Athletic vs Sevilla
08.01.12.sabado
日時:2008年1月12日(土)
対戦:スペインリーグ第19節 アスレチック対セビージャ
結果:2−0
得点:28分 1−0 ジェステ
68分 2−0 スサエタ
審判:オンタナヤ・ロペス(カスティージャ・マンチェゴ)
退場:エスクデ(52分、セビージャ、レッド)
警告:ムニョス(アスレチック)
チェバントン(セビージャ)

「さて」

「なんや」

「先週末、セビージャはアスレチックに敗れた」

「その言い方は違うな」

「なにがや」

「アスレチックがセビージャに勝ったと言って欲しいところや」

「そりゃまたすまんかったな」

「わかればええねんけどな」

「その試合はチーム構築と戦術という意味で面白かったので、その点について眺めてみようと思うわけだ」

「そうか」

「まず、アスレチックの立場になって、セビージャの対策を考えてみる」

「それはおまえ、これを止めなしゃあないやろ」

「右サイドのナバスとアウベスか」

「アスレチックの左サイドやけどな」

「セビージャの一番の攻め筋やからこれは潰さなあかん」

「それをどう潰すかという話やけどな」

「まあ、これこれみたいなシステムはあかんな」

「サイドが空きやすいからセビージャ対策としては間違いやな」

「そうなると、1-4-4-2系統のシステムがいいということになる」

こんな感じか」

これこれと、1-4-4-2をカチカチと切り替えて眺めるとサイドに残るスペースの違いが良くわかる」

「前の2つでフォワードを思いっきり下げたらサイドを守る事は可能やけど、それやと別のシステムだと思った方がええしな」

「その他には、フォワードを一人下げたりディフェンスラインの前に一人置いたりディフェンスを一人増やすといった手もある」

「セビージャを止めるという意味ではどれもありえる形ではある」

「で、その中からどれを選ぶかという話だが」

「チーム状況や選手の特徴から決めるしかないやろ」

「例えば、徹底的に受けるのが好きなら、これこれやな」

「殴られるのはそれとして、前からもプレッシャーをかけつつ殴り返さなければ気がすまないというのならこれこれを採用する公算が高いな」

「そういえば、ヘタッフェにいた頃のシュスターは1-4-1-4-1やったな」

「あれはセビージャを綺麗に受けたいい試合やったな」

「まあ、今年のアスレチックは、1-4-4-1-1か1-4-4-2が基本やからその線が濃厚やねんけどな」

「例えば、EL MUNDOの予想先発はこうやったな(元データ)」

「しかし、セビージャ相手にこれはありえないというのは考えを進めればわかる」

「ほんまかね」

「まず、セビージャとアスレチックではセビージャの方が強い」

「順位的にはそうやな」

「選手の質的にもそうやで」

「アスレチックはバスク限定にしては凄い質やけどな」

「このような状況では、アスレチックはまず相手を止めることを考えざるをえない」

「敵の長所を消すというやつやな」

「そうすると、最初に出てきたこれを止めざるをえない」

「となると、サイドにこういう選手を配置するか」

「左サイドでドリブルとスピードで負けたら骨も残らんでな」

「おまけに中に入ってくるアウベスとナバスは非常に厄介なので、左ボランチとセンターバックも彼らに対抗しなければならない」

「ただ、センターバックはこのような攻めにも対応しなあかん」

「いわゆる放り込みやな」

「そのためにはヘディングが弱くては話にならない」

「対空能力というやつやな」

「するとこうなる」

「もう選手も決まったのか」

「アスレチックで使われている選手の中で以上の特徴を持った選手を集め、これまでのレギュラーと組み合わせるとこれ以外考えられない」

「まあ、左の中盤は、ガビロンドやジェステが使われることもあるけど、スピードと守備があかんな」

「左サイドバックにはエスポジトも置けるし、デル・オルノやアモレビエタも置けるが特徴からしてコイキリしかいない」

「センターバックはアモレビエタとアイトール・オシオか」

「プリエトを左に置くの手もあるけれども、ハイボールを考えた時にこの方がいい」

「もう5人決定か」

「次に、右サイドバックはこれを止めなければならない」

「カペルとの1対1か」

「セビージャの左サイドバックのクレスポはほとんど上がってこないし、上がってきても怖くない」

「それならイラオラか」

「ウスタリツではドリブルに対して不安が残るし、エスポジトよりもイラオラの方がいい」

「となるとこうか」

「これで、セビージャの得意な攻撃を受けるという視点からの選手選びは終了する」

「この後はどうする」

「この後か」

「そうや」

「悩ましいな」

「確かに」

「右サイドの中盤には、守備は弱くても前に出て強く、カウンターで速い選手を置きたい」

「対面がクレスポやし、固めてもあんまり意味はないからな」

「それに、ここまでガチガチに固めてしまうと攻撃の空気穴がなくなってチームが窒息しかねない」

「そんでトップはどうする」

「押し込まれる事が前提だから、ロングボールを受ける能力が欲しいし、カウンターから点を取る能力も欲しい」

「両方持ってたら大概いい選手やけどな」

「そしてトップ下を決めようと思うとますます難しい」

「ここは選択の幅が広いでな」

「守備を重視しようと思えば、ボランチでもプレーできる選手を置いて相手のボランチを抑える手もある」

「ここに左右に動いてボールをキープできる選手を置けば味方の上がる時間を稼ぐことができる」

「中央にパスを散らしながらスルーパスを出せる選手を置けば、カウンターから一発のパスで点を取る可能性が増える」

