Real Madrid C.F. vs Real Zaragoza
04.03.17.miercoles
日時: コパ・デル・レイ決勝 2004年3月17日 (水)
対戦: レアル・マドリー vs サラゴサ
結果: 2−3
得点: 1−0 23分 ベッカム
1−1 28分 ダニ
1−2 44分 ビジャ(PK)
2−2 47分 ロベルト・カルロス
2−3 111分 ガレッティ
審判: カルモナ・メンデス(エストレマドゥーラ)
退場: カニ(67分、サラゴサ、黄色二枚)
グティ(95分、マドリー、黄色二枚)
警告: サルガド、フィーゴ、ソラーリ、ロベルト・カルロス、エルゲラ(マドリー)
ミリート、アルバロ、ビジャ、ガレッティ、ファネーレ(サラゴサ)


サラゴサはベストメンバー、マドリーはロナウドが怪我。
サラゴサのプランはマドリー対策の公式ともいうべきボランチ、ディフェンスへのプレッシャー。特に前半開始から25分間、組織的にマドリーディフェンス陣に圧力をかけ、試合を支配した。
サラゴサの攻撃起点(トリガー)となったのはディフェンスの前、ボランチの裏で浮いたダニ。
奪ったボールを彼に当て、左サイドのサビオを中心に捌く。
ディフェンスではポンシオが中盤を押さえ、ミリートが最後尾をカバーリング。
空中戦に無類の強さを発揮し、スピード競争にも負けず、素早い読みでアルバロ、トレドをカバーするミリート、抜群の働きを見せていた。
ボランチのポンシオ、モビージャの役割分担は、ポンシオが守備、モビージャがボールを落ち着けゲームをつくる、のであるが、ポンシオが後ろでモビージャが前という配置にはなっていない。
ボールに近づくのがモビージャ、ボールから遠ざかるのがポンシオで、ディフェンスラインがボールを持つとモビージャが下がりポンシオが上がる。ボールが中盤、例えばサビオに渡るとモビージャが上がってボールに近づきその裏をポンシオが埋める。
この場合、自由に動くのはモビージャで、ポンシオは彼にスペースを与えるためにその位置を動かす。
人の為に動かねばならないポンシオの負担は大きく、後半70分ヘネレーロと交代したのも当然である。
ガレッティの先発が予想された右サイドにカニが起用された。
これはマドリーの運動量が落ちる後半にガレッティを投入し、そのスピードを活かすためであったと思われる。
実際、彼が右サイドを支配し、グティーを退場に追い込み、決勝ゴールを決めたのであるからビクトル・ムニョスの作戦は見事に的中していた。
後半15分のガレッティ投入の際、ダニを外し、右サイドのカニをトップ下に持っていったが、ダニは極めて不満な顔をしていた。
あの時間、ディフェンスラインの前でボールをキープするダニは極めて上手く機能していた。
マドリーディフェンス陣にとって最も厄介な彼を外したところを見ると、監督の彼に対する信用がうかがい知れる。

しかしやね、50秒の間に二枚のイエローカードをもらったカニ、若いといえばそれまでだが、突っ込みどころ満載である。

一方、相手のマドリーは常変わらぬ布陣。
この試合で一番目を引いたのはベッカム、そしてジダン。
ベッカムの仕事量はすごい、というか凄まじい。グティと比べると推定1.8人のベッカムがいるように見える。
中盤でボールを取り返したと思ったら前と飛び出し、ボールを失ったと思ったらロベカルを助けるべく最終ラインまで戻る。
いつも画面のどこかに映るその移動量は恐ろしい。
元祖フリーキックも炸裂し、後半2分のロベルト・カルロスによるフリーキックも2割は彼の得点である。
あの場面で、サラゴサゴールキーパー、ライネスは一度逆足に体重を乗せてから反応したためボールに触れなかった。
その伏線は、前半39分、ほぼ同じ位置、ゴールまで30m中央やや右よりからのフリーキックをベッカムが蹴り、ボールが右ポストを叩いたシーンにある。
これが頭から離れなかった為、ライネスはロベルト・カルロスのシュートに正しく反応できなかった。
しかしやね、30mから撃って読みで動かなければ止められないフリーキックを打つ人間が二人いるのが反則であって、あれでキーパーを責めるのは無理がある。
監督の立場だったらそれでも一言言うのだろうが。

