに」
「これいかにと言われても困るけどな」
「注目の一戦はマドリーが勝ったな」
「36分のバチスタのゴールが唯一にして決勝点だった」
「うむ」
「まず色々と噂されていた先発であるが」
「
こうだった」
「これはなかなか意外やな」
「確かに」
「
先週の予想(別ページ)の
配置とは大分違う」
「特に目に付く選手は、ハインツェ、ロナウジーニョとファン・ニステルローイとラウールかね」
「
こうか」
「まず、レアル・マドリーは左サイドバックにハインツェを使っている」
「これは守るということを宣言しているようなもんやな」
「守備に穴の空きやすいマルセロをハインツェに代えるというのはそういうことやな」
「しかし、これは
事前予想でも候補に挙がった手だけにそれほど意外ではないな」
「
その図と
実際の先発で最も違うのはロナウジーニョやな」
「11月終わりのオリンピック・リヨン戦から、ベンチ暮らしが続いていた彼が突然の先発」
「これはどういうことやろな」
「メッシがいない以上、ジーニョにかけるしかなかったということかね」
「しかし、試合に出られず笑顔の失せたロナウジーニョに大した破壊力はないで」
「笑顔は大切やな」
「笑えば笑うほど上手くなる不思議な人やからな」
「まあとにかく、バルサは、守備に穴があくのを覚悟してロナウジーニョを使い、その攻撃力に賭けたと言えなくもない」
「傍目から見ると謎の先発ではあるが、ありえない話ではない」
「そして、
この図で最も興味深いファン・ニステルローイとラウールの話になる」
「この2人は、普段ファン・ニステルローイが中央で、ラウールが右を戻ることが多い」
「ところがこの日は完全に逆だった」
「その狙いは守備において、
このように動くことにある」
「まず、ファン・ニステルローイはアビダルをマークして自陣の奥深くまで下がる」
「ペナルティーエリアのすぐ横まで戻る」
「これは、いわゆるスリートップのウィングの動きとしては当然といえば当然ではある」
「しかし、それを生涯一筋センターフォワードのようなファン・ニステルローイが行うとびっくりするわな」
「そして、一方のラウールも非常に特徴のある動きをする」
「徹底的にトゥレにマンツーマンやな」
「マルケスやミリートがボールを持ってもほとんどプレッシャーをかけず、まずトゥレをマークする」
「そしてトゥレが上がるとそれについて下がる」
「このマークは90分ずっと続いた」
「ラウールの仕事熱心さにはいつもながら凄い」
「まあ、それにしてもマドリーは守る気満々やな」
「満々やな」
「マンツーマンを基調とした守備で最近としては珍しい」
「ちなみに、攻撃に関するデータは
こうなっている」
「
ASの調べか」
「これを見ると例の病がまた出ていることがわかる」
「ゴール数では勝つが他のデータで綺麗に負けるという奴か」
「シュート数と特にコーナーの数で見事に負けている」
「まあ、しかし、この試合はこれまでの試合とは意味が違うと思うで」
「どういうことや」
「例えば、3節でのホームでのアルメリア戦は
こうやったやろ」
「紫がマドリーで赤がアルメリアやな」
「このデータがおかしいのは、まずマドリーのホームであること、そして相手がアルメリアであることを考えればマドリーが攻めているべきなのに押し込まれているのがおかしいわけや」
「押し込まれているというかデータ上は圧倒的に負け試合やな」
「おまけに、アルメリアは30分以上10人で戦っていたこと、マドリーはグティを中盤に入れて攻める方針だったことを考えると、これだけやられるというのは奇妙なわけだ」
「ちとやられ過ぎやったからな」
「次に、クラシコと似たデータとして
こういうものがある」
「アウェーのビルバオ戦か」
「
ビルバオ戦と
バルサ戦を比べると類似性が強い」
「マドリーにとってはアスレチックもバルセロナも同じということかね」
「そうじゃないやろ」
「そうかね」
「まず第一に、アスレチック戦と比べて、このクラシコでは意図的に守備を厚くして受け潰しを狙っているわけや」
「確かにそれは言える」
「となると、
攻撃に関するデータ、つまり、シュート数やらコーナーキックの数で負けるというのは折り込み済みなわけで、その上で試合に勝ったというのは完全な作戦勝ちやで」
「シュスターにとっては完全に計算通りということか」
「後半バルセロナが攻めに来たのもきっちり受け返したしな」
「バルサもかなり攻めたんやけどな」
「マドリーの
このディフェンスを破ろうと思うと、
図のような筋が有力になる」
「アビダルとマルケスをを大きく上げるわけやな」
「まず、アビダルをマークするのはファン・ニステルローイなわけだから、体力的にもスピード的にももともと無理がある」
「疲れてくる後半になるとその差がさらに開くことになる」
「次に、マルケスとミリートを捨てた形で守るというなら、トゥレを左に寄せてマルケスを中盤に上げてさばかせれば良い」
「そこに中盤の選手が詰めればマークがずれるから穴を開けやすいわけか」
「理屈ではそうなる」
「ただ、これをやるとどうしても色々な場所に大きなスペースができる」
