Barcalona vs Real Sociedad
04.03.21.domingo
日時: スペインリーグ第29節 2004年3月21日 (日)
対戦: バルサ vs ソシエダー
結果: 1−0
得点: 1−0 88分 ロナウジーニョ
審判: カルモナ・メンデス(エストレマドゥーラ)
退場: −
警告: オレゲル、ガブリ、プジョル、クアレスマ(バルサ)
ロペス・レカルテ、シューレル(ソシエダー)

マドリーが見事にこけ、バルサとの差は六ポイント。
カタルーニャの夢が近づいて参りました。

バルセロナの9連勝がかかったこの試合、相手のソシエダーはオリンピック・リヨン戦以来の、1−4−1−4−1。
4と4の間の1をシャビ・アロンソからハウレギに変えた点が目新しい。
スピードに勝る上位チームを相手にする時は、1−4−1−4−1でスペースを与えずに戦うのがデノエの基本的な考えのようで。

いきなりシステム論チックな話で申し訳ないのですが、以下に1−4−1−4−1の特徴を述べてみようかと。
簡単には、1−4−4−2からフォワードを一枚削って守備ラインと中盤のラインの間に一人自由に動く守備の専門家を置いたと考えてよい。
二つの四人ラインの間は1−4−4−2と同じように狭く保つのが基本であり、一人の守備的中盤に頼りすぎ、距離が開いてしまってはその意味がない。
守備を専門に受け持つ中盤の1は、

ディフェンスラインの前のカバー
四人で形成される中盤、中央二人へのカバー
サイドバックのカバーに出たセンターバックへのカバー

これらを主な働きとする。一言で言うと「中盤、最終ラインの穴埋め担当」である。
よってそれをこなすには、読みの早さ、ヘディングの強さ、体の強さ、スピードが重要となる。
特に、カバーリングが主な仕事であるから、読み早さは必要不可欠である。
一方、回収したボールを多く触る、つまり、守備の後攻撃に移る起点となるべきポジションでもある。このため、ゲームをつくる能力が要求され、それを満たさない場合には攻めに重大な支障をきたす。

この中盤の1のおかげで、最も危険な場所、つまり二人のセンターバック前でスペースを与えることが少ない。よって、1−4−1−4−1では1−4−4−2に比べ、極めて守備が安定する。
しかしながら、その引き換えとして前線を一人削っている。
それを補い、攻撃の鍵を握るのは中盤四人の中央二人。彼らがフォワードを追い越さない限り、攻撃は停滞する。
例えば、ワントップがボールをキープしたとする。ここで、中盤からのヘルプがなければフォワードは敵に囲まれボールを失う。
例えば、サイドを突破しセンタリングが上がったする。ここで、中央に詰める人間が一人では得点になりにくい。
しかしながら中盤中央の二人は、守備においてボランチのごとく働かねばならず、その下がった位置から攻撃に絡むためには、速く、長く走らねばならない。
よって、このポジションに不可欠な資質は、スピード、持久力、この二つとなる。

そしてワントップ。ここにはボールを保つ人間をおくべきである。
上で述べたように、守備を重視するこのシステムにおいては、中盤のヘルプが到達するまでに時間がかかる。よって、前線でそれを稼がねばならない。
仮に、この位置にスピードに優れる人間を置いたとしても、後ろが追いつかないのだからそれほど意味がない。

以上が1−4−1−4−1の骨子であり、他の選手に求められる要素は1−4−4−2系のシステムと変わらない。
加えるならば、ゴールキーパーは、前に出るタイプよりも後ろで反応するタイプが良い。また足技はそれほど要求されないが、サイドからのカウンターを行うために正確なパント、スローを行う必要がある。

これまで理論を述べたところで、それを基にソシエダーの配置を眺めてみることに致しましょう。

まず守備専門中盤、ハウレギを起用したのは妥当かと。センターバックも務める彼であるからして、守備に関する読みは問題はなく、競り合いにも強い。また、クアルメ、シューレルに比べると圧倒的にボール捌きが上手く、この位置に相応しい。
オリンピック・リヨン戦ではここにシャビ・アロンソを配していたが、彼にひたすら守備を要求するのは酷であり、才能の無駄遣いである。