一方のジダン。延長後半になっても敵ディフェンスラインの裏へ何度も飛び出し勝利にかける執念を見せていた。
しかしながら、試合終了が近づくにつれ、とんでもないファールを連発し、特にビジャの軸足を蹴り飛ばしたファールなどは非常にイラチな一面をうかがわせていた。
その昔、ユベントス時代、チャンピオンズリーグにおいてトフティングにもの凄い頭突きを喰らわせたことがあったが、彼は自分を大人しくシャイな男あると評している。

この試合、センターバックだけを比べれば明らかにサラゴサの方が上であった。
ビジャに散々引きずりまわされたラウル・ブラボとイバン・エルゲラ。特にブラボの方は延長に入ると完全に体力負けを起こし、ビジャを追うことすら困難な状況に追い込まれていた。
サラゴサが2−3とリードを奪った後のマドリーのシステム変更はファンキーとも言えるもので、エルゲラを最前線に起き、ラウル・ブラボを左サイドへ、そしてロベルト・カルロスをリベロとして配置した。
エルゲラを最前線に置くのはロングボールを競らせるためである。
自分が競り落としたボールにポルティージョが反応していないと、プレーそっちのけで喰ってかかる彼はやはりリアクション王。
それはさて置き、なぜ中央にロベカルで左にブラボなのか。ビジャを押さえるためである。
ビジャのスピードについていけなくなったブラボを見かねたロベカルが自発的にその位置を変えたのか、監督の意思によるものかは不明であるが。

ミリートは本来、今シーズンからレアル・マドリーに加わるはずであった。しかし、メディカルチェックで古傷が発見され、それがもとで契約はご破算、サラゴサへ行くこととなった。
11月位から、「ミリートがいれば」という声がマドリディスタのあちこちから聞かれていたが、まさかこのような形でそれが証明される
ことになろうとは、世の皮肉といえる。

なんにしても決勝はいい。全てを尽くして戦い、目的を達した人々の笑顔を見ていると、なんかこう、心が浮き立ってくる。

サラゴサは勝つに相応しかった。67分にカニが退場して一人少なくなったにもかかわらず、ボールを組織的に動かしていたのは彼らであったし、延長戦に入った後、体を動かしつづけたのも彼らであった。
チャンピオンズリーグを戦っていたマドリーが体力的に劣っていたのは仕方がない。
明らかな劣勢の中、カルロス・ケイロスはただの一回しか交代を行わなかった。
これは戦術眼、性格の問題ではなく、単純にベンチに信用できる選手がいないだけである。
マドリーで監督が信用するのはギャラクティコにソラーリを含めた12人のみ。
よって厳しい試合になればなるほど交代が減る。
チームデータを見ていただければよろしいのだが、一月のソシエダー、ベティス、バジャドリー戦と苦しい試合が三つ続いた、この時ケイロスはそれぞれの試合で一人しか交代を行っていない。バジャドリー戦は92分を過ぎてから二人交代させているから、事実上一交代である。

先発は世界一、ベンチはセングンダA(二部)、極言すればこれがマドリーの実情である。
カンビアッソ、ポルティージョ、セサル、彼らは監督の信頼を得ていない。よって、並以上の働きはできない。
マドリーのカンテラーノはスペインでも一、二を争う。それは事実だが、試合に僅かしか出場できない現状ではその素質を磨きようがない。
ファンフランの才能がいかにあろうとも、試合に出ずしてオサスナにいるバルド以上の働きが出来るわけがない。

監督が悪いわけではなく、それだけの選手しかベンチに残さなかったシーズン前の補強の失敗である。

しかしそんな事をいまさら言っても仕方がない。マドリーファンとしては辛いところではあるが、こうなるのはシーズン前からわかっていた。
怪我人さえでなければリーグかチャンピオンズ、どちらかは取れるだろう。その為にどちらかを捨てることになるだろうが。

残り二ヶ月少々、一度は爆発したマドリーの姿を目撃できることを祈って。

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