Getafe vs Sevilla
08.01.20.domingo
日時:2008年1月20日(日)
対戦:スペインリーグ第20節 ヘタフェ対セビージャ
結果:3−2
得点:15分 0−1 ルイス・ファビアーノ
31分 1−1 カスケーロ
59分 2−1 アルビン
89分 2−2 ドラグティノビッチ
92分 3−2 コントラ
審判:ロドリゲス・サンチアゴ(カスティージャ・レオン)
警告:パブロ・エルナンデス(ヘタッフェ)
ポウルセン、エスクデ(セビージャ)

「さて」

「今日はヘタッフェ対セビージャ戦であるな」

「うむ」

「この試合は戦術的に見ごたえがあった」

「先発はこうやな」

「両方普段通りの布陣ではある」

「ただ、前回のアスレチック対セビージャ(別ページ)の話からすると、ヘタッフェの左サイドの起用は興味深い」

こうか」

「セビージャを相手にする時は、まずアウベスとナバスを止めるたいところに、普段通り左中盤にグラネロを置いている」

「これでアウベスが止まるかどうかは疑問やな」

「グラネロは守備向きでない上にスピードもないからな」

「実際、ドリブルにはまったくついていけなかった」

「ドリブルに弱い、という実例を知りたければこの試合のアウベス対グラネロを見ればいいというくらいにやられておったな」

「ただ、ヘタッフェが敢えてこう組む理由もある」

「グラネロが左サイドで受けてボールをキープし、そのパスに対して押し上げるのがヘタッフェのパターンやからな」

「彼を左から動かすと、いわゆるサイドのポイントがなくなってしまう」

「監督にとって、こういうのは常にジレンマやな」

「自分達の良い部分を捨てて相手に合わせて受けるか、受けずに自分達の良い部分を保つかという選択は常に悩む」

「この場合だと、グラネロがアウベスについて行けずに自陣深くまで押し込まれてしまうと、押し返しの起点になるのは難しいので赤字になる」

「最初の45分を見る限りでは非常な赤字ではあった」

「ただ、前半そのものは1-1の同点で終った」

「カスケーロ必殺のスーパーボレーミドルシュートのおかげでもある」

「彼は浮いた球を蹴るのが本当に上手い」

「そして、後半から、グラネロとパブロ・エルナンデスの位置が代わる

「グラネロが右に来て、パブロが左に来るわけやな」

「これは、普段の形を崩して受けに回ったと見ていい」

「そういうことやろな」

「セビージャは、後半開始にレナトをマレスカに代え、53分にアドリアーノをディエゴ・カペルに代える」

「セビージャでは、よくある交代やな」

「そして、59分にヘタッフェがリードを奪う」

「パブロ・エルナンデスからのボールをアルディンがヘッドで決めた」

「パブロは、右サイドでも左サイドでも縦に突破できてええな」

「右利きドリブラーの鑑やな」

「一方、リードを奪われてしまったセビージャであるが」

「ここまで、図中に赤で示されるような中央へ放り込むパスが少なかった」

「過去のセビージャの強みというのは、放り込みと右サイドからの攻撃の徹底にあったのだが、放り込みが減ることによってサイドの攻撃も弱くなっている」

「一度中央を叩かないでサイド一辺倒では詰まりやすい」

「攻撃的にうまくいっていない状況で、追う立場になってどうすることかと思っていると」

「ここからの交代は非常に興味深かった」

「うむ」

「63分にセンターバックのモスケラをフォワードのチェバントンに代える」

こうやな」

「点を取るためにフォワードを増やすというのはよくある」

「この交代により、前線が3枚になり、その関係で4枚だったディフェンスラインは3枚になっている」

「ここで、セビージャだけに注目するとダニエウ・アウベスがスリーバックの右側に入っているのが目を引く」

「普通に考えるとこうなりそうなもんやしな」

「あくまでも、へスース・ナバスを使いたいならこういう手もある」

「ところがこうか」

「スリーバックの両端というのはストッパー的な選手というか、体が大きく、肉弾戦や空中戦に強い選手がつとめることが多い」