次に中盤中央の二人、シャビ・アロンソとアランブル。
スピードが足りない。運動量も足りない。オリンピック・リヨン戦においてはアランブルとアルキサで組んでおり、アルキサが吐くほど前後に走ることで攻撃を繋いでいた。
しかしながら、シャビ・アロンソはいわゆる労働者タイプではなく、ゲームメイクを担当する選手である。ボールを受けて簡単に捌き、軽く位置を移動させ、再びボールを受けて大きく振る、ジョギング程度のスピードで動くことをモットーとしており、また、その時に彼の長所が発揮される。
この試合の配置では、ポジションに求められる資質と選手の特徴が全く適合しない。

最後に、最前線のニハット。小さい体で抜群のスピードを持つ彼をワントップ、すなわち背中にディフェンスを背負ってプレーするポジションに配置するのは無理がある。

デノエの頭には何か、通常のシステム論では説明できない別の絵があったと思われる。が、試合を通してそれが表現される場面はなかった。
シャビ・アロンソの交代を32分まで見送った点からしても、チームのパフォーマンスに満足であった、もしくは現時点で最良の選択をした自信があったものと思われるのですが。

一方のバルセロナ、おもろいですな実に。
チーム全体の調和、個々のプレー、ロナウジーニョ、ビクトル・バルデスのリアクションからオレゲルのぼけっぷりに至るまで、どこを切っても面白い。
ロナウジーニョの感情表現が、いわゆる普通の人とは一風変わっているのはよく知られているが、ビクトル・バルデスもなかなかいい。
スーパーセーブを行った後、地面に倒れてたまま顔だけを上げて見せる、ちょっと勝ち誇った表情。パントを蹴った後、 口を空けたままボールの行方を見つめる姿。味方が点を入れた時、文字通り飛び上がり無邪気に喜ぶ様。サッカーが楽しそうでいい。
しかしながら、決定的なシュートを止めた後は相手の動きが一瞬止まるのでカウンターのチャンスである。喜ぶ前に起き上がり、パスを出した方が良い、理論的には。
しかしながら、個人的にはあの表情を見たいんですな、一年もすれば見られなくなるのでしょう。
オレゲルは、意味不明なパスミスをしたり、クリアボールを敵にパスしたり、よくわからない行動も目立つが、そのスピードは抜群である。裏に出たボールをニハットと競争してもその距離がほとんど縮まらない。つまりニハットとあまり変わらぬ速さで走っている。
これでペナルティーエリア周辺で何の危険もない相手に行うファールさえ無くなれば守備面ではよろしのではなかろうかと。

システムの面で言うと、サビオラ、ロナウジーニョを支える選手は右に置いた方がいい。
その方がシャビの周囲により多くのスペースが出来る。マルケスをディフェンスに置かない場合、攻撃を開始するのはシャビである。ならば、彼により多くの空間を与えるのが望ましい。
この試合では、右サイドライン際のスペースをガブリが上がることで活用していたが、移動距離が長すぎ、有効なプレーをするのは体力的に難しい。
また、ロナウジーニョをトップに置き、クアレスマを右、左にオーフェルマースを開かせる布陣は全く機能しておらず、今後使われることはないだろう。

さて、後半88分、ロナウジーニョのフリーキックで決勝点をあげたわけですが、あのシーンでレアル・ソシエダーの壁は一人しか飛ばなかった。ボールは飛ばなかった壁の頭をかすめていった。きっちりジャンプしていれば誰かの顔面に激突していただろう。
キッカーとして準備をしていたのはロナウジーニョ一人、シャビは最初なにやら彼と話をしていたが、その後離れていった。タイミングを合わせて飛ぼうと思えば飛べただろう。
彼が足の下を抜くフリーキックを行うことはほとんどない。何故に飛ばなかったのか、不思議であります。

9連勝のバルサは、来週、アウェイでベティスと対戦。
システム的に相性のいい相手だけに勝ちを見込めるのですが、いかに。

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