Real Betis Balonpie vs Real Madrid C.F.
04.01.18.domigo.21:00
日時:スペインリーグ第20節、2004/1/18/日/21:00
対戦:ベティスvsレアル・マドリー
結果:1−1
得点:1−0 33分 ホアキン
1−1 60分 ロナウド
審判:ロスサントス・オマール(バスク)
退場:
警告:レンボ、バレーラ(ベティス)
エルゲラ、フィーゴ、パボン、ソラーリ(レアル・マドリー)

新聞は、「ベティス、マドリーを圧倒」と書き、マドリー・オフィシャル・ウエッブページは、「妥当なエンパテ(引き分け)」と書いたこの試合、私としては新聞の方がより事実に近いのではないかと。

前半はベティス、後半はマドリーの試合でしたので、マドリー側の意見も正しいと言えば正しい。のですが、前半、ホアキンに対するPKが二回存在しました。
一方のマドリーが作り出したチャンスはロナウドが決めたシーンの他に一度あるかないか、少なくともPKに類する程のチャンスは後半、コーナーからのヘディングのみ。となると、ベティスが優勢であったと言わざるを得ないかと。
圧倒したかどうかは疑問ですが。

ベティスの初期配置は右のようですが、前線はカピを外し、アルフォンソとフェルナンドで構成されている点が注目かと。
この配置ではサイドのホアキン、デニウソンも含めた4人が前にかかるため、前線からプレッシャーをかけて守らないかぎり、後ろの人数が足りなくなる。
大体、現在の流れとしては前に残るのは3人が限界、これが常識になっています、マドリーを除いた話ですが。

前半目立ったのはベティスの前に出るディフェンス。これが見事に決まり、マドリーを崩壊寸前まで追い込んだ。
前に出る、とは、前からプレッシャーをかけることもそうですが、常にインターセプトを狙い、その勢のままカウンターを仕掛ける姿をも指す。

ボールを奪う為には、一度それを不安定化させる必要がある。
相手が余裕を持ってボールを保持している場合、それを回収するのは難しい。あたりまえですが。
例えば、楽にボールを持って一対一を仕掛けるフィーゴを止めるのは難しい。
しかし、後ろから軽く押されてバランスを崩したフィーゴからボールを奪うのは、それ程難しくない。
この場合、後ろからどついて「不安定化」させ、その後「回収」、と二つの手続きを踏んでいる。
チームとしてボールを奪う場合も同様で、フォワードが敵ディフェンスにプレッシャーをかけ長いボールを自由に蹴らせない、というのは良くある話ですが、これもまた、不安定化と回収という二つのプロセスを経ています。

ボランチがプレッシャーをかけ、サイドへの横パスをサイドバックがカットする。
1人のセンターバックが軽く体をぶつけ、もう1人がその裏でボールを回収する。
サイドバックとサイドミッドフィールダーがライン際で敵を挟み、その間から漏れるパスをセンターバック、ボランチが回収する。

等々、その例は枚挙に暇がない。

前半のベティスはほとんど4トップのような状態でマドリー・ディフェンスラインにプレッシャーをかけ、中盤で前に出ながらのパスカット、そのままカウンター、とまぁ見事な戦いぶりを展開していた。
中盤のラインで不安定化、守備ラインで回収、これが普通なわけですから、ベティスの男前ぶりがおわかりになろうかと。
18分45秒、フアニートのボールカット、27分7秒、ミンゴのスライディングカット、39分30秒、後ろ向きでボールを受けるロナウドへのプレッシャーからのボール回収。
これらの場面を見ていただけると、より良く、ビクトル・フェルナンデスのチームを堪能できるのではないかと。

しかしながら、何故そのようなチームが後半、ああも見事に失速するのか。主要な原因として、攻撃を瞬発力は高いが持久力の低い選手に頼っている点が挙げられる。ホアキン、デニウソン、アルフォンソ、特にこの三人がそれにあてはまる。

例えば、ホアキン、前半抜けていた場面でも後半になると抜けない。
後半15分、ジダンのパスからロナウドのシュートにより一点を失う。そして、その発端は完璧な状態でラウル・ブラボと一対一になりながら一瞬でボールを奪われたホアキンの行動が発端になっている。
その他にも後半31分50秒、カウンターで絶好の状態でボールを持ちながら潰れたシーン、後半39分5秒にサイドで追われボールを失った場面等、そのような場面が散見されます。
途中から入ったソラーリが彼をマークしておりましたが、前半は二人のディフェンスが来ても、その間を簡単に抜いていた。
インパラブレ(阻止不能)であった前半と比較すると、後半、著しくそのプレー効率は落ちていると言る。

デニウソンもまたホアキン同タイプであり、アルフォンソも既に31。この三人はベティス攻撃の核であり、そのパフォーマンスの高低はもろにチームに影響を及ぼす。

この試合では、これにフェルナンドに代えカピを投入した後、上がりすぎるベンハミンとイトの距離が開きすぎ、イトの横にあるスペースをマドリーに活用されてしまった。攻撃陣の疲れにシステム上の問題が加わり、後半の惨状が演出された。
システムの崩れは26分20秒のシーンに良く表れており、ベンハミンとサイドの選手が前に出過ぎ、イトの周囲に広大なスペースが広がっている。

そんな問題を百も承知で、守備と攻撃、二つの選択肢がある状況で、臆せず後者を選択するビクトル・フェルナンデス。
スペインリーグに欠かせない存在といえる。
近年、ディフェンスに重きを置くチームが増えるリーガであくまでも男前に戦い続け、派手に勝ち、鮮やかに散る彼のチームは貴重である。

一方のマドリー、ほとんど無いチャンスを確実に決めるロナウドとそれを演出したジダン、マドリーらしい。
また最近、ベッカムの技術に変化が見られる。

スペイン到着当初はスペースに長くボールをコントロールする、もしくは、ドリブルするシーンが多かったが、近頃は、細かい体の角度変化で相手の寄せ止める場面が増え、足元にボール置いている。
スピードと気風の良さを好むイギリス、細かいボールタッチとボール保持を好むスペイン。環境で技術が変化する良い例ではないかと。

なにはともあれ、ベティスの男前フットボールがリーガ後半の台風の目となるか、注目されるところです。

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