Real Madrid vs Valladrid
08.02.10.domingo
日時:2008年2月10日(日)
対戦:スペインリーグ第23節 レアル・マドリー対バジャドリー
結果:7−0
得点:9分 1−0 バチスタ
31分 2−0 ラウール
33分 3−0 ロッベン
39分 4−0 ラウール
44分 5−0 グティ
60分 6−0 グティ
80分 7−0 ドレンテ
審判:ラミレス・ドミンゲス(アンダルシア)
警告:セルヒオ・ラモス(マドリー)
アセンホ(バジャドリー)

「いやびっくりした」

「なにが」

「そりゃ、レアル・マドリーの試合にきまっとるやろ」

「7−0か」

「冗談みたいなスコアやな」

「バジャドリーにとっては悪い夢やで」

「なんにしてもマドリーはよく決める」

「前半なんかゴールチャンス五回で五得点やしな」

「今回はその決める秘密の一端にでも迫ってみたいと思うわけや」

「秘密か」

「とにかくこれを見てくれ」

「これは三点目やな」

「ロベンが決めたやつや」

「それがどうした」

「この一連の流れには面白い仕組みが隠されていると思うんやけどな」

「そうなんか」

「まず、一番上の写真でロベンはキーパーに向かう」

「その次の写真ではゴールライン方向を向いてるな」

「ちなみに、一番上の写真でボールを前に出した後、二番目の写真にいたるまで触れていない」

「三番目の写真はいわゆるステップサイドというやつで、インステップでファーに蹴ると見せかけてインサイドでニアに蹴る技を使っている」

「その三番目の写真が問題なわけや」

「キーパーがフェイントにひっかかり過ぎやからか?」

「そうじゃなくて、キーパーのポジショニングが内側にずれてるやろ」

「そうやな」

「それにはちゃんと理由があるという話や」

これか」

「それや」

「わかりやすいように少し大げさに描かれた図やけどな」

「基本的に、キーパーはポストとボールのなす角の角二等分線上にいるのが正しい」

「そうすると、左右を均等にカバーできるからやな」

「その角二等分線というのは青い実線であらわされている」

「ところがキーパーはそれよりも内側にいる」

「これはなぜかというと」

「ロベンが正面から向かって来たからやな」

「真っ直ぐ向かって来られると、キーパーというのはポジションがずれていても、左右に動くことができなくなる」

「それは、この図を見ればよりはっきりする」

「この状況であれば、キーパーはほぼ中央に位置していないといけない」

「ところがファーサイド側にずれている」

「この時、ボールを持った選手がキーパーに向かってドリブルをするとどうなるかというと」

「キーパーはそのポジションから動けなくなる」

「それは当たり前で、ドリブル方向にはゴールがあり、もしスペースの空いている側、つまりキーパーから見て左側に動けば、その逆を抜かれて簡単に失点する」

「つまり、ゴールを背にしたキーパーというのは、正面から向かって来られると串刺し状態になって動けなくなる」

「これは、チェスで”ピン”、将棋で”田楽刺し”と呼ばれる手筋とまったく同じやな」

ロベンのプレーに戻ると、最初にキーパーの正面に向かうことで、ずれた位置にピン止めし、その上で体を縦に向けた後、ニアサイドを抜いていることになる」

「一対一を決める上で実に参考になるプレーやな」

「ちなみに、一点目となったバチスタの得点でも同じ行動が見られる」

これか」

「一番上ではキーパーに向かっている」

「その次の写真では、体をファーポストに向けている」

「これはそっちにシュートを打ちますよ、というフェイクやな」

「三枚目の写真ではいかにもファーに打つ態勢からニアに打っている」

「フェイントがかかっていた証拠というと大げさではあるが、最後の写真でキーパーはファー側に倒れている」

「これもまた、一度キーパーに向かった後、フェイントをかけているという意味でロベンのゴールと共通しているわけや」

「それを言うと、二点目のラウールのゴールもそうやな」

こうやな」

「まず、ラインの前でボールを受けたラウールがダイレクトでグティに戻す」

「グティはワンタッチでラインの裏へパス」

「ラウールはファー方向へ走りながら抜け出す」

「抜け出した後、即座にキーパーへと向かう」

「前に出てくるのを見て外に切り返し」

「右足でシュートを決める」

「流れはこんな感じやな」

「ここでもラウールは一度キーパーに向かってから切り返している」

「この場合は、単にゴール方向に向き直っただけとも言えるけどな」

「そうではあるが、上に述べた理由により、ゴールに向かうよりも、キーパーに正面から向かっていった方がいい」

「その方が、切り返したあとに、いいアングルが残るしな」

「とまあ、このように、一対一を決めたければ、一度キーパーを貫くような方向に動いてから技をかけるとよい、ということが見て取れる」

「当たり前といえば当たり前やけどな」

「ところが、これが意外と当たり前でない、というか、練習でも徹底されていないことが多い」

「そうなんか」

「たとえば、次のような状況を考える」

「これはなんや」

「スルーパスを受けた後、キーパーと一対一になることを想定したシュート練習やな」

「よくあるやつか」

「この時、うっかりトレーニングをしている選手だと、赤い矢印のように、走りこんだ方向と同じ方向にそのままトラップしてシュートを打ってしまう」

「それはあかんな」

「上で見たように、正しくは青い矢印のように、一度キーパーに向かってからシュートを打たなければならない」

「その方がキーパーに技をかけやすいので、ぜひ試していただきたいかと」

「ちなみに、この日マドリーが行った一対一では、他にも共通点が見られた」

「そうなんか」

この三枚の写真のプレー位置を見て欲しいんやけどな」

「一番上がロベンのシュート位置、二番目がラウールが切り返した位置、三番目が五点目でグティがシュートを打った位置やねんけどな」

「微妙に同じような位置やな」

「ゴールエリアの端、ペナルティースポットの高さという点で共通しているわけや」

「これは何かあるんかね」

「決めやすい位置なのかもしれんが、なんともいえんところやな」

「しかしあれやな」

「なんや」

「七点取られるのもあれやけど、そのうち四点を一対一で取られるというのもバジャドリーの守備はどうなっていたのかという話やな」

「それは守備組織の矛盾が大きいと思うで」

「矛盾か」

「ラインを思いっきり上げるのに、前に出るのが苦手なキーパーを使っていたらそれは矛盾というもんやろ」

「そうなんかね」

「とにもかくにも、一対一では、一度キーパーに向かってから技をかけるといいというのを実際に試していただきたいというところで」

「今回はこの辺りで」

「また次回」

「ごきげんよう」



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