Spain vs Ucraina
06.06.14.miercores
日時:2006年6月14日(水)
対戦:ワールドカップH組 スペイン対ウクライナ
結果:4−0
得点:1−0 13分 シャビ・アロンソ
2−0 17分 ビジャ
3−0 48分 ビジャ(PK)
4−0 81分 トーレス
審判:マッシモ・ブサカ(スイス)
退場:ワシュチュク(46分、ウクライナ、レッド)
警告:−(スペイン)
ルソル、イェセルスキー(ウクライナ)

「スペインに盆と正月とクリマスが一度にやって来た」

「そんな感じやな」

「しかし、4対0とは驚いたもんやな」

「ビックリした」

「予選中は1試合1点取るか取らないかで苦労していたスペインが一気に4点も取った」

「ほとんど誰も予想しなかった結果やと思うで」

「とりあえず、その1点目はコーナーキックからで、のような形で入った」

「このセットプレーの仕掛け自体は簡単で、ニアポストの前方にいる選手がボールに近づくように動き、その空いたスペースに中央から選手が走り込む。この時、キーパーの前で邪魔をしていた選手はファーサイドに逃げる」

「まあ、ものの見事に決まったな」

「確かに」

「で、不思議な点が1つあるのだが、決めたシャビ・アロンソは、シャビがボールを蹴る前からペナルティスポットの横で完全にフリーになっている」

「不思議というか、ウクライナの完全なミスやな」

「それで、次の2点目はのような形から決まった」

「図も何も、ビジャのフリーキックが直接入っただけちゃうか」

「正確には、ボールが壁に当たってキーパーの逆を突いたんやな」

「これでスペインが2点をリードした」

「ここまでの所要時間はわずか17分」

「2本目のコーナーキックで先制して、最初の狙えるフリーキックで追加点をあげたわけやから、盆と正月が一度に来たようなもんやな」

「で、後半に入るとさらにクリスマスがやってくるわけだ」

「開始直後の46分にのような形からトーレスがPKを取ってくる」

「事の発端は、ウクライナの右センターバック、ワシュチェクのロングパスにある」

「この時、ワシュチェクはボールを追わなければいけなかった関係で、通常よりも右に出過ぎてたんやな」

「ロングパスはパブロにクリアされ、それは絶妙な軌道を描いてウクライナのボランチの頭を超える」

「そのボールを受けたビジャはノートラップで前方にパス。トーレスがディフェンスラインを抜けてそれを追う」

「この時、慌てて戻るワシュチェクがオフサイドラインを崩している点にも注目やな」

「エリア内に入ったトーレスはシュートモーションに入り、それを止めようとしたワシュチェクと接触して転倒。PKの笛がなると」

「結果、ワシュチェクは退場。PKはビジャが決めて3-0。試合自体はこの時点でほぼ終わってしまった」

「まあ、前の2つが盆と正月ならこれはクリスマスプレゼントかね」

「じゃあ審判のマッシモ・ブサカはサンタクロースか」

「おいおい。誰か上手いことを言おうとしてるで」

「まあ、それはさて置き、個人的にはトーレスのPKがPKだったのかという点が疑問なわけだが」

「どう思うよ?」

「絶対に違う。ワシュチェフがトーレスのパンツをつかんだのはエリアの外だし、その後は追い越そうとして腰と腰が軽く触れただけでなにもしていない」

「そのわりにはトーレスは見事に吹っ飛んだけどな」

「あれは、彼のバランスが悪いからなんやな」

「バランスかね」

「トーレスの弱点というのは、狭いスペースでのプレーが下手、足でのトラップが下手、スピードに乗った1対1でよく外す、といったところやけど、それはたった1つの弱点から派生してる」

「なんや、その弱点というのは」

「単純に片足で立つバランスが悪いのよ。PKになったプレーを見ても、相手に押されたわけでもないのにシュートの瞬間に体が前につんのめってる。足を踏ん張る時のバランスが悪いから走りながらのシュート軌道が安定せずにキーパーとの1対1をよく外す」

「そんなもんかね」

「そんなもんやねん。上手い選手というのは押されても引っ張られても何事もなかったかのように走れる。例えば昔の中田なんてぇと、相手から引っ張られているのにフリーで走っているかのように姿勢が崩れなかった。トーレスは外からの力がかからなくても自分でバランスを崩す。だから片足立ちになるトラップが上手くないし、トラップが上手くないと必然的に狭いスペースでのプレーは下手になる」

「しかしやな、バランスが悪いとか1対1が苦手とか言うが、この日の4点目はラインの間を抜けたトーレスが綺麗なボレーシュートで決めたぞ」

「あれは半分ジャンプしながら蹴ってるやろ。片足立ちにならなくていいジャンピングボレーとかヘディングとは得意やねん」

「そうか。じゃあ、さらに反例を出すが、この前の親善試合では試合終了間際に綺麗な切り返しから右足を軸足として見事なシュートを決めたぞ」

「あれは凄かった」

「じゃろ?つまりトーレスもそういったゴールを決めているわけだ」

「それはそうやけどな。ここで言いたいことは、バランスの悪いトーレスも見事なシュートを決めることはある。しかし、確率の問題としてチャンスのわりに点が取れない。バランスの悪いレアル・マドリーが大勝することはあるけれど、長い目で見ると結果が良くないのと同じことや」

「その例えはどうかと思うが」

「そうか?ナイスな例えやと思うけどな。あかんか?」

「あかんことはないけど、無理矢理くさいで」

「うーむ。じゃあ、もう1つトーレスのバランスを見る方法を挙げるわ」

「なんや」

「もしラウールとトーレスが一緒にプレーしている予選のビデオがあったら、2人のバックステップを比べて欲しいんや」

「どういうことや?」

「例えば、サイドからのセンタリングの前にフォワードがバックステップを踏んでディフェンスから逃げるシーンがあるやろ?」

「そらあるわな」

「その時にラウールとトーレスが同時にバックステップを踏むシーンで比べると面白いで。ラウールが流れるように下がって行くのに対して、トーレスはギクシャクと下がって行くから違いが良くわかる」

「そのバックステップの違いがそんなに重要なんか?」

「そら重要やで。例えば、ペナルティーエリア内でバックステップを踏んでパスを受けて素早くシュートを打つようなシーンがあるとするやろ。その時、後ろに下がる段階でバランスを崩していたら、絶対にシュートまで行けない。点を取る選手としては致命的な欠陥になりうる」

「しかしまあ、このめでたい日によくそこまでトーレス批判が言えるな」

「いや、批判ちゃうで。トーレスにこういう弱点があるという話をしているだけや」

「しかし、なにも活躍した日にそんな話をせんでもいいやろ」

「いやいや。活躍した日やからできるねん。トーレスの調子が悪くて叩かれてる時にこんな話をしたらいやらしいやろ?」

「まあそれはそうやけどな」

「この試合での大きな注目点は、これまで何があっても、どんなに批判されてもトーレスを中央、最前線で使い続けてきたルイス・アラゴネスが遂にそれを諦めたことだと思うんよ」

「確かにトーレスは左サイドを中心に動いてたな」

準備試合のロシア戦ではのように逆だった」

「確かに。トーレスが中央にいて、ビジャが左サイドに流れていた」

「トーレスをよりスペースのあるサイドに置いて、点の取れるビジャを中央に置いた。というのは、トーレスについての何事かを物語っていると思うのだが」

「そういう言い方が批判くさいねんな」

「そうかね」

「気いつけた方がええで」

「そうするわ」

「まあ、とりあえず本日はスペインのグループリーグ突破がほとんど確定してめでたいということで」

「また明日」



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