Trinidad Tobago vs Sweden
06.06.10.Sabado
日時:2006年6月10日
対戦:ワールドカップB組 トリニダード・トバゴvsスウェーデン
結果:0−0
得点
審判:シャムサル・マイディン(シンガポール)
退場:アベリー・ジョン(47分、トリニダード・トバゴ、イエロー2枚)
警告:ヨーク(トリニダード・トバゴ)
ラーション(スウェーデン)

「さて、今回はトリニダード・トバゴ対スウェーデンをお送りするわけだが」

「渋いな」

「そうか?」

「イングランドとアルゼンチンが試合をした日に、なんでわざわざこの対戦なのか、理解に苦しむと思うが」

「いや、単純にこの試合が戦術的に一番面白かったからやねんけど。駄目か?」

「駄目なことはないけど」

「じゃあいいわけやな。まず、試合はこんな形で幕を開けた。」

「トリニダード・トバゴはドワイト・ヨークが中盤の底かね」

「事前に知らないと、意外な配置という奴や」

「マンチェスターでヨーク、コールのツートップでプレミアを震撼させた彼が、まさかディフェンスラインの前でプレーするとは思わなかった」

「トリニダード・トバゴのシステムは、彼を中盤に起用した1-4-1-4-1なわけやな」

「これは、スウェーデンの1-4-4-2を読んで受け潰しに行ったと考えられる」

「まあ、そうやろな」

「前半を0-0で乗り切ってその狙いは的中していたわけだが……」

「後半に入るとガラリと様相が変わる」

「前半イエローカードを受けていた左サイドバックのアベリー・ジョンが、後半開始早々にヴィレムションに足の裏からタックルをかまして退場してしまうわけやな」

「最初から戦力的に不利だったトリニダード・トバゴは、数的不利を迎える」

「そこで監督が取った行動といえば……」

フォワードを1人増やした

「1人少ない状態で引いても耐えきれない。それならば、前線にボールのキープできる人間を増やして、少しでも相手を押し下げよう。というのが発想の源だと思う」

「それが見事に当たって、スウェーデンに攻められながらも、トリニダード・トバゴにもいくつかのゴールチャンスが生まれた」

「ベンハッカー、恐るべしやな。この状況で攻めを厚くするのは、なかなかできる行動じゃないで」

「一言でいうと逆切れみたいなもんかね?」

「なんか違う気がするけどな」

「そうか?それで、それに対してスウェーデンのラーシュ・ラーゲルベックは、62分にボランチのスベンションを下げて、フォワードのアルバックを入れた」

「これはなあ」

「なんや」

「この交代は、どうかと思うで」

「なんでや?」

「システム的に言えば、トリニダード・トバゴの1-4-3-2は、アゴが必ず空くんや」

「アゴ?」

のような形で、点線に囲まれた部分、サイドバックと中盤に段差ができる部分をアゴと言うんやな。それで、1-4-3-Xのシステムは、必ずここが弱点になるんや」

「さよか」

「そこを攻めるには、このようにサイドバックを上げて、サイドで2対1を作り出すのが一番手っ取り早い」

「まあな」

「そう考えると、スウェーデンの62分の交代は、サイドを薄くして中央を厚くしている。こうなると、わざわざ相手の厚い部分に頭をぶつけてるようなもんだ」

「そうか」

「さらに言えば、この日やる気があるのかないのかわからないプレーを繰り返していたイブラヒモビッチを使い続ける理由もわからない」

「それは、軸となる選手をコロコロ代えたくないからやろ」

「それはそうかもしれんが、この試合の彼のプレーはひどい」

「まあ、前線でボールをキープできないイブラヒモビッチの位置を下げてラーションを前に残す案はあったと思うけどな」

「それもありやな」

「そして、78分には2人を同時に代えて図のような配置になる」

「右のビレムションがヨンションに、ボランチのリンデロスがカールストロームに代わる」

「カールストロームは良かったな」

「良かった」

こんな感じで、相手ディフェンスラインの裏を的確に突いて、攻撃をリードした」

「カールストロームは、 ユーロ2004では、一発で決めに行き過ぎて次々とボールを失っていたけど、2年の間にプレーの選択がびっくりするほど洗練されていた」

「若者の成長の素晴らしさやな」

「なんや、そのじじくさい発言は」

「いや、例えば右中盤ヴィレムションも、2年前はわけもわからずに縦に突っ込むだけの選手だった。それが、この試合では左のリュングベリよりもいい働きをしてたやろ?」

「確かに」

「そう思うと、彼といいカールストロームといい、若者の成長が感慨をもって感じられるわけよ」

「さよか。それはさて置き、どうせここでカールストロームを出すくらいなら、60分位に図のような形にしてもよかったと思う」

「右サイドバックにヨンションを置いて、左ボランチにカールストロームか」

「そう。ここからサイドバックを上げて、そこにカールストロームがボールを送れば、絶対に相手のDFは崩れたと思うんやな」

「よほどスウェーデンの交代に不満があると見えるな」

「いや、戦いの基本は相手の弱点を突くことやろ。それなのにわざわざそれを捨てるというのはどうしても納得いかないわけよ」

「まあ、確かに、スウェーデンは数的優位に立ちながらも組み立てが上手くいっていなかったから、カールストロームをもっと早い段階で出してもよかったかもわからんな」

「と言うか、次の試合では彼を先発から使って欲しいけどな」

「それで、トリニダード・トバゴの方はどうや?」

「14番のスターン・ジョンは、鬼のポストプレー能力を誇っているから、後はそこに後ろからからむバーチャルとテオバルドの働き次第で攻撃の破壊力が大きく変わってくる。この試合では、前線でフォロー不足に悩んでいたから、できれば、最初からグレンとのツートップで使って欲しい」

「とりあえず、イングランド、スウェーデンが優位と見られていたグループで、トリニダード・トバゴにもグループリーグ突破の可能性が残されたということで」

「また明日」


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