「負けてる方は攻め合わなしょうがないから、それはしょうがないやろ」
「ただ、スペースが空いてカウンターの打ち合いになると、全体が前後に伸びて中盤が間延びしてくる」
「当然やな」
「そうなるとマドリーに有利になる」
「まあそうかね」
「
このような形でスペースの多い展開になると、前線の能力勝負になってしまう」
「この場合、ファン・ニステルローイ、ラウール、ロビーニョ対エトー、イニエスタ、ロナウジーニョの勝負か」
「こうなると、マドリーが有利やろ」
「特に今の時点では左から持ち込むロビーニョとロナウジーニョの差が大き過ぎるな」
「ロビーニョはプジョルをきりきり舞いさせていたのに対して、ロナウジーニョはセルヒオ・ラモスにほぼ止められていた」
「しかし、プジョルでも止められないとなると一対一で左のロビーニョを止める選手はほとんどいないということやな」
「リーガではダニエウ・アウベスくらいのものかもしれん」
「ロビーニョはアウベスが性格的にも苦手みたいやしな」
「そうなんか?」
「見た感じやけどな」
「それはともかく、スペースがある状況になればなるほどマドリーが有利なわけだ」
「うむ」
「そうなると、試合開始から
こうしておいた方がいいと思わんかね」
「ロナウジーニョを外すのか」
「こうやって中盤のスペースを潰してバチスタ、ディアラにプレスをかけるとうのがこのマドリー対策の基本やろ」
「バレンシア戦では前線からいい守備をしてたのはあるな」
「ロナウジーニョが入るとプレスがかからないのは延々と証明済みやしな」
「ホームだし攻めないわけにはいかんのではないかね」
「かといって今のロナウジーニョを使っても攻めにどれほどプラスがあるのかはわからんし、守備のマイナスはとても補えない」
「まあな」
「おまけに、中盤を狭くすれば、ボランチ周辺の選手とセンターバック、つまり、点線で囲まれた選手のプレシャー下での能力が重要になってくる。それならバルサが有利やろ」
「そうかもわからんね」
「まあ結果論かもしれんが、ここ一ヶ月ロナウジーニョを外す方向でまとまってきたんだから、それを変える必要はなかったのではなかろうかと思うわけや」
「まあ、ロナウジーニョを外して負けたら”ロナウジーニョを使わないのが悪い”的な論評になるんやろ」
「予想を書いた以上それはできんのやけどな」
「ちなみに、ロナウジーニョは、この試合のあと、クリスマス休暇に出かけるためにプラッツ空港に向かって、そこで、かなり強烈なブーイングを浴びたそうな」
「つらいところではあるな」
「プレー自体が悪いのは本当やねんけどな」
「ただ、去年のバルサは一にも二にも三にも四にも作戦のまずさで負けたわけやろ」
「
去年のデータ(別ページ)を見るとそうやな」
「それも含めて全部選手の責任のようになっていて、特にロナウジーニョの私生活への非難に転嫁されてしまったようなところがある」
「おまけに今年は先発か控えかもわからん扱いやしな」
「作戦のまずさが選手のやる気を削いだのが去年のバルサなのだから、まずそれを担当する人間を変えることから始めるのが本筋やろ」
「まあ理屈で動かんのが世の中や」
「そのわりに、選手はどんな扱いをしても理屈通りに動くと思っている節があるけどな」
「その辺は理想主義なんやろ」
「なんにしても、一月のロナウジーニョの動向からは目が離せない」
「ひと思いに売るか否か」
「バルサ決断の秋やな」
「ところで、今後のマドリーはどうかね」
「どうやろな」
「わからんか」
「この試合のファン・ニステルローイやラウールの動きを見ると、監督の指示を完全に実行してチームの団結は強い」
「それは心強い材料やな」
「とはいっても、今はシュスターもグティループの途中やしな」
「マドリー名物やな」
「グティがいないとボールがつながらない、グティを中盤に入れる、守備がもたない、グティを外す、グティがいないとボールがつながらず振り出しにもどる……これを延々と繰り返すわけやな」
「今のところ、”守備が持たないからグティを外す”という状況だから、この後が注目ではある」
「去年、カペッロは何があってもグティを先発させない方針で、どんなにいいプレーをしても劣勢時の攻め駒としてしか使わなかった」
「今のマドリーにしても、
オサスナ戦(別ページ)のようなことをやっていると、またぞろファンが切れ始めるしな」
「困ったことや」
「そんなこんな」
「今年も暮れが近づいてきて」
「来年からは新企画が始まりますので」
「それもお楽しみしていただければと」
「ちなみに、題名は”コーナーキックを好きになろう!”」
「見飛ばされることが多く、コーチをする際もなんとなく知っているパターンをつかって済ませてしまうコーナーキックを、なんとか解りやすくつかまえられないものかと、いう企画であります」
「そこがわかれば、きっとコーナーキックを見る楽しさが増大して、さらには教えるのも楽しくなるのではないかというところで」
「今週はこの辺で」
「また次回」
「ごきげんよう」

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