Atletico de Madrid vs Real Madrid C.F.
04.04.17.sabado
日時: スペインリーグ第33節 2004年4月17日(土)
対戦: アトレチコ・マドリー vs レアル・マドリー
結果: 1−2
得点: 0−1 7分 ソラーリ
1−1 49分 パウノビッチ
1−2 77分 エルゲラ
審判: シャビエル・モレーノ・デルガド(カタルーニャ)
退場: パボン(47分、レアル・マドリー、黄紙二枚)
警告: デ・ロス・サントス、レキ、ホルヘ、ガスパール、フアンマ(アトレチコ)
ラウル・ブラボ(マドリー)


ロナウド、フェルンド・トーレスの欠けた注目のデルビ、システム論的におもろい試合になりました。
システム論と聞いて読むのをやめようと思ったあなた、まあそう言わんと読んだって下さい。

アトレチコの初期配置は1−4−2−3−1。通常の1−4−1−3−1−1でトップにパウノビッチ、トーレスの代わりにホルヘ、もしくはイバガサと予想していたのですが、システムそのものをいじってきた。
その心は主に守備においてディエフェンスラインにスペースができるのを嫌ってのことだと思われるが、サイドのアギレラ、ナノの位置取りが中途半端になり、かえってピンチを招いていた。
アトレチコのボールの動かし方としては、まず縦に抜けるパウノビッチを狙いフィールドを広げる、その後に空いたスペースに入るイバガサにボールを当てキープしていく。
特に開始からの15分、長いボールが目立った。
これはリスクを犯さず、前半は0−0で終わってもかまわない、というグレゴリオ・マンサノの意思表示であっただろうと思われる。

一方のマドリーは、1−4−2−3−1と言おうと思えば言えるが、微妙な1−4−1−3−2である。
エルゲラが守備を主に担当する1、トップの2はフィーゴとラウール。
フィーゴ、ジダンの高さを追っていただければよいのですが、平均的にフィーゴの方がジダンよりも高い位置に残っている。
そしてマドリーのカウンターは左右に流れる、もしくは中央に浮いたポルトガル人を起点としていた。

フィーゴをトップに近い位置に配置する手は、ポルティージョが切られた後、ロナウドに変えてヌニェスを投入、フィーゴを上げる形で以前から試されていた。
そう考えると意外ではないが、面白い手筋である。

今年のベルナベウでの第一戦同様、前半の早い時間でレアル・マドリーがリードを奪った。
中盤で絶対にやってはいけない行動、すなわち弱い横パスのミスが事の発端になっている。ちなみにそれをおかしたのはデ・ロス・サントス。
ボールを奪ったフィーゴが鮮やかなドリブルでボールを前に運び、全てのディフェンスを引き付けた後、左サイドでフリーになったソラーリへボールを流す、それを受けたアルゼンチン人はまったく角度のない状態からニアポスト側を抜きゴールを決めた。
角度の無い相手にニアを抜かれたのであるからして、アトレチコ・キーパー、セルヒオ・アラゴネッセスのミスである。
センタリングを読みすぎ、立ち位置が中央に寄りすぎた。
それを見逃さなかったソラーリは流石。

この日のフィーゴはソベルビオ(すげぇ)の一言でした。
ほとんど歩くようにドリブルし、好きなようにディフェンスを切り刻んでいた。
上の得点の場面でも、二人に寄せられながら、ほんのちょっとのスピードの切り替えとそれに伴なう方向変化で全てを振り切った。

アトレチコは後半開始からガビに代えてニコライディスを投入し、普段に近い配置に戻った。
通常、デ・ロス・サントスが左気味、イバガサがやや右寄り、フェルナンド・トーレスが左寄りに位置するのだが、この日はデ・ロス・サントスが左でイバガサが右。
これはトーレス役のパウノビッチが右を得意とするため、それに合わせてスペースに入る具合を変えたためであろう。
交代させられたガビは焦ったパスで多くのボールを失い、また、サポートでボールに寄り過ぎ、かえって味方のスペースを奪っていた。
シメオネというオプションもあったはずだが、マンサノは若いガビに賭けた。

後半開始直後、マドリーディフェンスラインにおいて、競り合うブラボとパウノビッチの頭上を越えたボールが裏に抜け、前を出たニコライディスをパボンが後ろから思いっきり突き飛ばしペナルティー、そして退場。
パボンにはスピードが無いとよく言われるが、それにも増して読みが遅い。
そんな彼は24歳、ディフェンダーはこれからである。

そのまま1−1に追いつかれたマドリー。選手の交代はなく、エルゲラがセンターバックに下がり、ベッカム、ソラーリがボランチを埋める。
面白いことに、この後、ジダンとフィーゴの高さが逆転する。ジダンが前線に張り、フィーゴはより自陣へ帰るようになった。
前半守備に戻る場面の多かったジダンの持久面を考慮しての変更だと考えられる。
この退場を境にアトレチコが主にサイドを中心に攻め始めるが、マドリーもその裏を突き、何度も有効な攻めを見せていた。
両者いけいけの殴り合いに近く、数的に優位に立つアトレチコにとって望ましい展開ではない。

そんな中、ホルヘ、パウノビッチが完全なチャンスを迎えるものの、共にイケルによって阻まれる。
特にホルヘのチャンスは余裕を持った一対一であり、あれを決めなければなにも決めるものはない。

そして77分、フィーゴのフリーキックをファーサイドのベッカムが折り返しエルゲラが決勝点を決めた。
あの場面において、ラウールの悪ともいえる側面が華開いた。
フィーゴのキックは完全にミスだった。蹴った瞬間、誰しもキーパーが簡単に処理するであろうと思ったのだが、ラウールだけは違った。
キーパに近づき、ジャンプする為に身を屈めるキーパーの腰の上に軽く腕を置いておき、飛ばんとするアラゴネッセスのバランスを失わせた。

あの場合、相手を押さず、ただ腕を置くのが鍵である。
これにより上に伸びるキーパーの腰に下に押さえつける力と、前向きの力が加わり、あたかも自然にバランスを崩したかに見える。
ラウール自身はアラゴネッセスが伸びようとする力に耐えるだけであり、動くわけではないのだから、審判にバレる心配は少ない。

ペナルティーエリア内で点を取るにはボールを10cm動かせばよいし、相手を10cmずれさせればよい。
それを確信犯として実行できるところにラウールの恐ろしさがある。
汚いといえば汚いが、あれはルール内で最適化された姿と考えた方がいい。
アトレチコもキーパーエリア内のラウールをフリーでほっておいたのであるから、好きなことをされてもしょうがない。

しかし、色んな意味で今シーズン一番の試合やったんとちゃいますかね、レアル・マドリーとしては。

優勝争いも大詰め、このまま見ごたえのある試合が続きますよう。

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