「逆にここに点の取れる選手を置いて、右サイドから入ってきた選手のパスからゴールを奪う手もある」

「まとめるとこうやな」

「この他にも様々あると思うけど、アスレチックでそれぞれに選手をあてはめるとこうなる」

「右はスサエタ、アドゥリツ、エチェベリア」

「トップは点を取るならアドゥリツ、ロングボールを受けるならジョレンテ」

「中盤は、守るならヌニェス、キープならエチェベリア、パスならジェステ、点を取るならアドゥリツ」

「アドゥリツが沢山出てくるな」

「彼の一番の能は点をとることやけど、色々起用に使いまわされることが多いんや」

「で、どれを選ぶ」

「どれといわれても困るな」

「優柔不断なやっちゃな」

「なんやて」

「監督っちゅうもんはなんでもサクサク決めていかなあきまへんで」

「ここを決定するには理論だけは無理で、主義がないと決められない」

「主義かね」

「たとえば、組み合わせの例を考えてみる」

「ほほう」

「これは一番下以外はすべてありえる形で、一番上はロングボールに強く、スサエタからのパスを前の2人で決める形になる」

「ジョレンテが決めるかどうかは疑問やけどな」

「次のエチェベ、ジョレンテ、アドゥリツは、ボールキープには向いている」

「最後で崩せず、シュートにはつながりにくそうやけどな」

「3番目のムニョス、アドゥリツ、スサエタなら中盤の守備が安定する」

「攻めがアドゥリツとスサエタの2人になりそうで怖いな」

「以上、一長一短でどうやっても一試合ではある」

「最後のはなんや」

「4番目は、ジェステとジョレンテの組み合わせになるが、これだと裏に抜けるのが得意ではないジョレンテがジェステのスペースを奪い、また、ジェステのパスにジョレンテが反応できない場面が多くなるので機能的ではない」

「だからありえへんというわけか」

「なんでも試してみるもんやけど、おそらくうまくいかない」

「そんでカパロスはどうしたかというと」

こうやな」

「ジェステ、アドゥリツ、スサエタか」

「そうやな」

「ロングボールを受けるには一番弱いぐらいの組み合わせやな」

「そのかわり、地面からボールが来れば一番破壊力がある」

「そうくればいいけどな」

「おまけに、この組み合わせは一番フリーキックが強い」

「アスレチックの右の第一キッカーがスサエタで、左の第一キッカーがジェステやでな」

「こう見ると、このアスレチックは左手に大きな盾を持ち、右手に鋭い剣を持った戦士のようで非常にかっこいい」

「それまた見事な妄想力やな」

「ここには、”守るべき場所では守るが、殴り返す時は大いに殴り返してただではすまさない”という監督の主張があらわれていて、これはカパロスの主義であり性格でもある」

「ほんまかいな」

「結局、サッカーの戦術を考える時には理論では詰め切れない点が残って、そこでどれを選択するかというのはその人の主義やら性格で決まるんやな」

「それでいうとあれやな」

「なんや」

「ジーコの交代を思い出すな」

「なんでや」

「例のオーストラリア戦で、柳沢を小野に代えてこうなったやろ」

「なったな」

「この時、オーストラリアは放り込んでのパワープレーの最中で、そこでこの位置に小野を入れるというのは理屈が通らない」

「そうやな」

「しかし、ジーコの履歴を考えると理解可能になる」

「どういうことや」

「ジーコは、サッカー選手のアスリート化が非常に進んだ時代のヒーローで、その中で小さい体でテクニックで勝負していた」

「なにしろ黄金のカルテットの主席やからな」

「しかし、歴史的には、そのカルテットがワールドカップで散ったことで、テクニックよりパワーという流れが加速したと言われている」

「そうなんかね」

「これはジーコとしては憤懣やるかたない評価で、彼はパワーよりもテクニックこそサッカーの魂である信じていたはずで、それにもかかわらず自分がそれを証明できなかったことでサッカーが己の望まぬ方向に流れたように言われているわけや」

「話が大きくなってきたな」

「ジーコとしては、心の中に、”テクニックはパワーを凌駕できる”ということをいつか証明したいという思いがあったはずで、それがあの場面でパワー勝負をかけるオーストラリアに対する小野投入という行動になってあらわれたと思うんや」

「それが本当ならそれこそ主義のあらわれではあるな」

「主義というかトラウマに近いから、あの交代にはジーコの悲しみの深さを感じずにはおれない」

「自分もなかなかの妄想力やな」

「作戦を考えるには妄想力は不可欠やからな」

「想像力といわんもんかね」

「とにかく、例えば、アスレチックが8節前後でやっていたように、左にガビロンドを置いてその横にジェステを置くとか、EL MUNDOのようにサイドを弱くするとかいうのをセビージャ相手にやれば明らかな間違いではあるな」

この後で前線をどう組むかについての正解不正解は難しい」

「そこを当てるのが名監督やけどな」

「そこを知りたいんやけどな」

「不断の研究と分析、そしてそれらを総合したカンと性格と主義に基づいた判断がそれを決めるだけではないかね」

「つまり、普段から理論的にも人間的にも己を鍛えて向上せよという話に終るわけか」

「できるだけのことをやって、後は神様にでも祈るしかないやろ」

「だから監督にはゲンを担ぐ人がかなりいるんやな」

「ポストに当たったボールが入るか外れるかはどうにもならんしな」

「その前で努力しろと」

「身にしみたところで」

「今週はこの辺で」

「また来週」

「ごきげんよう」



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