先週レアル・マドリーを4−2と粉砕したUEFAを狙うアスレチックと、最近好調ながら前半戦のツケがどうしても払えず、降格圏をうろうろとさまようエスパニョールの一戦。
エスパニョールのシステムは1−4−3−2−1。
中盤右のハジとトップ下右に位置するマキシ・ロドリゲスが特徴的な動きをする。
ハジは守備において、ウォメ、フレッドソンと共に3ボランチを形成し、攻撃においては右ウィングの位置までサイドに大きく張り出す。
その移動距離は長く、肉体的負担は普通ではない。
マキシは守備においては主に敵左サイドバックへのプレッシャーを担当し、攻撃においてはデ・ラ・ペーニャにより多くの選択肢を与えるべく、タムードの動きによって生まれたスペースに移動する。
これもまた、肉体的負担は大きい。
ハジには前線でボールをキープしドリブルで簡単に敵を外してラストパスを送る、というイメージがあるが、このチームでは中盤と前線の繋ぎ役であり、派手なテクニックを行使せず着実に任務をこなしている。
後半60分に交代を告げられたが、出来云々の問題ではなく、そもそも、エスパニョール監督ルイス・フェルナンデスはハジとマキシを「使い潰す」つもりで先発させているのだから、当然の話である。
前半、エスパニョールの攻撃は、非常に上手くいっていた。
縦に素早く抜けるタムードを第一標的とし、その後ろの空いたスペースに浮くデ・ラ・ペーニャを第二標的としてボールを動かし、
多くの攻撃が敵ゴールライン際で終わっていた。
1−4−3−2−1システムにおいて、中盤の3の一人が欠けるとディフェンスラインの前に大きな穴が空くのだが、エスパニョールの場合、ボールを敵陣奥深く迄運ぶことにより、アスレチックの攻撃を鈍化させ守備的安定を得ていた。
後半、デ・ラ・ペーニャとマキシの位置を変えたのはアスレチックの応対を予想してのことであったと思われる。マキシが左サイドを戻ることで、システムは1−4−4−1−1に近くなった。
1−0のリードを受けての変更だったと推測される。
しかし前線の人数が減ったことで、奪ったボールを低い位置で失う場面が増え、後半開始からアスレチックペースとなった。
60分にハジをジョルディに変え、完全な1−4−4−1−1に変更したが、これによりアスレチックのスペースを奪うことで守備的により安定し、試合は膠着状態に突入した。
攻めれば隙ができる、隙を見せねば攻めにはならない。
サッカーの微妙なバランスが垣間見えた瞬間ではなかろうかと。
この試合でエスパニョールの左サイドバックとしてビニャルが先発していたが、ボール持っては無くし、ホセバ・エチェベリアとの1v1には完敗とまるでいい所がなかった。
74分にダビー・ガルシアと交代させられたが、これはほとんど懲罰に近い。
一方のアスレチックの問題は明らかで、ボランチの組み立てにある。
そもそもチーム自体主導権を握って攻めていくように構築されていないせいもあるが、オルバイス、グルペギの二人ではゲームを動かすことはできない。
ティコが出場できない場合、常にこの問題を抱えている。
78分、82分と次々にセンターバック二人が退場させられるのだが、その後の応対は守備4人、中盤2人、前線2人であった。
この状態で点を入れるのは、なかなかに根性の要る話である。
ちなみに、90分にエスパニョールが失った1点は、ジョルディもしくはダビー・ガルシアのつまらないパスミスにより、スローインからのボールを相手にプレゼントしたことが発端となっている。
シーズン開始前はUEFAを狙えると言われ、前半戦は降格候補の筆頭、ここに来てやっと本来の実力を発揮し始めたエスパニョール。
試合を見る価値はあります。非常に。
特にデ・ラ・ペーニャの、どんなに狭い間も確実に抜き、味方に最良の状況をプレゼントするパスは必見であろうかと。
ロナウドと別れ、フラフラと南欧をさまよった彼も、ラウール・タムードという理想的な相方と出会い、唯一、彼だけにしか出来ないプレーを見せております。
これでハーフライン手前で無茶なドリブルをして無駄にボールを失わなければ完璧かと。
そんな彼を、寒かったとはいえ、9950人しか見ていなかったかと思うと残念でなりません。
バルセロナにお越しの際は、エスパニョールもどうぞよろしく。