「単純にいうと、4バックでセンターをやることのできる選手が入ることが多いポジションなわけやな」

「そこにサイド一筋であるアウベスを置く」

「その心はというと」

「ロングボールやな」

「セビージャのディフェンスラインで、ロングボールを正確に蹴る能力というのは、アウベス、ドラゴ、エスクデ、モスケラの順番になる」

「守備うんぬんは脇に置いて、とにかく放り込みに特化した形に組んだわけか」

「そう解釈できる」

「前線に受ける人を用意するだけでなく、そこに送る人もきちんと置いた親切設計やな」

これこれと比較すると、一番放り込みに適した設計になっているのは確かやな」

「そして、この単純明快な攻めはなかなかの威力を発揮した」

「ヘタッフェのバックラインが放り込みに弱いということが判明した」

「苦しい時は難しいことをせず、単純なことを単純に行うのも1つの手であることを示しているわけやな」

「ただ、あまり1つに特化したことをやると、相手に対応されたときに次の手がなくて困ることもよくある」

「特にサッカーは人数が限られているから、一度チームを変形させてしまうと、相手の変化にもう一度対応するのは難しい」

「そういう意味で、ヘタッフェの応手が注目になる」

「現実には、70分にグラネロからガビラン、76分にアルディンからセレスティーニという交代が行われた」

こうやな」

「上下に速いガビランで後ろを押さえつつ、カウンターでは相手の薄いサイドを突こう、カスケーロより競り合いやハイボールに強いセレスティーニで、相手の放り込んでくるディフェンスラインの前のスペースを押さえよう、という意味の交代やな」

「そうやろな」

「しかし、こうなると、カスケーロの位置が気になるな」

「気になるかね」

「セビージャは、青く囲まれたアウベスとドラゴのパスから、青い点線のゾーン、つまり前線の3人を狙ってきているわけやろ」

「狙っとるな」

「いわばそこが鍵になる場所なわけで、受けるために交代をおこなったとしたら、カスケーロの位置はよほど中途半端やろ」

「まあ、カウンターの起点として残したかったんやろ」

「それなら別にカスケーロより縦に行く力の強いアルディンを残すか、動けてアウベスとハイボールを競って勝てるケパを入れてこうやってもええやろ」

「前の2人でボールの出所を押さえにいくわけか」

「ロングボールを蹴る選手の邪魔をして相手の意図をくじく、アルディンかケパを使う方がスペースのある状況でのカウンターを行いやすい、この2点から考えて、ここはこれ方が良かったと思うで」

「そうはいっても現実にやってみんとわからんけどな」

「戦術は一期一会やしな」

「まあ、原因はともかく、89分にセビージャが追いついた」

「コーナーキックからの得点だったが、セビージャの側から見れば、ロングボールで押し込んでいった末に取ったコーナーだっただけに監督の狙いは当たったといえる」

「そうかね」

「しかし、このまま同点で終るかと思ってたんやけどな」

「なにしろ89分の得点やしな」

「ところが、92分にガビランのキックからコントラが頭で決めてヘタッフェが再びリード」

「ゴールまで40mくらいのフリーキックやったな」

「ホームのコリセウムは喚起の坩堝」

「びっくり仰天な展開だった」

「理屈で読める部分で同点劇が生じ、理屈を超えたところで決勝点が決まる。実に見事な展開ではなかったかと」

「そんなまとめかね」

「両チームの作戦も試合展開も興味深い、いい試合ではなかったかと」

「スペインや日本で放送する会社も、生放送だけにこだわらずにこういった試合を後から録画で放送するのも面白そうやねんけどな」

「それはよほどのマニアしか見ないから商売として難しいと思うで」

「試合が沢山あってライブのやつを見るだけでも大変な世の中やしな」

「そんなこんなで」

「今回はこの辺で」

「また次回」

「ごきげんよう」



c60 logo
トップページへ